「苦しいときこそ笑顔。強くなれる瞬間なのだから」2回戦を制した大坂なおみ [オーストラリアン・オープン]

2回戦で勝利を決めて笑顔がこぼれた大坂なおみ(フリー)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の女子シングルス2回戦で第13シードの大坂なおみ(フリー)がマディソン・ブレングル(アメリカ)を6-0 6-4で退け、記者会見で試合を振り返った。

「スタートは凄くよかった。今日の試合は対応力の問題だけだと思っていた。第2セットで彼女がかなりいい対応をしてきた。そこで少し混乱してしまった。彼女にブレークされた直後にブレークバックできたことがよかった」

ハードコートのオーストラリアン・オープンとUSオープンでの通算成績は46勝8敗。ここメルボルンでは19試合で18勝。なぜここではほとんど負けないの?

「よくわからないけど、いい思い出がある。予選を勝ち抜いた若いときのことも含めて。ポジティブな思い出がある場所ではいいプレーができるのかもしれない」

この試合に1本だけフォアハンドを物凄くハードに打っていた。2014年に見たときはそんな打ち方をもっとしていた。フルパワーで打つことはあまりないの?

「試すことはできるけど、恐らくコートに入らないと思う。100%決める自信があるときしか強打はしない。若いときはもっとやっていたけど。今はそれほど必要と感じていない。ポイントを組み立てているから、必要ないのかも。リスクを犯すよりも確実にポイントを取りたい」

第2セットでブレークされて少しイライラしているように見えた。そこからどう立ち直った?

「あの瞬間は自分に失望していたけど、このような試合はグランドスラム大会で経験する必要があると思っている。ブレークされて苦しい時間帯にどうやって乗り越えられるかが大事。あのサービスゲームではポイントを急ぎ過ぎていた。不安定だったのは見ればわかると思う。ダブルフォールトもいらないときにやってしまった。でも次のリターンゲームで悪い状態を振りきろうとして、うまくできたんじゃないかな」

ブレングルは前の試合、ウィナー1本だけで勝つようなトリッキーな相手。

「若いときに彼女がプロサーキットでプレーしているのを思い出した。どんなボールでもとにかく返してくることで有名だった。その頃のことを思い出しながら、この試合ではアンフォーストエラーをたくさんしてしまうだろうけど、それを恐れないで攻め続けないと彼女はラリーを長く続けて自分のペースに持ち込んでしまうから。ネットでたくさんミスをしたけど、それでも前に出ていくことは重要だった」

今、今日のような苦しい展開を乗り越えるテニスIQの話をしていた。身についてきていると感じている?

「コートに立つ時間の問題だと思う。試合は練習とは全然違うから。私は特に、同じ強度でできないから。試合と同じ真剣さでは練習できない。そして他の選手たちの試合を見ていろいろ学んでいる。皆がこのような状況をどう乗り越えているのか。今大会は見ていて本当に面白い」 

君の試合を観ているとツイートしたアンディ・マレー(イギリス)に対して返信していた。

「さすがに試合中は見てないわよ。でも、素晴らしいこと。試合でプレーするときは、TVでどう放映されているとか、皆が観ているとかはまったく考えていない。ちょっと現実離れしている。彼とは3年前くらいに打ち合ったことがあるけど、彼のような人が私について話しているのは素敵なこと」

またテニスを楽しめるようになった要因は何? 

「試合に簡単に勝つこともできるから、チャレンジこそが楽しいということを自分に言い聞かせている。昨年は非常に辛い時期に、自分も悪くなっていってしまった。逆がいいなと思っている。苦しいときこそ笑顔でいたい。何故なら、そういう瞬間こそが自分を強くしてくれるんだから。マインドセットの変化はそんな感じかな」

試合を終わってから、あまり自分を評価しないと言っていた。その中で分析したり、次の試合に向けてコーチとどんな準備をするのか。

「すべての試合が大きく違う。相手のタイプも凄く違う。テレビで観たら結構同じに見えるかもしれないけど、実際に打ち合うとショットもテンポも全然違う。それを頭に入れて、あまりスコアを意識し過ぎない。例えば、6-2 6-2というスコアを見たら圧倒的な試合だったと思うものだけど、実際は苦しい時間もあるもの。そのため試合を通して集中しなければならず、精神的に疲労したかもしれない。アスリートというものは、試合中にどういう風に感じていたかよりも、勝敗やスコアで自分たちを評価する傾向がある」

その考え方は以前と変化した?

「うん。以前はスコアで自分のテニスを評価していた部分がある。今はすべてのポイントで戦うことに重点を置き、ブレークされたらブレークバックしようとか、そういう風に思っている」

3回戦の相手はアマンダ・アニシモワ(アメリカ)。選手、人としてどのくらい知っている?

「チャリティーマッチで2年前かな、打ち合ったことがあるくらい。練習も一緒にしたことない。まったく新しい経験になる。彼女が辛い時期を乗り越えたという話を聞いたから、今ここに戻ってこられたことが素晴らしい。若い選手との対戦はとても楽しみ。自分も若手の時代があったし、その気持ちがわかるから、楽しみにしている。彼女は性格もいいと聞いている」

他の選手の試合を観て、そこからインスパイアされているのは、どんなこと?

「ニック・キリオス(オーストラリア)の試合を昨夜見て、ジョン・ケイン・アリーナでキリオスのナイトマッチを観ないことにはオーストラリアン・オープンを観たことにならないと思った。彼はよくあのコートでプレーしている。彼のサービスは凄い。彼ほどのサービスの確率で私は打てないと思うけど。彼が戻ってきて観客を盛り上げているのは本当によかった。カルロス・アルカラス(スペイン)も観るのが好き、フォアハンドがいい。私のと交換したいくらい。他の選手を見るのは本当に楽しい。グランドスラムのエネルギーは他の大会とは大きく違う」

ペン・シューアイ(中国)について積極的に声を上げているのは、モラルの話、それとも個人的な繋がりから?

「どっちも少しずつかな。私はたくさんの選手と交流するタイプじゃないの。悪い意味じゃなくて、自分の殻から出るのが得意じゃない。彼女に会ったら挨拶もするし普通にしゃべる。もし自分が彼女の立場だったら、少し怖い。でも、少し声を上げて取り上げて欲しいと思っている」

マディソンと9年前に対戦したのを憶えているか。

「昔だから、あまり内容は覚えていない。対戦したので憶えているのはネット越しに握手をしたことくらいかな。ツアーにいる選手は誰もが何かしらの評判があるけど、彼女の場合はトップに到達人という感じだった」

マディソンのやりにくいところは?

「第1セットは彼女にチャンスを与えなかったけど、第2セットからは彼女のショットスピードが上がった、特にバックハンド。だから、それに早く慣れなきゃいけなかった。彼女は私の動きを凄く読むのがうまかった。特にネットに出たときはね。いつももう一球多く打たなければいけない感じだった」

ロッカールーム、プレーヤーズラウンジで知らない選手が増えた? どういうときにベテランだと感じる?

「知らない選手は増えている。同時にエキサイティングでもある。よく知っている顔もいる。オンス(ジャバ―/モロッコ)とはいつでも会いたいしね。それなりにここでのキャリアもあるから。でも皆に会えるのはいいこと。それなりにキャリアを重ねたから、ベテランのようには感じている。でも年季の入ったベテランではないよ。そこまで行くには10年以上のキャリアが必要だと思う」
 
テレビカメラのキャラクターは何ですか?

「いつも何かを書こうか考えている。絵が下手だから、いつも同じちょっと変なニコニコスマイルを描こうとしている。いつも何を描くか決めているけど、一度も頭に描いたものが描けたことがない。だから嫌になる。姉が絵を描くのが上手でアーティストのようだから、それも嫌。私はまともなスマイルが描けたことがない。」

プレーヤーズラウンジなどでは自分から声かけることもある?

「あまりラウンジにはいないようにしている。試合が終わったら、帰る。あまり話しかけないけど、思ったことは言っちゃうタイプかな。いいシューズを履いているなと思ったら、思わずそう相手に言ってしまうし」

サービスもストロークも強いからそれだけでも支配できるが、ネットでポイントを取る重要性をどう思うか。

「間違いなくネットプレーは重要。今日もデニス・シャポバロフ(カナダ)の試合を観たけど、男子の試合を観てネットに出る速さ、ネットでどう相手のショットを読んでポイントを終わらせるか。いつかは、自分もそのレベルに到達したい。もっとうまくボールを予測できるようにならないといけない。時間が経てば徐々にはよくなっていくとは思う」

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写真◎Getty Images

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