スウェーデンのエース交代で想定外の開幕、お互い動揺最小限に意地を示した1勝1敗 [デビスカップ日本対スウェーデン]

写真はオープニングセレモニーの様子(写真提供◎日本テニス協会)


 男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten」のファイナルズ予選「日本対スウェーデン」(3月4、5日/スウェーデン・ヘルシンボリ/室内ハードコート)が始まり、初日はシングルス2試合が行われた。

 日本は第1試合で綿貫陽介(フリー)がエースのミカエル・イーメル(スウェーデン)から急遽代わって出場したドラゴス ニコラエ・マダラシュ(スウェーデン)を6-4 6-4で下して白星スタートを切ったが、第2試合でダニエル太郎(エイブル)がエリアス・イーメル(スウェーデン)に5-7 4-6で敗れて1勝1敗で初日を終えた。

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 16ヵ国が出場するファイナルズ進出をかけた戦いに錦織圭(フリー)と西岡良仁(ミキハウス)のトップ2を欠く日本だが、トップ100への返り咲き目前のダニエルをエースとし、昨年ワールドグループⅠのパキスタン戦での勝利にも貢献した綿貫を2番手に据えたオーダーで初日に臨んだ。

 開幕戦を担ったのは綿貫で、相手はスウェーデンのエースで世界ランク85位のミカエル…のはずだった。「ミカエル」よりも「イーメル兄弟の弟のほう」と言ったほうがわかりやすいだろうか。2歳違いのこの兄弟はそれぞれ17歳の頃からデビスカップ代表として戦い、昨年のファイナルズでベスト8入りしたスウェーデンの2本柱だ。特に弟はツアーでもATP250での準優勝と自己最高67位という実績がある。そのミカエルが試合直前になって右手首の故障を理由に試合を断念し、代わってコートに現れたのはこれがデ杯デビューとなる24歳のマダラシュだった。

「トップ2人が不在の中、2番手としてプレーすることになり、デビスカップは1試合目に勝つか負けるかでチームの雰囲気が変わることは僕も経験があった」という綿貫だが、相手が世界327位となれば勝利への責任感はなおさら強まったに違いない。急な変更に動揺はあって当然だが、岩渕聡監督が「綿貫が動じず、オープニングマッチの緊張の中で素晴らしいプレーをしてしっかり結果を出してくれた」と称えたように、アグレッシブな気持ちを前面に出しつつ要所を押さえる試合運びを見せた。

 マダラシュはパワフルだがやや粗雑で、特に序盤はその凡ミスの多さにも助けられた綿貫が立ち上がりのゲームと第5ゲームの2度ブレークに成功。第8ゲームでひとつブレークを返されたが、2度目のサービング・フォー・ザ・セットはファーストサーブの高確率でプレッシャーをかけてしっかりと締めくくった。

 第2セットはブレーク合戦になったが、自身3度目のブレークで5-4とした綿貫がファーストサーブをすべて入れてラブゲームでキープし、大事な先勝をもぎ取った。

 第2試合のカードはダニエルとイーメル兄弟の兄エリアス。チャレンジャー大会やツアー予選も含めれば6度目の対戦で、過去の直接対決はエリアスの3勝2敗だが、2月末のドバイ予選ではダニエルがストレートで快勝していた。しかし、サーフェススピードの違いが異なる結果を生む一因となった。

「ドバイのサーフェスはけっこう速くて、ここは遅め。僕にも合っているけど、彼のプレースタイルにもより合っているので、長いラリーの多いバトルになった」とダニエルはコメントした。

 第1セットで先にチャンスを掴んだのはダニエルだったが、第4ゲームで3度あったブレークポイントを生かせず第7ゲームでブレークを許した。ダニエルは第10ゲームで12回ものデュースの末ブレークバックを果たしたが流れを引き寄せきれず、直後のゲームでふたたびブレークされて5-7でセットを失うと、落胆を引きずるように第2セットはサービスダウンからスタートし、ブレークバックのチャンスは一度も訪れないまま敗れた。

 オーストラリアン・オープンでの3回戦進出など今季は開幕から好調なダニエルだったが、デビスカップ出場は3年ぶりという状況が多少影響したのかもしれない。

「結果的には残念で、重くて悔しい気持ちですけど、レベルの高い試合だったと思う。微妙な場面で焦っちゃって、デ杯の圧を少し感じた試合だった」

 しかし、明日に繋がる内容だったと岩渕監督もダニエル本人も確信を込めた。明日はダブルスから始まる。ペアとしての実績はないアンドレ・ゴランソン(スウェーデン)/マダラシュに対し、日本はマクラクラン勉(イカイ)/内山靖崇(積水化学工業)のデ杯経験十分なペアで臨む。のちのちまで続く自信をチームにもたらしたい一戦だ。

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写真提供◎日本テニス協会

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