ジョコビッチのビザ再キャンセルについて世界中で様々な反応

写真はオーストラリアン・オープンの会場で練習中のノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 最後の審判を待つ間、世界の人々は新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン未接種ながら免除許可を得てオーストラリアに入国しようと奮闘中のノバク・ジョコビッチ(セルビア)について様々な意見を述べている。

 次々に展開が変わることから『ジョコビッチ叙事詩』と呼ばれるこの出来事について、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は「もしジョコビッチのオーストラリアン・オープン10度目の優勝を阻みたいなら、どうして彼をすぐに追い返さない? 何故ビザは不可能だと言わないんだ? どうして彼に嫌がらせをするのか」と発言した。

 しかしセルビア内にもこの一件をより理論的に見ている人々がいる。オーストラリアの日刊紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』の報道によれば、ベオグラードに住むタディッチ氏は「それぞれの国にそれぞれの規則がある。もしオーストラリアが入国するにはワクチンを打てというなら、打たなければならない。さもなければ問題に直面するだけだ」と話した。

 それ以外にも「ワクチン接種は多くの国で義務になるようだから、接種を避ければ他の大会でも問題となるだろう。もしトップに留まりたいならワクチンを接種するべきだ」と意見したセルビア市民や、「彼は世界1位に留まるためワクチンを接種するか、頑固に拒否してキャリアを終えるかよ」と言ったセルビア人女性もいる。

 これはアメリカ・ワシントンDCで発行されている日刊紙『ワシントンポスト』のコラムニストであるマックス・ブーツ氏が言っている内容に同調する。ブーツ氏は「テニスを続けたいなら彼はワクチンを接種し、他の皆に適用されるパンデミックの必要条件の抜け道を見つけようとするのをやめる必要がある」「彼は世界ナンバーワンのテニスプレーヤーでいるか、ナンバーワンのアンチ・ワクチン派になるか決めなければならない。その両方でいることはできないのだから」と指摘した。

 またイギリスの日刊紙『デイリー・テレグラフ』の記者は、「近年の歴史を見ると、裕福で権力を持つ者が現実を捻じ曲げて自分の望みに従わせることがますますできるようになってきているのがわかる。しかしパンデミックがこのトレンドを変える機会を提供しているのかもしれない」と述べている。

 その一方で、概してジョコビッチの振る舞いに批判的なオーストラリアでも彼を弁護する者はいる。

 元名選手で元オーストラリアン・オープン大会ディレクターでもあったポール・マクナミー(オーストラリア)は、ジョコビッチは医療的理由による義務免除の許可を受け取ったからオーストラリアに来たのだという点を指摘してジョコビッチを擁護した。

「飛行機に乗ったとき、ジョコビッチには自分が入国の権利を手にしていると信じる理由があったはずだ。ところが彼の前に同じ医療的理由で免除を受けた他の選手やオフィシャルは入国できたのに、彼だけが止められた」

 いずれにせよこの一件のせいで、オーストラリアン・オープンはますますコロナの濃い影の下で始まろうとしている。オーストラリアン・オープン予選に出場して「コロナの症状が出ている気がする」と話していたバーナード・トミック(オーストラリア)は木曜日に陽性と判定されており、今後さらに陽性示す選手や関係者が出てきたらどうなるのかという懸念の声も上がっている。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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