「ウインブルドン欠場で世界ナンバーワン? それはいいね」1回戦勝利のメドベージェフ [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス1回戦で、第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)がファクンド・バグニス(アルゼンチン)を6-2 6-2 6-2で下した。
「昨年からフレンチ・オープンで歓迎されているように感じる。1回戦にはとても満足だ。クレーでは相手よりも自分に集中しないといけない。ミスをしちゃいけないんだ。相手コートに何度もボールを返す。今日はうまくできた。フィジカルもメンタルの状態はいい。2回戦も簡単じゃないだろうけど、準備はできている」
かつてクレーが嫌いだと言っていたが、昨年からは好きになってきたと言っていた。
「今でもハードコートのほうが好きだし、よりよいプレーができる。試合の流れも読める。ここロラン・ギャロスの1回戦で負けていた頃は少し驚いたんだものだ。タフな相手、タフな試合があったけど、ロラン・ギャロスのクレーは他と少し違う気がする。他のクレーよりも速く、バウンドも少し低い」
「だからよりよいプレーが求められる。昨年はそれができた。今年も順調だ。でもグランドスラムで相手が強いから、2回戦、3回戦で負けることもある。そうなったら残念だ」
「でも、ここでいいプレーができると思う。他のクレーはもっとタフだが、2019年のモンテカルロ、バルセロナではいい試合もあった。いい成績を残す力が自分にはある。100%集中して、どんなことにも対処できるようにしたい。今のところその準備はできている」
クレーでプレーするときよくないのは、メンタル面?
「メンタル面じゃないと思いたい。毎年クレーシーズンが始まるとき、“よし頑張るぞ”と言う気持ちになるし、前回よりいいプレーがしたいと思っている。今年は少し違って、少し慣れるのに時間が必要だ。クレーでプレーしていると、どんな相手にも負ける可能性があると感じる。練習拠点のムラトグルー・アカデミーで練習するときのようにね。ポイントを持たないジュニア選手にだって負けることだってある。とにかく順応してコーチと解決法を探っている。試合を重ねて体の状態がよければ慣れてくるけど、いつもはクレーで体の状態が少し悪くなってしまうからね」
「メンタル面より、気になるのは動きの部分かな。ボールに土がついて重くなるから、ストロークが安定しない。ロラン・ギャロスではさほど感じないけど、ジュネーブではそんな感じで、いいショットを打ったと思ってもネットにかかってしまった。どうすればよくなるのかわからないと難しいし、次のショットで迷いが出る。でも、ロラン・ギャロスでは問題ないから大丈夫だ」
14歳でラケットを投げた試合があったと聞いたが、それはここロラン・ギャロス?
「いや、パリ周辺のテニスヨーロッパU14だ。僕にとって初めてのヨーロッパでの大きな大会だった。準々決勝のひとつ前で敗退したと思う。今大会に出ている選手も何人かいた。6-0 5-0でリードしているところから突然崩れたりした。今はその要因がわかっているけど、当時はわからなかった」
「僕は今も発展途上だ。試合中にキレたりするからね。もちろん反省している。それが起きないようにして試合に集中することが大事なんだ。2、3年前に比べ、その面ではかなりよくなったとは思う」
ATP(男子プロテニス協会)がウインブルドンでポイントを加算しないと決めたことについてどう思っている?
「まずはロラン・ギャロスに集中したい。ウインブルドンについていろんな情報が飛び交っているけどね。ATPの決定についてコメントするのは難しい。彼らの声明を読んだけど、とても論理的だと思った。ウインブルドンが僕らの除外を発表したときは、それがなかった。どちらの決定が正しいなどと言っている訳じゃない。その決定の説明を見たとき、ATPの発表した内容は論理的で一貫していた」
現状では君はウインブルドンでプレーできないけど、欠場するのに世界ナンバーワンになるという奇妙な状況にある。
「不思議だね。正直に言うと、ウインブルドンでプレーできたら本当にうれしい。大好きな大会だ。グラスコートも好き。どちらにせよ、ロラン・ギャロスの次はグラスコートでプレーするよ。出られなくても次の大会のために準備はする。ポイントが付与されないから世界ナンバーワンになる可能性があるのは自分にとってはいいことだ。ポイントが与えられれば僕はナンバーワンにはなれない。それがすべてだ。ATP、ウインブルドンの決定を僕が変えることはできない」
カルロス・アルカラス(スペイン)は若いのにドロップショットがうまいと評判だ。彼のプレーを君はどう見ている?
「インディアンウェルズで一緒に練習した。僕は物凄く調子が悪く、敗れた。練習で何度もドロップショットを打ってきた。取れるのもあったし、ポイントを取られることもあった。彼はいろんなことを仕掛けてくると思った。実戦でも同じようにできるのかなと思った。実戦になるとドロップショットを打つのが難しくなる。クレーでの彼のハイライトを少し見たけど、大事な場面でしっかりドロップショットを決めていた」
「ドロップショットがうまいのは、彼のストロークが男子選手の中でもっとも重いからなんだ。彼のショットを待っているとき、どうしても後ろに体重がかかるから、ドロップショットが有効になる。彼のドロップショットはとても効果的だ、今後ずっと狙うのかどうかはわからないけど、どうなるか見てみたい」
ヘルニアの手術を受けたのに動きがかなりいいように見える。驚いている?
「初めてのことだから比べることはできない。だから驚くべきことなのかどうかもわからない。手術を受けたとき、クレーでは戻ってこられないと思っていた。グラスコートで復帰する予定だった。でもチーム、ドクター、フィジオらとできるだけ早く復帰できるプランを考えたんだ。復帰時期の目標がないと難しいからね。痛みが出たらすぐにストップする予定だった」
「手術から4週間でスタートした。通常6週間かかることもあるという。痛みがないから徐々に強度を上げていった。初日は30分、2日目は45分とね。ジュネーブに行って自分の状態をチェックしたら、凄くいい状態だった。ロラン・ギャロスの前にかなり追い込んで練習できた。チームのおかげで今は100%の状態だ」
SNSで選手は多くの批判を受け、殺害予告もある。君もそう?
「簡単に答えられないな。自分の立ち位置にもよるからね。もし自分がランキング700位でフューチャーズ大会に出ていても、多くの人が自分に賭けるなら影響は大きい。もし負けたら、賭けていた人たちは自分や家族を侮辱するだろう。理解できないけどね」
「僕は自分の仕事に集中している。試合では必ず勝者と敗者がいるのに敗者は誹謗中傷を受ける。メンタル面できついこともあるけど、ランキングが上がり、多くの試合でプレーするようになると、それが理解できる。解決法はわからない。今大会で負けた選手のインスタグラムを見ると、すぐにコメントが大量に寄せられる。いいものじゃないけど、それもこの仕事の一部だ。僕も当然嫌だけど、それが現状だ。これらの状況に対処する必要がある。僕には解決法がないし、他の選手にあるのかわからない。このようなことがなくなればいいと思う」
メドベージェフは2回戦で、ラスロ・ジェレ(セルビア)と対戦する。
写真◎Getty Images
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