「感染者はもっと多いはずだが、元の生活に戻すときに増えるのは当然」ナダルが選手のコロナ感染について [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス2回戦で第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)がリカルダス・ベランキス(リトアニア)を6-4 6-4 4-6 6-3で退け、試合後に語った。
「最高のスタートではなかったが、恐らく最高のフィニッシュだった。第4セットのテニスのレベルはよかった。よくなったのが重要だ。他の部分はすべて改善の余地がある。でも4セットの勝利で、またコートに立てたことは次に繋がる」
雨で試合が50分くらい中断したが、何故そんなに遅れたのか教えてもらえる? 難しかった?
「それもテニスの一部なので何も不満はない。恐らく、通り雨だと思って屋根を閉じたくなかったのだろう。屋根を開けたままプレーさせたかった。そう説明を受けた。僕はその決定を理解したし、受け入れた。予報ではすぐに雨が止むと言われていた。でも実際は雨が止まなかったから、屋根を閉じることにした。何も問題ない。正しいプロセスを踏んだと思う。3分くらいなら早く屋根を閉じることができたかもしれない。戻ったときコートが濡れていたからね。滑りやすくなっていた」
次の相手、ロレンツォ・ソネゴ(イタリア)の印象は?
「次は3回戦だから、当然相手は2試合勝ち上がっている。非常にポジティブな姿勢の選手で、サービスもいいし、フォアハンドが素晴らしい。3回戦にしては難しい相手だ。難しい試合が予想される。自分がいいプレーをしないといけない。それしか勝ち進む方法はない。彼のことはよく知っているし、プレースタイルも好きだ。とても危険な相手だと思う」
イガ・シフィオンテク(ポーランド)がどれほど君にインスパイアされてきたのかを語っていた。彼女について少し語ってくれる?
「何度かメッセージを送った。彼女は本当に素晴らしいプレーを見せている。集中力を保ち、途轍もなく長い連勝記録を更新している。彼女がいま達成していることは、そう簡単にできるものではない。2月のドバイ以降負けていないのは信じられない。いいプレーをしているときは止められない。彼女のショットは他の選手とは少し違う。パワフルだし、動きもいい。自信があるときは、他の選手にとってなかなか止められないだろう。凄くいい子だ。そのポジティブな性格でテニス界を明るくしてくれる。彼女のような素晴らしい人間が成功をおさめているのはいいことだ」
マッテオ・ベレッティーニ(イタリア)、ロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)がコロナに感染したこともあり、ファンとの握手、サインに応じないなどの感染予防対策に気をつけている?
「いいや。でも、いい友人でもあるロベルトが感染した。つまり、もっと多くの感染者がいるということだ。だからと言って、それほど気にしていない。ただ、自由時間には外出しないようにしている。この数年間僕らが直面している問題の一部だ。僕らが正しい行動をしていないとは思わない。どこかのタイミングで、すべてを元通りに戻さないといけないからだ。自由に普通の生活を送らないといけない。コロナによる危険性は、今はそれほど大きくない。通常の生活様式に戻したとき、このようなことは起こる。それだけのことだ」
エレナ・ドキッチ(オーストラリア)が自殺を図っていたことをSNSで公開していた。過去のチャンピオンがメンタルヘルスで苦しんでいるのをどう感じる?
「メンタルの問題があった人たちすべてに対して気の毒だと思う。これを話題にするのは今はごく普通になった。難しい問題だ。でも、今は自由にこの問題について話題にできるようになった。以前も同じ問題があったけど、それを明かさない人が多かった。SNSが発達し、多くの人がこの問題を自由に語れるようになった。自分の気持ちを表せるようになった。もし、それが助けになるのなら、素晴らしい」
ベテランがいつ引退するのか気になる人が多いが、引退についてどんな哲学を持っている?
「僕の哲学は、数週間前は引退にかなり近かったが、今はそうではなくなったということだ。引退の日について恐れを抱いたことはない。テニス以外でもとても幸せな人生を送ってきた。もちろん、人生の中でテニスはとても重要なもの。でも、そのほかにもいろんなことを楽しんで生きている。引退後の人生を何も心配していない。その日がきたら大きな変化が起きる。変化には時間が必要だし、順応していかなければならない。偉大な選手の引退について皆が話題にするのは当たり前のこと。選手は長い時間、その競技のトップに立っているのだからね。多くの人の人生に影響を与えてきたんだ。僕だって同じさ。サッカー選手、ゴルフ選手。例えば僕はタイガー・ウッズがプレーする姿を観るのが大好きだ。プレーを観る機会がそれほど多くなくなっている。ファンとしては僕と同じように感じる人が多いんじゃないかな。ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)や、サッカー、バスケットボール、どんなスポーツでも偉大な選手は、応援する人々の人生の一部になっているんだ」
エマ・ラドゥカヌ(イギリス)が一度、君のTシャツを着て会見場に姿を見せた。彼女と話したことはある? 彼女は負けたけど、何かアドバイスできる?
「人にアドバイスするのは好きじゃないんだ。選手といつも一緒にいる人物こそが、その選手の状況をよく理解しているのだから、最高のアドバイスをできるはずだ。彼女と話したことはない。昨年のUSオープンで優勝したのは凄かった。決勝を観たんだ。信じられないようなプレーをしていた。若いときにこのような成功をおさめると、状況の変化に対処するのが物凄く難しい。彼女はテニスに欠かせない存在だ。頑張って欲しい。彼女が今年苦労しているのは知っている。でもキャリアの浅い頃にグランドスラム大会で優勝したことは、彼女に落ち着きをもたらすはず。しっかりレベルアップするための時間を取れるだろう。今後も大きなチャンスがあると思う」
では、コリ・ガウフ(アメリカ)と話したことがある? 彼女も若いが成熟している点をどう思う?
「彼女の場合も似たケースだ。彼女はグランドスラム大会でまだ優勝していない。凄く若いときにキャリアをスタートさせた。彼女が試合後に観衆やプレスに対する話し方が好きなんだ。フレッシュだし、自然体で、考え方が大人だ。彼女はファイターで、プレースタイルも好きだ。調子がよくないときでも最後まで諦めずに戦う。フィジカル面で少し向上すれば、間違いなくグランドスラム大会で優勝するはずだ」
写真◎Getty Images
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