「この状況下で嫌がらせもされないし、感謝している」1回戦突破のルブレフ [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の男子シングルス1回戦で、第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)がクォン・スンウ(韓国)を6-7(5) 6-3 6-2 6-4で倒した。
「クォンとは今年2度目の顔合わせで、ドバイでの対戦は本当にタフだったから、今回も予想通りに難しい試合だった。第1セットは強烈なショットで僕にチャンスを与えてくれなかった。確かドバイでは20分で0-5になったと思う。彼が強打するのはわかっていた。粘りがあるし、第1セットは本当にハイレベルだった。それに対して僕はあまり自信がなかった。ローマの1回戦で敗れて以来の試合だったから。少し緊張した。でも少しずつ、よりよいプレーを取り戻していった。試合を締めくくるころには、スタートよりもだいぶ調子が上がっていた」
第1セットを落としたあと、ボールを思い切りベンチに打ち付けたとき、アンパイアとどんな話をした?
「アンパイアとは何も話してないよ。彼に何かを聞いたことはあったけど、口論ではない。今日は何も問題なかった。でも第1セットは凄く競っていて、気持ちが大きく揺れていた。コントロールしようとした。ポジティブでいようとした。0-30、ブレークポイント、くだらないミスがあり、かなりきつかった。取られたあとに少し気持ちが切れてしまった。あんな風にボールを打つことは許されない。後悔している。まだ自分のベンチにラケットを叩きつけたほうがよかったかもしれない。ボールが誰かに当たってしまうかもしれないから。プロとして恥ずべき行為だった。二度とやらないようにしたい」
数週間前の話になるが、セルビア・オープン決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)と素晴らしい試合をした。大きな自信になっている?
「世界ナンバーワンを彼の母国で倒すのは素晴らしいものだった。でも、ノバクはあのとき万全ではなかった。本来の80%にも満たなかったと思う。しかもすべての試合が3セットにもつれる厳しいものだった。決勝では明らかに疲れていた。彼はホームで戦っているから、皆は当然優勝すると思っている。とんでもないプレッシャーだ」
「しばらく実戦から離れていて、突然ホームで皆が勝つと思うスタジアムでプレーするのは物凄く大変だ。彼は決勝まではうまくやったし、もう少しで僕を倒すところだった。僕が勝てたのは彼が疲労困憊だったから。そのあとノバクはマドリッド、ローマで本来の素晴らしいプレーを取り戻した。今大会もいつもの強いノバクに戻っている」
ATP(男子プロテニス協会)がウインブルドンのポイントを加算しないと決めたことに、君の意見を聞かせてもらえないか?
「正直に話そう。まず、ウインブルドンがATPとの間のルールを破った。それがまず最初だ。決めたことだから、破るのはいけない。でも破った。大会について何でも好きにできる訳じゃないんだ。大事なのはチームワークなんだ。テニスは、選手は大会が必要で協力する必要があり、大会側も選手の協力を必要としている唯一のスポーツだ。選手と大会が現在のように悪い関係にあると、悪いことしか起こらない。大会側が勝手にやりたいようにやると、いいことは何も起こらない。今後は一緒に協力しようよ。大会が何かが起きると選手はそれを守らないといけないし、選手に何かが起きると、大会も選手を守らないといけない。ともに協力することでテニスは成功する」
「もしウインブルドンが他のグランドスラム大会と協力して、まったく別のツアーを開催してしまったら、テニスは破滅に向かう。テニスが100年以上かけて作り上げてきた栄光を破壊してしまう。ビッグネーム、情熱、すべての歴史だ。協力関係が唯一のいい方法で、悪い関係ではいけないんだ」
ポイントがもらえないからと、何人かのトップ選手がウインブルドンを欠場すると思う?
「これについて選手たちと話していないからわからない。でもトップ選手は出るだろう、ラファエル・ナダル(スペイン)やノバクはポイントや賞金のためにプレーしているわけじゃない。彼らはグランドスラム最多優勝回数の歴史を作るためにプレーしている。彼らの目的は普通とは違う。だからこそ3人の偉大な選手たちが素晴らしい栄光を掴めるように、選手と大会はしっかり協力することが重要だ」
「もし協力できなければ、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファ、ノバクがここまで築き上げてきたものを破壊してしまう。彼らは違う世代だが、それをリスペクトしないといけない。そのために、選手と大会はお互いを守らないといけない」
「このようにしてテニスは今後も成長していく。これまではビッグ3のおかげでここまで成功してきた。彼らはテニスの広告塔となり、その地位を史上最高のところまで引き上げてくれた。ファンが試合を観たり、賞金について興味を持ち始めたのは、この3人のおかげだ。だから、本来なら逆のことも行われなければならない。テニス界もこのビッグ3をもっと大々的に宣伝してサポートすべきなんだ。僕はそれこそがチームワークだと思う」
この数ヵ月間、ロシア人として世界中を移動して、大勢の前でプレーするのはなかなか大変だったのではないか?
「僕については物凄く恵まれていると思う。この状況下でね。移動してテニスを続けられるのは物凄く幸運だと思う。また、自分に関わる人たち、観客の皆も僕に対して感じよく接してくれるし、応援してくれる。嫌がらせもないし、ありがたいことだ。本当に感謝しているし、自分が物凄く恵まれていると思う」
写真◎Getty Images
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