「準々決勝で気に入らないことが2つある」ジョコビッチのコーチ、イバニセビッチが吠えた [フレンチ・オープン]
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチを務めるゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)が、ジョコビッチの敗退後も最後まで大会の行方を追った。そしてラファエル・ナダル(スペイン)に敗れた準々決勝に失望していることを明かした。
「落ち込んで眠れないんだ。残念というよりは悲しい。あの準々決勝はどちらの選手もよくなかった。ラファが素晴らしかった訳ではない。最初のポイントから最後のポイントまで2人のボディランゲージが勝負を分けたんだ。ノバクに注意したんだ。君たちジャーナリストたちにも、試合のスタートがカギになると伝えていた。でもまたも悪いスタートだった。第2セットで形勢は逆転したが、第3セットのプレーは理解できない。エネルギーを欠いて、自分が勝てると信じていなかったようだ。これは“ラファの大会”なのだから、彼を相手にそのような状態になってはいけない」
「誰の目にも明らかだったように、ノバクのボディランゲージがおかしかった。彼とまだ話していないから理由はわからない。だから未だに試合のことが頭から離れず、寝られないんだ。第4セットを取っていたら、どうなっていたか? そんな“もしも”の話は意味がない。だが、2本のセットポイントがあった。一本目は簡単なバックハンドのアンフォーストエラー。2本目はコートの中央へのアプローチショットでネットに出て、ラファに簡単に抜かれた。エネルギーの欠如とあのボディランゲージが未だに理解できないんだ。ノバクはアップダウンがあり過ぎた。それに対してラファは安定していて勝利に値した」
「試合前、僕は80%の観客がラファを応援すると言った。だが、実際は99.9%だった。一つだけ気に入らないのは、ノバクがコートに出てきたときにブーイングされたことだ。彼は世界ナンバーワンでグランドスラムを20回も獲っている。彼が好きでも嫌いでもいいが、リスペクトしなければならない。そしてラファは歓声で迎えられた。そうなることは予想できた。ノバクがそれで影響を受けたのかどうかは分からない。でも、既に彼は対処法を学んでいるため、それを言い訳にはできない」
「もう一つ、試合前に話したくなかったことがある。ナイトセッションならノバクが有利になるという話は完全なウソだ。2年前、ラファは10月に開催されたロラン・ギャロスで気温10度の中で優勝している。“夕方ならノバクが有利”と皆がまったく根拠のない話をしていた。僕はラファが有利とさえ思っている。何故なら、ノバクは自分のことに集中する必要があるからだ。ラファのボールは高く弾まなかったが、ノバクのボールも同じく効果的ではなかった。ノバクは暑いほうが好きなんだ。サービスでフリーポイントが取れるし、ボールスピードが上がるからだ。ラファにとってのマイナス面だけでなく、ノバクにとっても何がいいのか、何がよくないのかにしっかり目を向けないといけない。ラファは自分のヒッティングポイントでしっかりボールをとらえていたので、ナイトマッチが彼に合わないとは思わなかった。試合のレベルも素晴らしいものではなかったが、ラファのエネルギーが決定的な要素だった」
「多くのコメントや分析で、ラファのダウン・ザ・ラインへのフォアハンドが強調されていた。それは正しい。だが、ノバクのクロスコートへのバックハンドはいつものような深さや威力がなく、ラファが攻撃するのに最適なコートの真ん中に落ちることが多かった。ノバクがダウン・ザ・ラインへのバックハンドを多用するようになり、第2セットの流れが変わった。同時にクロスコートへのバックハンドの威力も増した。ラファはノバクが与えてくれたものを生かした。ラファはこのコートの王様で、何か間違いがあれば直ぐにその代償を支払うことになる」
「ラファの準決勝を見ると、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)がよりよいプレーをしており、彼が2セットを先取すべき展開だった。でも、あの酷いケガが起きたとき、彼はどちらのセットも取っていなかった」
「ラファのエネルギーは素晴らしく、ノバクは自分を信じきれなかった。まだノバクと試合を詳細に振り返っていない。彼は落ち込んでいたし、疲労困憊だった。試合が終わった直後にそのような分析をするべきじゃない。ノバク自身が試合を戦ったのだから、一番気持ちが落ち込んでいるだろう。彼が勝つべきだったと思うから、僕は悲しいんだ」
「ノバクはすぐに立ち直るだろう。ラファがここでそうだったように、ノバクがウインブルドンでは優勝候補の筆頭になる。よく休んでウインブルドンに向けてフィジカル、メンタル面でいい準備をする必要がある。彼にはそれができるだろうし、ウインブルドンで優勝するだろう。自信があるよ。今はグラスコートに集中することだ」
「今後の予定はまだ分からない。彼にとって最重要課題はメンタル面で回復することだ。過去に言ったように、ノバクは切り替えの天才だ。切り替える時間をあまり必要としなくても、今は切り替えることが必要だ。タフな敗戦を何度も乗り越えてきたし、ウインブルドンでは完璧な状態で戻ってくることを確信している」
写真◎Getty Images
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