初戦でセレナに勝ったタンが初のウインブルドンで4回戦に進撃「本当に信じればやってのけられる」

写真は初のウインブルドンで4回戦に進出したアルモニー・タン(フランス)(Getty Images)


 今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の女子シングルス3回戦で、アルモニー・タン(フランス)が地元選手のケイティ・ブルター(イギリス)を6-1 6-1で下してベスト16進出を決めた。

 ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したブルターは世界ランク118位であるため同115位のタンが勝ったこと自体は大きな驚きではないが、彼女は今週までグランドスラム大会で2勝しかしたことがなかった。

 1回戦でワイルドカードを受け取りこの大会からシングルスに復帰したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を倒したタンはこの日、バックハンドスライスや突然のチェンジオブペースを交えたフォアハンドなど多彩なストロークプレーで序盤から相手を圧倒した。

「今日は凄くいいテニスができたわ。理由はわからないけど」とタンは試合後のオンコートインタビューで微笑みながら言った。

 試合後の記者会見でより深く試合を振り返ったタンは、試合の成り行きに驚いたかと聞かれて「ええ、驚いたわ。でも私はいい戦略を使ったと思う。彼女は強打するのが好きだから、私はスライスを多用してあまりリズムを与えなかった。そしてできる限りいいリターンをしようとした。すべてがうまく機能したわ。彼女は私のプレーが好きじゃないのだと思う。きっと私の多彩さが、対戦相手にとって煩わしいのね」と答えた。

「今朝は凄く疲れていたんだけど、それで逆にリラックスできた。イギリスでイギリス人と対戦するのだから厳しい戦いを予想していたけど、試合が進むにつれてフィーリングもよくなっていった。実際、私はグラスコートでプレーすることを本当に楽しんでいる」と話したタンはまた、「凄く感情的になったのは最初の試合だけで、そのあとは直ぐ各試合に集中できるようになった」と明かした。

 若い頃に強打をせず多彩さで勝負するプレースタイルのためにフランステニス連盟(FFT)のコーチに注意され、財政的支援もしてもらえなかったことを認めたタンは、「ええ、若い頃にこんなプレースタイルではいい選手になれないと言われた。でも私の潜在能力を信じてくれる人物がひとりいて、それが(現コーチの)ナタリー・トージア(フランス)だった。私が18歳のときだったわ。そのとき私にはコーチがおらず、私はちょっぴり闇の中にいたの」と説明した。

「私は母にどうしたらいいか尋ね、母は解決策を見つけると言ってコーチの連絡先を手に入れようとした。それがナタリーの連絡先だったの。ナタリーは電話に出てくれ、『南西フランスに来なさい。何ができるか見てみましょう』と言ってくれた。その同じ夜に私たちは車で出発し、7時間かけて彼女の元に向かった。着いたときにはへとへとだったわ。そしてそこで10日間のトレーニングを行った。信じられないような出会いだったわ」

 テニスで自分の力を疑い、よい大学に受かったこともあって勉学を続けようと考えた時期もあったというタンは「若い選手たちには、人はそれぞれぞれ違っていて、各々が自分の運命を手にしている。本当に信じれば、きっとやってのけられると言いたいわ」と話した。

 タンは次のラウンドで、第11シードのコリ・ガウフ(アメリカ)との同胞対決を6-7(4) 6-2 6-1で制して勝ち上がった第20シードのアマンダ・アニシモワ(アメリカ)と対戦する。

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写真◎Getty Images

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