今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」（フランス・パリ／本戦5月22日～6月5日／クレーコート）の女子シングルス準決勝で、第1シードのイガ・シフィオンテク（ポーランド）に2-6 1-6で敗れた第20シードのダリア・カサキナ（ロシア）が試合と今大会を振り返った。

「人生で最高の大会のひとつになったから、頑張ったと思う。グランドスラム大会で準決勝は初めてで、過去最高成績だった。今日は負けたけど、今大会での2週間で見せたプレー、レベルにはとても満足している」

今年何度も対戦してきたが、過去の対戦と違うと感じたことはある？

「正直そこまで違いは感じなかった。これまで見せなかったプレーもなかった。今日は感情が高ぶり過ぎて、準々決勝までの試合とは違い、緊張をうまくコントロールできなかった。でも当然のことだとも思う。彼女は試合中にどんどんレベルを上げていった。そこがこの試合の焦点」

試合中、どんなことを考えていた？

「集中したり、切らしたりを繰り返していた。試合前はいい状態だった。でも一歩コートに立ったら、自分の中から沸き起こる感情をどう表現したらいいかわからない。ただ、普通ではなかった。でもそれでもOKだと思う。慣れなきゃいけないし、今後その緊張をうまくコントロールする方法を見つけないといけない。そういう意味で今回の経験はよかった。次回はもっとうまくやりたい」

今大会一番楽しんだことは？　逆に楽しめなかったことは？

「よかったのは試合に勝って、観客やスタジアムの雰囲気を楽しめたこと。本当に最高だった。特にパンデミックのあとで満員のスタンドが戻ってきたのは本当に素晴らしい。この2週間は本当にいい時間だったから、何も楽しめなかったなどとは言えない。今日の敗戦くらいかな。でもテニス選手はほぼ毎週どこかで負けるのだから、ある程度慣れているもの。この2週間のことは概ね満足している」

メンタル面以外で戦術、技術、ゲームプランの何が試合を分けたと思う？

「いい質問。イガも最初は少し緊張しているようだった。0-2でリードされたけどすぐ2-2に追いついて、そこからギアを上げることができたはず。そこが大きなポイントだったかもしれない。それに彼女は凄く安定していた。私よりもうまく修正していたと思う。そこから彼女が主導権を握った」

通常ならこのあとウインブルドンに向けて準備をするけど、今後の予定は？

「2日間ほど完全に休んでからまた練習を始める。練習できるグラスコートはあまりないから、ハードコートで練習する。そのあとは6月11日からベルリン、18日からバートホンブルクのグラスコートの大会に出場する。これが直近の予定。もう負けたから、先のことを考えている。グラスコートの大会に向けてどんな風に準備するのかを考えている。今は感傷的になっていないから、先に進みやすい。人生では今日のように受け入れないといけないことがある。いま私の人生が自分に与えてくれるものに満足しているし、それを持って次に進んでいきたい」

人生をポジティブに見て、勝ったときも負けたときも自分にご褒美を与えると言っていた。

「今日はどうしようかな？　明日以降試合がないからね。まだ決めていない。フライドポテトよりももっと凄いものがいいな。まだ決めていないけど、凄いものを食べたい」

決勝でコリ・ガウフ（アメリカ）がイガに挑むけど、彼女にとってどれほど難しい試合だと思う？

「初めてのグランドスラム決勝だから、物凄くタフな試合になると思う。イガはここですでに一度優勝しているから。彼女には経験がある。そこが初めて決勝に臨む選手にとって一番難しいところだと思う。でも、始まってしまえば面白い試合になると思う。メンタルが影響するのは特に試合の立ち上がりだから。そこをどうコントロールできるかが大事になる」

初めてのグランドスラム準決勝を経験して、今後の自信、自分を信じる力はどのように変わる？

「凄く変わると思う。勝つことが自信に繋がるから。コーチも“最高の薬は試合に勝つこと”だと言っている。それが一番いい方法でとても満足している。試合に勝ち続けることでランキングも上がっていく。誰でも“ランキングは気にしない”とは言えるけど、結局すべての選手にとってランキングは重要なもの。勝つことで得られる自信は大きい。それに負けるより勝つほうがずっといいものだから」

イガのプレースタイルは分かっていて、予想外のこともやってこなかった。それでもイガが強いのはリターン、戦術、動きのどれが一番だと思う？

「一番は彼女の動きかな。本当に素晴らしいし、何度もボールに追いつくことができる。“決まった！”と思うようなボールでも彼女は追いついてしまう。それと早いタイミングでボールを叩いてくる。相手の動きがよくて、一瞬で守備から攻撃に切り替えられるとかなり難しい」