“ジョコビッチ騒動”に対する選手たちの反応、トロイツキは「テニスにとって悪夢のような出来事」と怒りを露わに
世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がメルボルンのタラマリン空港に到着したあとワクチン接種義務免除の医療的理由が不十分として入国を拒否された翌日、多くの選手たちがこの件について感想を求められた。
メルボルンで大会出場中だったラファエル・ナダル(スペイン)もそのひとりで、記者会見の場でまずアブダビで新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したあと回復は容易だったかと尋ねられたナダルは「いや、4~5日は本当に辛かった。倦怠感を感じ、熱があるから数日間ベッドに寝ているしかなかった。そして症状がなくなってからも膨大な疲労を感じた」と説明した。
「PCR検査で陰性の結果が出てから、なるべく早くオーストラリアに行こうと決めたよ。身体的にも精神的にも早く回復するにはここで準備するのが一番いいと判断したんだ。このオーストラリアの環境、コンディションに早く慣れることが重要だからね」
続いてジョコビッチについての質問が出ると、「もちろんそんなことが起きて欲しくはなかった。彼を気の毒に思う。でも同時に、彼はずっと前からここの条件や状況を知っていた。その中で彼は自分の決断を下したんだ」と答えた。
「現在起きていることは誰にとってもいいことではない。オーストラリアの人々は非常に厳格なロックダウンを何度も強いられてきたから、彼らがフラストレーションを感じるのは当然だ。僕は医学に精通している人の意見を信じる。ワクチンが必要だというなら、ワクチンを接種しないといけないんだよ」
またウインブルドン決勝でジョコビッチに敗れたマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)は「空港で何時間足止めされたのか知らないが、大変だったと思う」とまずジョコビッチに同情を示し、「でも同時に、オーストラリアの人々がそうした理由も理解できる」とコメントした。
世界2位のダニール・メドベージェフ(ロシア)は「規則があり、義務免除も規則内にある。何が起こったのかはっきりとは知らない。彼は免除許可を得たというメッセージを投稿し、それから懸念が生まれた…」と始め、「僕はキャリアの過程で頻繁にビザの問題で苦労させられてきた。一度イギリスのチャレンジャー大会でプレーできなかったことがある。昨年はアメリカに入国するためのビザがなく、大使館がCOVIDで閉まっていたからUSオープンを含む北アメリカの大会への出場が危ぶまれたんだ。僕らは皆、様々な国で違った状況に遭遇しているんだよ」と話した。
またジョコビッチが欠場となれば他の選手たちにとってチャンスが膨らむかと質問されると、彼は「グランドスラム大会のチャンピオンがひとり減る訳だからね。まだラファがいるけど、僕を含めて他の選手たちにはあまりグランドスラム大会での優勝経験はない…。まだ何も決まっておらず、彼はオーストラリアン・オープンに出場できるかもしれない。でも9度も優勝した人物がいなくなれば、もちろん多くの選手たちにチャンスは広がるよ。それは確かだ」と答えた。
一方でより熱情的にジョコビッチを後押ししてオーストラリア政府を責めたのは、同胞の元選手でデビスカップ監督のビクトル・トロイツキ(セルビア)だ。
「テニスにとって、悪夢のような出来事だ。このような扱い、このような苦難を受けたアスリートはこれまでいなかった。まったく許し難いことだ。これはテニスやスポーツに関係ない政治的な行為なんだ。オーストラリアの連邦政府がただパワーと範例を見せようと決めたんだよ。ノバクは義務免除の許可をもらって行ったのに、もはやそれは有効じゃないという。ジョークだ!」とトロイツキは怒りを露わにした。
トロイツキはジョコビッチと直接会話したときの様子について、「出発直前のジョコビッチから連絡をもらい、最後に言葉を交わしたのは彼が空港に着いて足止めされているときだった」と明かした。
「彼はまだ何が起きようとしているのか、どんな展開になるのかわからないでいたよ。彼が空港を離れたあとは話せていないんだ。チームのメンバーとは話したけど、彼らはノバクと一緒じゃなかった」
難民などビザに問題ある者を迎え入れているホテルにジョコビッチが滞在させられていることについて、トロイツキは「彼が質の悪い環境にいることは皆が知っている。彼のようなチャンピオンをそんなふうに扱うべきじゃない」と憤慨した様子で語った。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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