「グランドスラム優勝よりも35連勝に特別感がある」シフィオンテク [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の女子シングルスで優勝した第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)が記者会見で現在進行中の“35連勝”について語った。
今はどんな気分?
「最高よ。2020年の優勝と全然違う。今は、これから何が起こるのかがわかっているから、心の準備ができている。2年前はすべてが慌ただしかったから。今はしっかりお祝いする準備ができている」
この1年半、決勝戦の成績が素晴らしい。決勝の臨み方は他の試合と違うもの?
「正直、決勝も他のどの試合と同じように臨もうと意識している。なかなか難しいし、不可能に近いけどね。ストレスが大きいし、大会が終わりに近づいて、最後の試合になるから。だから、他の試合と同様に臨むことができれば、本当に素晴らしい。でも、その事実をうまく受け入れられるようにでき、自分の強さなど自分の持っているものに頼ってよりうまく戦えていると思う。自分の相手にも大きなプレッシャーがかかっていることもわかっている。だからパニックに陥らないようにし、相手よりもストレスを感じないようにしている」
最後のポイントを取った瞬間の気持ちは? 2年前と何が違った?
「2年前に一番感じていたのは混乱。グランドスラム大会で本当に優勝できるなんて、まだ信じていなかったから。今回は、しっかり練習して目標にしてきた。周囲で起きていることを見ながら、グランドスラム大会で優勝するのがどんなものか、事前にある程度わかっていた。パズルのすべてのピースがうまく噛み合うためには、試合のすべての局面が機能しないといけないの。その意識があったからこそ、凄く誇りに思えた。2020年はすべてがラッキーだった。今大会はやるべきことをしっかりやった上での優勝で充実感があった」
2年前は観客が1000人もいなかったけど、今回は1万5000人がスタンドを埋めていた。どんな違いを感じた?
「今回のほうが楽しかった。空っぽに近いスタジアムだと自分の考えがいつも聞こえてくるようだけど、満員でうるさいほうが集中すしやすかった。観客に頼ることができるの。少しストレスを感じたら、観客の歓声や声に耳を傾ければ、自分の考えが聞こえなくなって気が楽になる。それが良かったから、効果的に利用しようとした。ポーランド国旗が見えて、応援してくれていると感じ、みんなが自分の名前を叫んでいるのを聞くのは最高の気分だった。物凄くパワーになった」
今一番誇りに思っていることは何?
「35連勝でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の記録を抜いたことが、凄く特別なことだと感じている。何か記録を残したいと思っていたから。セレナがあれほどのキャリアを残したあと、物凄く難しいと思われていた。それが一番満足感を感じられる。グランドスラム大会の優勝ももちろん凄いことなんだけど、35連勝は(2000年以降)ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)以外に誰も成し遂げたことがないから、更に特別に感じる」
君の35連勝はハードコートとクレーコート。グラスコートでも記録を伸ばして女子テニス界を席巻できると思う?
「コーチは私がグラスコートでもっと勝てると思っているみたい。私はまだわからない。少しは記録を伸ばしたいけど、グラスコートは難しい。何も期待されていないほうがいい。気持ちをリフレッシュできるから。私は最高の準備をする。コーチは、アグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)との経験があり、彼女の一番好きなサーフェスがグラスコートだから、何かしらいいアドバイスをくれるかと思う。グラスコートでのプレーを以前より楽しみたい」
今年のスタートに比べて選手として人としてどう変わった? またこの連勝記録の中にグランドスラム大会が含まれることはどれほど重要だと思う?
「グランドスラム大会で勝つことの価値は、他のツアーよりも少し高いと思う。グランドスラムでも連勝を伸ばすのは難しい。今大会が始まる前、セレナの連勝記録を抜くことができるのかどうかを考えてみたの。セレナの記録(34連勝)に並ぶには決勝まで勝ち進まなければいけないことに気づいた。そこで思ったのは、とにかく1回戦がどうなるかが重要だった。それ以前は意識していなかった。今は連勝記録がより重要だと感じている。自分がいい状態にあることを確認できるから」
「今の自分のテニス、自分のしていることには以前より満足している。もう自分の実力はしっかり証明できたのだから、今はもう何も証明する必要がない。だから落ち着いていられる。今年の初めに考えていたことは、コーチとより頻繁に会うということだけ。今は、お互いを補完し合うことができる素晴らしいチームを作り上げられたと思う」
連勝が続く中で、ツアーで圧倒的な強さを見せる中での今大会は、どれほどプレッシャーと向き合うのが難しかった?
「この仕事の一番難しいところだと思う。グランドスラム大会ではたくさんの番狂わせが起きるから。普段と異なる環境の中でプレッシャーを感じるのは大変なこと。誰もがグランドスラムに照準を絞って準備している。私は重荷に感じていた。プレッシャーのことを考えないのは一番難しい。自分を過大評価せず、数字、オッズを気にしないことも難しい。ここまで数ヵ月ずっとプレッシャーと向き合ってきたのに、この2週間はさらに難しかった。記者の皆も、記録とかいろんなことを教えてくれて、更にプレッシャーを掛けてくるから。でも、それも仕事の一部で、以前よりうまく対処できていることを誇りに思っている」
写真◎Getty Images
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