終わらない騒動、ジョコビッチのビザがふたたび無効に

写真はオーストラリアン・オープンの会場で練習中のノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 オーストラリア連邦政府のアレックス・ホーク移民大臣が金曜日の午後、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン未接種で同国に入国するための医療的免除の根拠の正当性を審議されて一時は裁判で入国を許されたノバク・ジョコビッチ(セルビア)のビザを大臣としての権限を行使して無効にした。

 決断を下した理由について、市民の健康と法の順守のためとホーク大臣は説明した。ホーク大臣は声明を通し、「内務省、国境警察、ジョコビッチ氏によって提供された情報を非常に注意深く考慮した上でこの決断に至った」と述べた。

 空港でジョコビッチが足止めされてから1月10日の裁判で入国許可を得るまでは彼の身を心配する声も出ていたが、そのあとジョコビッチが入国申告書に真実でないことを書き込んだことやコロナに感染したと知ったあとにも隔離に入らず他者と接触していた事実が判明してからは風向きが変わった。少なくともオーストラリア国内ではジョコビッチの行動を非難し、政府に正しい決断を要求する声が高まっていた。

 この決断に対してジョコビッチの弁護士は異議を申し立て、直ちに上訴した。ホーク大臣の弁護士であるステファン・ロイド氏は、その上訴の結果が出るまではジョコビッチの国外退去を求めないことに同意した。オーストラリア連邦裁判所で行われる次の審問は、現地時間土曜日の朝に予定されている。

 ジョコビッチの弁護団のひとりであるニック・ウッド氏は感染拡大を防ぐためオーストラリア国民がこれまで非常に厳格なコロナ規制に耐えてきた背景の中でホーク大臣はジョコビッチの入国を許可することがワクチン反対の感情を煽りかねないという考えのもとに彼を退去させようとしていると抗議し、ジョコビッチのビザをキャンセルするというホーク大臣の決断は理にかなっていないと主張している。

 多くの先進国と同様、オーストラリア政府はCOVID-19のワクチン接種を強く奨励している。アメリカ・ワシントンDCで発行されている日刊紙『ワシントンポスト』は、選挙が間近に迫るオーストラリアにおいて感染者数が増えている状況の中でワクチン未接種の有名スポーツ選手を入国させることが有権者であるオーストラリア一般国民の怒りを増幅させていると報じていた。

「国民はパンデミックの間に多くの犠牲を払っており、彼らがその犠牲の結果が守られることを期待するのは当然のことだ」とオーストラリアのスコット・モリソン首相はコメントし、ホーク大臣の決断を支持している。(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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