63回目のグランドスラムで初の準々決勝進出のコルネが語った「自分のこと、ペン・シューアイのこと」 [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の女子シングルス4回戦で、アリゼ・コルネ(フランス)が第14シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)を6-4 3-6 6-4で下して初の準々決勝進出を果たした。
「この試合について話したいことがたくさんあるわ。凄く暑くてきついコンディションだった。シモナも私と同様に苦しんでいたのがわかった。どちらも勇敢に戦い、持てるものをコートの上で出しきった。本当にドラマがあった。1セットと1ブレークアップから、何ゲーム連続かわからないけど取られまくって、第3セットでまた復活した。疲れ果ててもう頭が働かなかったけど、それが逆によかったかも。何も考えずにプレーを続け、トライを続けたら準々決勝にいけた。とても興奮している」
これまでの実績を見て、グランドスラム大会の準々決勝が今回初めてなのは驚きだ。何故ここまで時間がかかったのだろう?
「わからない。わかっているのは準々決勝にいけたこと。それが大事なの。ツアーを16年も回っているけど、私は絶対に諦めない。ここまでこられたことはとても重要なこと。ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)といった自分が尊敬する選手に勝つことができたから。過去がどうだったのかわからないし、今はそんなことはどうでもいい」
オンコートインタビューでエレナ・ドキッチ(オーストラリア)をハグしたいきさつを教えて欲しい。
「13年前、ディナラ・サフィーナ(ロシア)相手に2つマッチポイントがあったのに、取れずに負けてしまった。勝てば準々決勝でエレナと対戦するはずだった。そのあと一度もエレナとの対戦はなかったけど、何故か今日の勝利で彼女のことを思い出した。エレナが好きでずっと彼女のことを追ってきた。自伝も読んだし、どんな解説をしているのかも知っている。彼女は素晴らしい。すべてが勝利の瞬間にひとつになって、彼女とその瞬間を分かち合いたいと思ったの」
準々決勝に進み、ここから先の目標は?
「もっと先までいくこと。私はここで止まらない。まだ野望があるから。今日達成したことを誇りに思い、感謝するには少し時間がかかると思う。明日からは次の試合に頭を切り替え、勝ち進む方法を考える。この大空のように限界なんて見えない。今大会は本当に何かを成し遂げたい。人生で初めて、最後までいける予感がしているの。それが違いを生み出していると思う」
先日、今シーズンが最後かもしれないと言っていた。それを頭に入れて戦っているのが力になっているのでは?
「どうでしょう? テニスではとても複雑なの。メンタルはとても繊細。自分が確信を持って言えるのは、今年のシーズン前も私はハードワークをしたということ。少し方法を変えたの。最後のシーズンかもしれないと、自分に言い聞かせている。それが力になっているかどうかはわからない。自分の努力がここで実を結んだのかもしれない。でも今は調子がいい。コート上でもコート外でも凄く気分がいい。私のプレーを観ればわかると思うけど、すべては楽しむことなの。今日は楽しみよりも苦しみの多い試合だったけど、ポジティブにプレーしたのがよかったと思う」
準々決勝進出はずっとイメージしてきた通り、凄くいいものだった?
「そうね。本当にいい気分だわ。マッチポイントで取れたとき、涙を抑えられなかった。凄く感情的になってしまったけど、あれほどいい気持ちになるとは思わなかった。次の試合までいい気分でいられると思う。凄く長いこと待っていた瞬間だから、本当に心から味わいたい」
多くの人が君をドラマチックなストーリーと結び付けたいと思っている。
「それが自分だと思う。自然な自分を隠すことはできない。もし私が皆にとってドラマの主人公なら、多分そうなんだと思う。私は持てるすべてをコートで出そうとする。だからドラマが生まれるのかもしれない。ハレプのような選手と対戦するときは、1ポイントも逃さず戦い続けなければならない。間違いなくそれがドラマを生み出すの。人はコートの上で真実を見たいと思うもの。それが私だと思う。当然、いい面も悪い面もあるけど、今はいい面ばかりね」
今日の暑さだと屋根を閉じてプレーしたかったのでは?
「いい質問ね。でも考えもしなかった。屋根は気温35度のときではなく、雨が降ったときのためだと思い込んでいたから。でも、この暑さでは本当にきついから、閉じるのもありね。体調を崩す恐れもあるから。でも私たちはルールに則ってプレーするだけ。開いているなら、その状況できつくても全力で戦わないといけない。条件は皆一緒だから」
次の相手はダニエル・コリンズ(アメリカ)。彼女を知っている? この試合にどう臨む?
「対戦するのは初めてになる。この試合もドラマになるかもしれない。彼女はコート上でライオンのよう。彼女のショットの強さに感心している。私も強打だけど、ちょっとレベルが違う。彼女のようなハードヒッターと対戦するのはとても楽しみ。今日は勝利を楽しんで、明日にでも彼女の映像を見て作戦を考えたいと思う」
ペン・シューアイ(中国)の状況について積極的に意見を言ってきたけど、今大会でテニス・オーストラリア(豪州テニス協会)が彼女のことを心配するTシャツやバナーを取り上げたことをどう思っている?
「あまりここで起きたことの詳細が掴めてないから意見を言いづらい。正直ちょっと驚いている。どのように起きたかわからないので、ちょっと判断しにくい。ひとつだけ言えるのは、誰でもペン・シューアイをサポートする声を上げる権利があるということ」
63回目のグランドスラム大会で初の準々決勝。どうやって、そんなに長く気持ちを持ち続けたの?
「もういけると信じていたかどうかもわからない。だからいけたのかも。期待すると、あまり実現できないものだから。とにかくずっとテニスをする楽しみを探していた。いけるときがきたらいけるとしか思っていなかった。もう運命に任せるしかないと思っていた。でもずっとテニスが大好きで愛してきたのは確か。だからこそプレーし続けてこられた。試合になればいつでも全力を尽くしている。それが自分なの」
ペン・シューアイの問題について明らかになったときから発言していた。何故そこまで関わる?
「何故? 事件が明るみになった状況が普通じゃなかったから。彼女のことを長く知っているテニス仲間としてそうすることが自分の義務だと思った。私はとても正直な人間。正直すぎるときもあるけど、思ったことを口に出すタイプなの。事件のことを聞いたのは、ポルトガルで休暇のときだった。“何が起きているの?”“何かしないといけない?”“何か意見を言ったほうがいいの?”となった。答えは間違いなくイエス。多くの人が自分に続いてくれてよかった。まだ彼女の状況は不透明だけど、そこにスポットライトを当てたことは彼女にとっていいことだった。今はもっと詳細な情報を待っているところだけど、彼女が無事であることを皆が祈っている」
写真◎Getty Images
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