「選手は普通の時間にプレーして皆を楽しませたい」生理問題、ナイトセッション問題を語るシフィオンテク [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の女子シングルスで決勝に進出した第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)。
実力では堂々の世界一で、現在マッチ32連勝中。まだ5月31日に21歳になったばかりだが、今大会中の発言を見ると女子テニス界の新たなリーダーとしての素質、人間性も備えていることがわかる。彼女が残した言葉の一部を紹介する。
4回戦の相手、ジェン・チンウェン(中国)がシフィオンテクとの対戦中に生理痛で苦しんでいたと聞き、この問題について自身の意見をはっきりと口にした。
「キャリアの初めはきちんと管理するのがとても難しい問題。経験を積めば、どのように対処すればいいのかわかってくる。ありがたいことに、15年前に比べて医療技術はかなり進歩しているから、自分に合った対処法を見つけるのが容易になっている。私も以前は同じ問題に苦しめられた。誰にでも起こる問題だから、彼女は自分のパフォーマンスに影響しないように、彼女なりの対処法を見つけなければいけない。もちろん、この問題について選手がこのように話す必要はないけど、今回話してくれたおかげで私たちがこのような問題に直面していることを皆にわかってもらえた。彼女が正直に話してくれたのは素晴らしい。でも、すべての選手には自分で話すか、話さないか決める権利がある」
大会ディレクターのアメリー・モレスモー(フランス)が記者会見でナイトセッションの問題について語ったときだった。今大会では男子が9試合、女子が1試合ナイトセッションに組まれたのは男子のほうが人気があるからとモレスモーが語っていたことに対して、率直な意見を述べた。
「アメリーの発言は少し残念だし、驚いた。彼女もWTAツアーでプレーしていたのだから。私の考えでは、すべての選手は普通の時間帯にプレーしたいと思っている。そして観る人を喜ばせたいし、すべての試合で最高のテニスを見せたいと思っている。試合に向かうときはデイセッション、ナイトセッションは関係なくいつも同じように集中している。彼女の意見は残念だけど、大会運営側が決めることだから受け入れないといけない。自分のプレーで人々を楽しませたいし、一番苦しいときは、いつもファンのためにもプレーしていることを思い出す。“男子のほうが好き”、”男女どちらも好き”というのは個人の意見だけど、女子のテニスにはいろんな魅力が詰まっている。女子は少し安定感を欠くから、予想できない部分もある。逆にそれが魅力となって、多くの人の興味を引くかもしれない。個人の見方によるけどね」
選手の立場からナイトセッションに対して反対の姿勢も見せた。
「ファンはナイトセッションで盛り上がるかもしれないけど、選手は正直きつい。試合後、夜中の3時か4時に寝なきゃいけないだろうから。ルーティンを変える必要があるし、大変だろうと思う」
準決勝で勝利の直後、ビリー ジーン・キング(アメリカ)のフレンチ・オープン優勝50周年セレモニーが行われたことについてコメントした。
「彼女は女子テニスを男子テニスと平等にするために尽力してくれた。私たち皆が彼女に感謝しないといけない。今回、彼女のセレモニーに出席できたことを誇りに思う。直接話すこともでき、その経験からアドバイスももらえた。彼女は本当に私たちをインスパイアしてくれる存在」
試合後、テレビカメラにメッセージを書くとき、自分の年齢を間違えて22と書いて21に修正するなど、お茶目な姿も大きな魅力のシフィオンテク。
今大会の発言を見ると、2年前の優勝時から特に精神面で成熟してきたのがわかる。コリ・ガウフ(アメリカ)との決勝戦ではどんなプレーを見せるのか? 6月4日(土)の15時(日本時間22時)にスタートする頂上決戦は見逃せない。
写真◎Getty Images
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