「テニスに別れを告げなければいけないかもしれないと考えていた」ことを明かしたナダルがふたたび決勝の舞台へ [オーストラリアン・オープン]
今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス準決勝で第6シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を6-3 6-2 3-6 6-3で退け、13年ぶりとなるチャンピオンの座まであと1勝と迫った。
グランドスラム大会で20回優勝した経験を持つナダルだが、同大会では2009年に一度制したしたことがあるだけだ。
ストローク戦では完全に相手を上回ったナダルはこの日、大きな問題に直面することもなく順調に最初の2セットを取った。第3セットではベレッティーニがレベルを上げて一矢を報いたが、勝負の行方を覆すには至らなかった。
ナダルは決勝で、第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)を7-6(5) 4-6 6-4 6-1で破って勝ち上がった第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)と対戦する。
昨年の後半をケガで棒に振り、復帰した直後に新型コロナウイルス(COVID-19)感染と健康面の様々な問題を乗り越えてここに至った35歳のナダルは、それにもかかわらず同大会で6度目の決勝進出を決めたことに喜びを隠さなかった。
屋根が閉じていたことの影響について試合後に尋ねられ、ナダルは「僕が屋外のほうが好きなのは皆の知るところだけど、1ヵ月半前に僕は自分がテニスを(ふたたび)プレーできるかさえわからないでいたんだ。だから屋根が開いていようが閉じていようがどうでもいい。僕はただ楽しみたかった」と答えた。
彼はまたのちに行われた記者会見で、「僕にとってこれは特にワクワクさせられる成功だ」とスペインの記者たちに話していた。
「(ふたたび高いレベルでプレーできているという事実は)恐らく優勝よりも、グランドスラム大会のタイトルよりもエキサイティングだ。何故なら僕はこの結果を期待していなかったし、ここ数ヵ月を通してすべてが非常に厳しく辛いものだったからね。正直に言って、僕にとってグランドスラム大会で21個目のタイトルを獲るよりも、テニスをプレーできるということのほうがずっと重要だよ」
その場でナダルはふたたびツアーに戻れるかさえを疑っていた数ヵ月を、「(トンネルの先の)明かりが見えなかった。もしこのような状態が続くならテニスに別れを告げなければいけないかもしれないと考え、チームや家族と大いに話し合った」と振り返った。
「長いこと練習すらできず、できても時間が短かかったり、まちまちだった。あのときには、ふたたび5セットマッチをプレーする自分を想像できなかったよ」
自分のケガについて「完治させるのは無理なもの」だとナダルは説明し、そのため「残りのキャリアを通してこの疑念を抱き続けるだろう」とも明かした。
「でもここ3週間を通して自分がやってのけ、今やっているレベルで戦えていることを本当にうれしく思う。それだけでなく、ふたたび最高レベルで世界最高峰の選手たちと対戦できること自体が信じられないほど素晴らしいことだ」
一方で同じ新勢力でもメドベージェフやチチパス、或いはデニス・シャポバロフ(カナダ)らと比べて今のところ超大物に相対したときの“絶対に倒そうとする気迫と信念”が足りず、1セットを取るのがやっととなっているベレッティーニはロッカールームでナダルと交わした会話を喜び、「彼と会話できてよかった。僕はまだ彼らから学んでいるところだから」とコメントした。
「僕のテニスのレベルはどんどん高くなってきている。彼が苦労していたとは言えないが、僕と競るために最高のプレーをしなければならなかった。それが偉大なチャンピオンというものだ。こちらがレベルを上げたとき、彼らも上げてくる」と語った25歳のベレッティーニは今やトップ10の力を確立させたが、レジェンドたちへの敬意が高すぎるために彼らを倒すという気迫がまだ不足しているように見える。
「僕はこれらの試合から学ぶことができる。次に当たるときには(彼らを倒す)準備ができているようにしたい」とベレッティーニは締めくくった。
写真◎Getty Images
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