ともにケガからの復活を目指すグランドスラム優勝経験者同士の1回戦はマレーに軍配、ティームの復帰後初勝利はまたもお預け [マドリッド・オープン]

写真は試合後に握手を交わすアンディ・マレー(イギリス/左右)とドミニク・ティーム(オーストリア)(Getty Images)


 ATPツアー公式戦の「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/スペイン・マドリッド/5月1~8日/賞金総額749万9290ユーロ/クレーコート)の男子シングルス1回戦で実現したグランドスラム大会優勝経験者同士の対決は、アンディ・マレー(イギリス)がドミニク・ティーム(オーストリア)を6-3 6-4で下して勝利をおさめた。

 長期の戦線離脱を伴うケガから復活しよう奮闘しているふたりの対決は、その過程をより早く始めたマレーに軍配が上がった。ティームは今年のクレーコートシーズンからその歩みを開始したが、マレーは2年以上に渡って取り組んでいる。

 とはいえマレーにとって、マドリッドに戻ってきたのは久しぶりだった。彼が前回同大会でプレーしたのは世界ランク1位だった2017年で、クレーコートでプレーすること自体がほぼ2年ぶりとなる。これは彼にとって、2017年フレンチ・オープン準々決勝で錦織圭(フリー)に勝って以来となるクレーコートでの白星でもあった。

 当初はクレーコートシーズンをスキップしようと考えていたがマドリッドのワイルドカード(主催者推薦枠)を受け入れたマレーは、「楽しかったよ。ここに来る前に、本当に一生懸命準備をしたんだ」と試合後にコメントした。彼がこれ以前にクレーコートで公式戦をプレーしたのは、2020年フレンチ・オープンでのことだった。

「一生懸命に頑張っていいパフォーマンスをしたいと心から願っていたし、それができたと感じている。数年前にクレーコートでプレーしたとき、僕は股関節の問題で苦しんでいた。ここ数週間はとても体の調子がいいし、今夜は動きもよくて本当にいい試合ができたよ」

 一方で右手首のケガから回復して3度目のATPツアーに臨んだティームは、またも勝利を掴むことができなかった。この日のティームは第1セット2-2まではよく食い下がって断続的に目覚ましいショットを繰り出したが、彼の武器であるパワフルなフォアハンドはまだ安定性を欠いていた。ティームは試合を通して33本のアンフォーストエラーを犯したが、そのうち24本がフォアハンドだった。

 ティームのカムバックについて聞かれたマレーは、極めて困難な道のりになるはずだと答えた。

「言うまでもなく彼は最初にケガをした訳だけど、戻ろうとする過程で何度か後退もあった。精神的に自信を感じられるようになり、全力でショットを打ち込めるようになるには時間がかかるんだ。僕も20歳くらいのときに手首をケガしたことがあるけど、凄く難しかった。ふたたび痛みを気にせずフォアハンドを打てるようになるまでにはかなり時間がかかったよ」とマレーは自身の経験も踏まえて話した。

「彼はプレーするときに重いトップスピンをかけるから、手首を大いに使う。明らかに時間が必要だろうけど、それでも彼は変わらずボールを凄くいい感じに打てている。サービスもいいし、よく動けている。時間が必要なだけだよ」

 自身も復帰直後は苦労していたが、マレーは今季の1回戦での戦績を8勝1敗とした。

 マレーは次のラウンドで、ラッキールーザー(予選決勝で敗れたが欠場者が出たため本戦出場権を得た選手)のユーゴ・アンベール(フランス)を7-6(1) 6-3で破って勝ち上がった第14シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。ふたりは昨年7月にウインブルドンの3回戦で一度顔を合わせており、シャポバロフが6-4 6-2 6-2で勝っている。

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写真◎Getty Images

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