プロ4年目の22歳・清水悠太が今井慎太郎を破って初栄冠、ダブルスは上杉海斗/松井俊英と井上雅/大前綾希子が頂点に [第96回全日本テニス選手権]
公益財団法人日本テニス協会(JTA)が主催する「大正製薬リポビタン全日本テニス選手権96th」(JTT-4/賞金総額2762万円/本戦10月30日~11月7日/兵庫県三木市・ブルボンビーンズドーム/室内ハードコート)は大会最終日を迎え、男子シングルスと男女ダブルスの決勝が行われた。
男子シングルスは第1シードの清水悠太(三菱電機)が第3シードの今井慎太郎(イカイ)を6-3 6-4で下し、大会初優勝を果たした。
続く女子ダブルスでは第4シードの井上雅(テニスラウンジ)/大前綾希子(島津製作所)が前日のシングルス決勝でタイトルを争った第2シードの川村茉那(フジキン)と光崎楓奈(h2エリートテニスアカデミー)の20歳コンビに6-4 6-4で快勝した。大前は5年ぶりの全日本ダブルス優勝で、井上はこの初優勝を最後に現役を引退する。
そして大会の最後を飾った男子ダブルスでは、第2シードの上杉海斗(江崎グリコ)/松井俊英(ASIA PARTNERSHIP FUND)が第2シードの清水/羽澤慎治(慶應義塾大学)の22歳コンビを6-1 7-6(3)と振りきった。43歳の松井にとってはこれが12年ぶり5度目の全日本ダブルス優勝で、未だ衰え知らずなところをアピールした。
◇ ◇ ◇
試合中はあまり派手にリアクションをするタイプではない清水が、勝利を決めた瞬間には大声を発した。
「コロナ禍で試合に出られない不安もあり、今年はケガもあったのでここで結果を残せてよかった」
決勝で涙を飲んだ2019年と第1シードでの出場で準々決勝敗退を喫した昨年を経て、悲願の初優勝だった。
決勝は今井のサービスブレークで始まった。トスに勝ってレシーブを選んだ今井はリターンから果敢なアタックを見せたが、清水が今井にリードを許したのは結局この一度だけだった。すぐにラブゲームでブレークバックに成功するとそのまま4ゲームを連取してリードを広げ、27分で第1セットを先取した。第2セットは今井が2度のダブルフォールトをおかした第3ゲームをブレークし、自身のサービスゲームはほぼ危なげなくキープした。
2人は清水がまだジュニアだった頃も合わせて5度対戦し、今井が3勝2敗と勝ち越していた。直近では1ヵ月余り前にスウェーデンで今井が大接戦の末に逆転勝ちしていたが、「気持ち的に僕のほうが気合が入りやすかったと思うので、その点はラッキーだった」という清水に対し、今井のほうは得意のサービスからの攻撃という持ち味を生かしきることができなかった。
「言い訳になるが、痛めているところが悪化してベストコンディションではなく、サーブの確率が高くなかったのが敗因のひとつ」
対照的に清水のほうはサーブ&ボレーにも要所でトライし、「最近練習していることなので、成果を出せてよかった。フォアで攻めてボレーで決めるという理想のプレーもだいぶ出せた」と勝因を語った。
清水にとってこの会場はホームコートでもあり、センターコートは4年前に世界スーパージュニアを制した場所でもある。スーパージュニアの本来の会場は靭テニスセンターだが、悪天候のために決勝はこのビーンズドームに移されたのだ。その優勝を最後にジュニアを卒業した清水は、「2、3年のうちにフューチャーズは抜け出したい」と青写真を描いていたが、この間にはITFサーキットのフォーマットやランキングシステムの変更があってATPポイントを獲得することが困難になった。そんな中で昨年からのコロナによるテニスツアーの変化にも不安を感じ、昨年末に痛めた脇腹のケガの悪化で6月から約3ヵ月間試合に出られなかったという背景もあった。
「いろいろ不安もありましたが、最後に結果を残せてよかったです」
優勝したからといって一段落ではない。今日のうちにもうフランスへ発つという清水の挑戦に、この優勝が何をもたらすだろうか。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)
撮影◎太田裕史 / YASUSHI OHTA
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