「普通に優勝できると思っていた」東京オリンピックを振り返る大坂なおみ [WTAインディアンウェルズ]

1回戦に勝利してファンに手を振りながらコートを後にする大坂なおみ(フリー)(Getty Images)


 WTAツアー公式戦の「BNPパリバ・オープン」(WTA1000/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/3月日9~20日/賞金総額836万9455ドル/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、世界ランク78位の大坂なおみ(フリー)が同38位のスローン・スティーブンス(アメリカ)を3-6 6-1 6-2で倒した。

 強風の悪コンディションの中で勝利をもぎ取った。

「正直、しばらく強風の中でプレーしていなかったので、なかなか難しかった。何だか自分の命を懸けて戦っているようだった! スローンと戦いながら、風とも戦っていた。大変だったけど、相手も同じ状況なんだと自分に言い聞かせ、集中してこの状況下でベストのプレーをしようと心がけた」

今大会、多くのファンが大坂の登場を楽しみにしていた。

「会場を歩いているときにファンに会うと“優勝してね!”“決勝のチケットを買ったから、楽しみにしている”みたいなことを言われる。でも、皆が本当に言いたいのは、“楽しんで!”ということ。それが最大の違いではないけど、私にとっては大きな意味があった。自分自身でいられると感じられた」

コートに登場したとき、大歓声で迎えられた。

「初めてツアー優勝した大会だから、たくさんの思い出がある。同時にすべてが凄い早さで進んでいるとも感じている。優勝したとき、勝ち上がる中で倒した相手を皆よく憶えている。他の大会ではほとんど何も憶えていないんだけどね。ここで優勝したことで大きな自信を手にして、その年のUSオープンでも優勝できた大きな要因になった。ここの応援は大きな意味がある。素晴らしいエネルギーが溢れており、皆の応援に感謝したい。スローンは偉大なチャンピオン。次回はもっといいコンディションで対戦したい。ここに戻ってこられてうれしい。応援に来てくれてありがとう」

精神状態も良好だという。

「今はいい状態にあり、気分もいい。心が平穏でいられるのは本当に気分がよく、ありがたいこと。いつも頭の中には不安がある。“こんな風にプレーできるのかしら?”と思い悩んでしまう。でも、自分が対戦する相手も常に変化している。皆が上達しているの。自分が停滞しているとも思っていない。自分が他の選手よりもうまくできることもある。人生は常に進化し続けることだと思う」


大会前のエキジビションマッチで、自身がオーナーを務めるアメリカの女子サッカーチーム、ノースカロライナ・カレッジのユニフォームでプレーする大坂なおみ(フリー)(Getty Images)

昨年の東京オリンピックでは、開幕式で聖火点灯ランナーの重大な役割を担い、それを本番まで秘密にするのはストレスだった。そして大会での3回戦敗退は大きな傷になった。

「自分には何でもできると思っていた。そんな簡単にうまくいくはずがないのに、初めてのオリンピック出場で、しかも東京で優勝することは、自分には達成できることだと思っていた。簡単なこととは言わないけど、グランドスラム大会などで優勝していたことで、ある意味普通に勝てるのだろうと思っていた。でもあそこで負けたことで、自分がただの人間なんだって思い出すことができた。自分が人間じゃないと思っていた訳じゃなくて、大会が得意なハードコートだったから、チャンスはかなり大きいと思ったいたの」

 2月のオーストラリアン・オープンの3回戦敗退は意外とポジティブにとらえられた。

「コートを去るとき、ベストを尽くしたし、マッチポイントもあった。悪くなかったんじゃないかと思った」

今は限られた現役時代を満喫したいという心境になっている。

「自分の人生の中で、今は何年も、何年も練習してきたテニスを思い切りプレーしている時期。でも70歳になって振り返ったら、テニスをしている時期なんてほんのわずかな期間だと思う。今はプレーできるのだから、テニスを目一杯楽しみたい。すべての小さなことに感謝して生きたい。あ、小さなことではなかった。私が出場するすべての大会は大きな、大事なことだから」

 大坂は2回戦で、第21シードのベロニカ・クデルメトワ(ロシア)と対戦する。

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写真◎Getty Images

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