オーストラリアン・オープンのワクチン接種問題で政治家の意見が対立
新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種を受けていない選手が2022年オーストラリアン・オープン出場を許可されるか否かの議論は、水曜日にオーストラリア首相と州の政治指導者の意見が食い違ったことで関心が高まった。
テレビのインタビューに応じたオーストラリアのスコット・モリソン首相は、ワクチン未接種の選手は検疫ホテルで2週間の隔離を行いさえすれば入国を許可される免除の措置を受けられるだろうと発言した。
それに対してビクトリア州首相のダニエル・アンドルーズ氏は、ワクチン接種をしていないプレーヤーのために免除を求めないとメルボルンの記者団に言って応戦した。ビクトリア州政府は人々に数ヵ月のロックダウンを科しており、ワクチン接種率が高まったごく最近になって解除したところだった。
外国との国境に関する連邦政府のスタンスを明らかにするモリソン首相の動きは、移民大臣のアレックス・ホーク氏が来年1月にメルボルンで行われるオーストラリアン・オープンに出場するプレーヤーがワクチン未接種の場合はビザが出ない可能性が高いと示唆した1週間後に起きた。
特殊技術を持つ労働者や経済的利益をもたらす分野で入国資格を与えられた者たちには、長期的な国際国境保護規則の免除があるとモリソン首相は指摘した。
「経済的な理由で正当化される特別な免除があるならば、それは起こり得ます。しかし、その州の衛生規則に従わなければなりません。ワクチンを受けていない人々に2週間の検疫を科すのは、まあ賢明なことでしょう」と彼はオーストラリアの民間テレビネットワーク『ナインネットワーク』に話した。
今回のオーストラリアン・オープンに関する最終的決断は、ワクチンを接種していない人々の到着に制限を設けているビクトリア州が下すことになるとモリソン首相は補足した。
オーストラリアAP通信(AAP)の報道によればアンドルーズ氏は「私が非常に明確にしたいのは、ビクトリア州はワクチン未接種の選手に対してどのような免除も行わないということです。従って、問題は基本的に解決されたということです」と述べ、そのポイントを明らかにした。
「私はプレーヤーがワクチン接種を義務づけられていない中で、観客席に座っている人々や大会のために働いている人々にワクチン接種を要求するつもりはありません」
アンドルーズ氏はまた1週間で言うことを180度変えたように見えたことについて、「私はホーク大臣の見解を完全に支持していました。私はそれを連邦政府の見解であると受け取っていましたが、そうではなかったようです。連邦政府は180度方針を変えるような違った発言をしたのですから」と言って反論した。
厳しい出入国制限を行ってきたオーストラリアは18ヵ月ぶりに国境を開く準備を進めているが、それは来月から州ごとに段階的に進めていくことになる。オーストラリアでは完全にワクチンを接種した人々が未接種の人々に比べ、制限が緩和されている。
ワクチン接種を完全に終えている選手は12月1日から入国を許可され、その時点の検査で陰性であれば検疫を受ける必要はない。
モリソン首相の考えでは、ワクチン未接種の選手は2021年オーストラリアン・オープンと同様の規制を受ける。つまり未接種の状態で海外から入国する関係者(プレーヤー、コーチ、オフィシャルなど)は、ホテルで14日間の検疫期間を義務付けられる。
この両者によるやり取りに先立ち今週の初めにWTA(女子テニス協会)から選手評議会に送られた電子メールが漏洩し、ワクチン未接種の選手がビザを取得できる可能性は高いが検疫用のホテルで2週間の隔離を行う必要があることを示唆していたことが報じられていた。
大きなイベントを開催するため、オーストラリアはある程度の融通をきかせる必要があるとモリソン首相は主張した。
「我々は世界でもっとも高いワクチン接種率を誇るようになるのです。我々はCOVID-19による致死率がもっとも低い国のひとつでもあり、コロナ禍でもっともうまく経済を維持している国でもあります。我々は我が国で大きなイベントを開催することを望んでいます。我々はオーストラリアがオープンであり、行動を起こし続けていると世界に見せることを望んでいるのです」とモリソン首相は語った。(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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