「私自身も疑問がある」ナイトセッションについて語る大会ディレクターのモレスモー [フレンチ・オープン]
今年フレンチ・オープンの大会ディレクターに就任したアメリー・モレスモー(フランス)が記者会見でナイトセッションの導入について語った。2度のグランドスラム優勝経験を持つレジェンドに対して、厳しい質問が次々と浴びせられた。
あなたの役割は選手の環境をよくすること。彼らの意志に反して夜中遅くまで試合をさせるのは何故?
「簡単な問題じゃない。大会ディレクターとして1年目。大会のスケジュールを含め、今いろんなことを勉強中なの。夜遅い時間帯の試合は議論を巻き起こすもの。私自身も疑問を抱いている。大会後にはフィードバックが行われるけど、全体の中でのたった10試合の話。10試合は中1日で行われ、十分な休息が取れる。ラファも2日後なら、と言っていた。私の中でまだ答えは出ていない。何がうまくいき、何がうまくいかなかったか、これからしっかりブリーフィングして次回へ繋げていく。間違いなくこの問題は話し合う必要がある。一つ前の試合が夜8時15分には終わっていたのだから、8時半に最後の試合を開始してもよかったのでは。今はロラン・ギャロスでの試合は遅くからスタートすることになっている」
アマゾンプライムの放映権が優先されているが、スタンドに足を運ぶファンのことはどう思っている? 記者も夜中の3時まで仕事をすることになる。
「あなたはスタジアムにいた観客の姿を見たの? 1時半に試合が終わったとき、スタジアムは満員だった。終わる前に帰宅した人はわずかだった。ナイトセッションのスタジアムはよかったと思う。毎晩スタンドは一杯だった。ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)とステファノス・チチパス(ギリシャ)の試合だけは実際に早く席を立つ人が多かった。他の試合はそれほど長くならなかった。多くの観客に溢れ、本当に熱狂的だった。平日で日中に仕事をしてから夕方から試合を観戦することができた。彼らにとっては素晴らしい息抜きになってのでは? 実際かなり遅くなった試合もあった。ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)の試合は確かに遅すぎたと思う。少し目的とずれてしまった」
翌日仕事があるのに、テレビの前で観ている人にとってもいい時間帯ではなかった。問題はスタンドの観衆だけではない。
「でも、先ほどはスタジアムで試合を観ている観衆のことを話していたじゃないの? テレビ視聴者については、まだフィードバックを十分に得られていない。これまで聞いた話では、日中に仕事をして週末は試合を観られる。でも平日は試合を観られないから、今回ナイトセッションで観られるからうれしいという意見を聞いた。私はナイトセッションを守ろうとしている訳じゃないけど、まだ話し合いの途中。まだ大会も途中だけど、オンラインやテレビで試合を観る人にとっては、いい時間帯なのかもしれない」
スケジュールが被らないように、もっと早く始めるべきではないのか?
「そのオプションはあり得るし、考えている。12時スタートの第1試合を11時にする方法もある。まだ大会でナイトセッションが残っているから、それも見てみたい。ナイトセッションで試合時間が重なる問題は実際にあった。カルロス・アルカラス(スペイン)の試合であって、コート入場が実際20分遅れになった。9試合のうち1試合は試合時間の重なりと言う問題があった。でもそれは解決できる。全体的には悪くないと思っている」
女子で1試合だけナイトセッションがあったことは後悔している?
「いいえ。これは1日券を持っている人たちにも観るチャンスを与えたかったから。ナイトセッションで女子の試合だけという状況は当然難しかった」
大会ディレクター1年目なのにどのようにしてナイトセッションを行う決断を下した? いろんなプレッシャーがあって難しかったのではないか?
「もちろんかなり難しかった。残念ながら誰もがハッピーな奇跡のような解決法はない。他のスケジュールは簡単だったけど。この問題には意見の食い違いがあった。多くの議論が交わされた。多くのプレッシャー、問題が関わっていた。多くの人が結論を待っていた。すべてのことを考慮したけど、知っての通り私はまだ学んでいる最中。最高の決断と言う人もいれば、最低の決断と言う人もいる。白黒はっきりさせるより、今はグレーな状況。できることはやったつもり」
13度の優勝経験がある選手の意見を受け入れないのは、どれほど難しかった?
「もちろん難しい。コミュニケーションは取っていた。始めからそのスタンスを取ってきた。その結果、ポジティブになろうと、ネガティブになろうと、すべてを理解して何が起きているのかを受け入れるしかない。ラファは、この議論のすべての先にある存在であり、彼がどれほど偉大なチャンピオンであるのかを証明した」
写真◎Getty Images
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