「グランドスラムをひとつ獲った自信が大きな助けになる」シャポバロフに勝利のメドベージェフ [レーバー・カップ2021]

レーバー・カップのトロフィーを掲げるダニール・メドベージェフ(ロシア)(Getty Images)


 2021年9月24日(金)から26日(日)にアメリカ・ボストンで開催された男子テニスの団体戦「レーバー・カップ2021」の第7試合でデニス・シャポバロフ(カナダ)を6-4 6-0で倒したダニール・メドベージェフ(ロシア)が、試合とUSオープン優勝後について語った。

「試合前は少しストレスを感じていた。僕の前にチームがシングルス5連勝だったからね。自分が最初の負けになるかもしれないというプレッシャーが大きかった。USオープンのあとしばらくプレーしていなかったら、自分がどんなプレーができるかわからなかった。チームのために勝利できてうれしい」

 今大会の欧州選抜は新世代のオールスターチームとなった。

「100%同意する。しかも若い。もしかして僕がチーム最年長かな? マッテオ・ベレッティーニ(イタリア)の誕生日を知らないんだ。(2人とも1996年生まれで、メドベージェフの誕生日が2月11日、ベレッティーニが4月12日)でも、僕が最年長なら凄いことじゃないか! 僕らが今のランキングを維持できれば、あと10年はレーバー・カップに出られる」

 少しのブランクでどんな影響があったのか。

「どんな大会の1回戦も緊張するものだ。例えば、グランドスラムの1回戦なら強い相手との対戦になるけど、プレッシャーは少ない。自分のすべきこともわかっているから。もし相手が最高のプレーをしたら負けてしまう。それは仕方ない。ここでは初戦で最初からいい感触だったのに驚いた。普段は数日ラケットを握っていないと、すぐ感覚を失ってしまうんだ。でも、グランドスラムを獲った自信が大きな助けになっている。シャポとの試合でも、第1セットで自分が何をしているのかわからなくなる瞬間があった。最初のブレークポイントで相手に簡単なボールを打たせてしまった。そこから何とか持ち直した。“自分は素晴らしいプレーをしている。相手にプレッシャーを掛け続けるんだ”と自分に言い聞かせた」

 ラケットを持たない日はどんな過ごし方をしたのか。

「チームと話してジムでのトレーニングを2回行った。本当は3回の予定だったけど、1回はサボっちゃった。シーズン前など試合から離れているときは、体が怠けないように2、3日に一度はトレーニングするようにしている。9日間ずっとベッドで寝ていたら、さすがに動きが落ちるからね。ここに来る前、マイアミで少しボールを打ったけど、相手はシャポほどレベルが高くなかった。こちらに来て最初の練習で問題ないことがわかった」

 USオープンで優勝したとき、あまり驚いていない様子だったが、いつかは獲れるという自信があったのか?

「それはなかった。テニスでは何も確実ではないから。グランドスラム大会の決勝で負けることほど酷いものはない。でもたくさんの強い選手がいる。ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)もまだいる。“自分にチャンスがあるのか?”と疑問に思ったものだ。でも、ひとつ獲ったことで大きく変わった。ゼロのときに比べて自信が大きくなる。多くのツアー大会で優勝していたとしても、グランドスラムがゼロだと難しかった。クレーコートでもグラスコートでもこれまで目覚ましい成績を残せていない。とにかく、いつも自分のベストを尽くしている。自分のベストのプレーでUSオープン優勝できたら、最高だ。1回戦で負けても、自分のベストを出せたならOKだ」


練習前にアップをするメドベージェフ(Getty Images)

 今大会はどんな風に準備してきたのか。

「到着した日にできるだけ長く練習するようにした。チーム戦だから、一人でコートを独占することはできないからね。アンドレイ・ルブレフ(ロシア)と1時間打って、サーシャ(アレクサンダー・ズベレフ/ドイツ)と1時間半、次の日もサーシャと1時間、マッテオと1時間かな。自分のリズムを取り戻すためにすべての機会を生かした。感触は悪くなかった。試合前日はスタジアムで45分間。サービスなど細かいことに取り組んだ。できる限りの準備はしてきた。USオープン優勝の翌日にプレーしたらもっと感触はよかったかもしれないけど、そんなことできる人は世界中誰もいないでしょ?」

 第1セット3-4からよくなった理由は?

「相手のスタートがよかった。ネットにも積極的に出てきた。久々の試合になるとパッシングショットは本当に難しい。相手を抜くスペースがわずかしかない。そして彼のプレーに驚かされた。順応する必要があった。最初にブレークできたとき、ニューボールになってボールスピードが上がっていたので、速いショットで相手がビッグショットを打つための時間を奪ったんだ。それで自信を掴んだ。“この試合はいける!”と思えたのがその瞬間だった」

 USオープンのトロフィーはどこに飾る?

「獲得したすべてのトロフィーはモンテカルロの自宅だ。結構トロフィーが増えてきたから、大きな棚があるんだ。今後、2つ目の棚が必要になるくらい、たくさんトロフィーを獲りたいね。両親にはシドニーでもらったトロフィーをあげたんだ。一番大きいものだ。USオープンのトロフィーもモンテカルロに飾る」

 USオープンとレーバー・カップのサーフェスの違いを教えてほしい。

「完全に違うよ。まずインドアと屋外で全然違う。インドアはサーフェスの下に木材が敷かれていて、それは屋外では絶対にないもの。感触は全然違う。自分は屋外のほうが好きだ。インドアでもビッグタイトルを獲っているけどね。インドアのサーフェスは通常ボールが遅く弾む。でも、空気の抵抗が少ないからボールは速く飛ぶ。ここのサーフェスはかなり遅いから、欧州選抜に有利だ。誰がサーフェスを決めたのかは知らないけど、世界選抜は速いサーフェスを希望しただろうね。バウンドが小さいのには驚いた。普通は遅いサーフェスだと高く弾むものだから。最初に打った日はグラスコートでプレーしているような気分だった」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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