「一つだけ反対したい変更がある」ジョコビッチが今大会の変化を語る [ウインブルドン]

ウインブルドン3回戦で足を滑らせたノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)が第25シードのミオミル・キツマノビッチ(セルビア)を6-0 6-3 6-4で倒し、試合後に語った。

「前の試合同様にいいスタートだった。キツマノビッチのプレーはよくわかっている。何度も一緒に練習してきた。グラスコートは彼のプレーが一番合うサーフェスではない。僕にはいいゲームプランがあり、何をすべきかわかっていた。やはり試合のスタートがいいと試合を優位に進められる。素晴らしい第1セットだったし、そのレベルを最後まで維持できた。とても満足しているよ」

ラファエル・ナダル(スペイン)は外出しないようにしていると言った。君はコロナ対策にマスクをするなど、どんなことをしている?

「テニスの練習場、会場に長時間滞在して、それ以外は家族と部屋にいる。外出はしたが、あまり積極的には出ないようにしている。大会前に少し街を見て回ったんだ。過度に気にし過ぎないようにしたい。健康に気をつけて、大会に集中して戦い続けるだけだ。風邪を引いてしまうだろうかと、普段から基本的に考えていない。この2年間の経験を考えると、用心するのに越したことはないが」

ATP(男子プロテニス協会)は今シーズン後半から、オフコートコーチングを導入すると発表したが、どう思う?

「僕の意見は2通りある。どちらの主張も理解できる。テニスの特徴の一つが、コートでは独りで戦い、自分で試合に勝つためのいい方法を見つけなければいけないこと。長年その形でやってきた。でも、それと同時にほとんどの試合で実際コーチングが行われているのも周知の事実。だからコーチングを公式に認めることは理解できるし、どちらかと言うと賛成だ。どうせ実際には行われているのだから、公式に認めればいい。もちろん、どのタイミングでコーチングを認めるかなど、ルールは必要になる。実際にうまくいくかどうかはわからない。女子テニスではオンコートコーチングが行われてきた。今回導入するものは少し形が違うが、選手とコーチがどんな会話を交わしているのか、観るのは視聴者にとっても僕らにとってもかなり興味深いものだった。観ているファンにとっては面白いはずだ。だが、選手とコーチにとっては会話のプライバシーを守る意味ではマイナスかもしれない。テレビでその会話を観ている者が、相手選手のコーチに内容を伝えることも可能になる。その面では難しい問題になる。コーチと選手の間のプロとしての意見交換は、2人だけの間に留めるべきもの。初めての試みだから、どう折り合いをつけるか見てみたい。うまくいくかどうか、みてみよう」

4回戦の相手、ティム・ファン ライトフォヘン(オランダ)はどんな印象?

「今大会のプレーも、オランダで優勝したときのプレーもチェックした。今大会で話題になっている選手の一人だ。特にグラスコートシーズンでは今年、まだ1試合しか負けていない。ランキングがそれほど高くない選手にしては、素晴らしい成績だ。スヘルトーヘンボスの決勝ではダニール・メドベージェフ(ロシア)をいとも簡単に倒した。彼のコーチ、イゴール・セーズリング(オランダ)をよく知っているんだ。彼の母がセルビア人でもあり、彼自身は僕と同世代でジュニアの大会を一緒に戦ってきたんだ。この前も少し話した。ティムのことはそこまでよく知らないが、この数試合と同じようにいいプレーができればいい」 

まだ対戦したことのない選手と戦うのは、どんなもの?

「当然、初対戦はいつだって難しい。しかも、相手は失うものが何もない。彼のプレースタイルがわからないから、試合の中で対応していかなければならない。事前に情報を集めて、戦術面でも準備が必要だ」

かつては君も彼と同じような立場だった。若く、無名でテレビで観たような選手と対戦するときがあったはずだ。そのときの気持ちを思い出せる?

「選手は皆その立場を経験している。一つずつ階段を登っていくんだ。いつかは、初めてウインブルドンのセンターコートでプレーする日がくる。彼にとって、僕と初めての対戦もそうだ。決勝の舞台でメドベージェフに対してあれだけ素晴らしいプレーができるのだから、自信があるのだろう。大きな舞台でも問題なくプレーできるようだ。もちろんグランドスラムは5セットマッチだから、他のツアーの試合とは異なる。彼のプレースタイルはこのサーフェスによく合っている。ビッグサーブがあり、片手打ちのバックハンド、スライスもうまく織り交ぜる、オールラウンドプレーヤーだ。早めにラリーを終わらせることも、じっくりラリーをすることも、ネットに出ることもできる。大きなステージでプレーするのを楽しみにしているだろうし、失うものが何もない。まだ若く、キャリアをスタートさせたばかりだ。この勝ち上がりを夢見心地で楽しんでいるはずだ。彼はこれから素晴らしいキャリアを送るだろう」

次の試合では、ウインブルドンで初めて1週目の日曜日に試合をすることになるが、どう思う?

「他のグランドスラム大会は日曜日も試合が組まれているから、ウインブルドンでも日曜日に試合ができるようになってよかった。この変更には賛成だ。今大会はいくつか変更が導入されたことに結構驚いている。大会が始まる前にセンターコートで練習するという貴重な機会を与えてもらったが、この変更には反対だ。ディフェンディング・チャンピオンが月曜日の初戦でセンターコートに立つ前に、他の選手にそのチャンスが与えられるとは思ってもみなかった。でも、ミドルサンデーにプレーするのには賛成だよ」


ウインブルドン1回戦、広告が一つもないセンターコートに入場するノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)

でも、ウインブルドンは他のグランドスラム大会と違う部分があるからこそ、特別だと思うが。

「まだ他の大会と違う部分は残っているよ。(自分のウェアを指さしながら)まだみんな白いウェアを着ているじゃないか。この伝統は変わらないんじゃないか? この大会とクラブがいくつかの変化を許容したことはいいことだと思う。選手やファン、大会を支える地域や社会が望むなら変えるべきだろうからね。オールホワイトの伝統を今も守っていることは素晴らしいと思う。センターコートに広告をまったく入れないことも素晴らしい伝統で、世界的に見ても珍しい。今年大きな変化があったが、今後どうなるかはわからない。ウインブルドンは伝統を重んじるし、もし変化が必要でも、熟考を重ねてから判断するはずだ」

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写真◎Getty Images

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