「この状態であと2試合勝てない」ナダルが緊急記者会見で準決勝棄権の理由を語る [ ウインブルドン]

緊急記者会見で怪我の状態を語るラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)


 現地時間の7月7日(木)午後8時、ウインブルドンでラファエル・ナダル(スペイン)が緊急記者会見を行い、ニック・キリオス(オーストラリア)との準決勝を棄権すると発表した。

「ここにいることで皆さん想像がつくだろうけど、大会を棄権しなければならない。昨日の試合で皆も観たように、僕は腹部の痛みに悩まされている。昨日も言ったように状態がよくない。腹部の筋肉が断裂している。1日中、どう決断するのか考えていた。これまでのキャリアでは何度も無理をしてプレーを続けてきたが、今回は不可能だ。非常にタフな状況だ。プレーを続けたら、ケガはどんどん悪化する。いま言えることはそれだけだ。とても悲しいよ」

――準決勝を棄権するのは、キリオスに勝つチャンスがないからなのか、ケガを悪化させたくないからなのか?

「この状況下でこれからあと2試合に勝つことができないと思ったから、棄権を決めた。サービスをいつものスピードで打てないだけでなく、サービスのための普通の動きにも支障がある。2試合に勝つ自分を想像してみたが…。自分の目標を達成するために必要なレベルのプレーができないし、さらにケガを悪化させるためにコートへ出ていきたくない。数週間前は、足のケガによって自分のキャリアが危機にあると感じていた。足はだいぶよくなっている。でも、今は自分のキャリアを終わらせてしまうリスクを犯してまで、無理にプレーしたくない。状況がよくなってきているのにね。いつも言っているように、どんなタイトルよりも自分の幸せのほうが重要なんだ。皆が、僕がここにいるためにどれほどの努力をつぎ込んでいるのかを知っているとしてもね。ここでリスクを犯して2~3ヵ月欠場したとしたら、それこそ耐えられない。もしそうなったらなったで対処するしかないが、正しい決断をしなかったことで離脱する期間が長くなる。とにかくタフな決断だ」

――オーストラリアン・オープンやフレンチ・オープンでも万全ではなかったが、年間グランドスラムへのチャレンジがこのような形で終わるのは、どれほど失望している?

「年間グランドスラムのことはまったく考えなかった。自分の毎日のこと、幸せ、日々の練習のことを考えた。オーストラリアン・オープンでは長期の欠場から復帰したばかりだったが、大会中はほとんど問題がなかった。ロラン・ギャロスはメンタル面、フィジカル面でもかなりきついものだった。その後は状況がよくなってきた。ここにいるという事実が、この大会が僕にとってどれほど重要なのかがわかるはず。ここでどれほどプレーしたかったか。何とか優勝するチャンスを掴むために、できることはすべてやった。そして準決勝まで勝ち進んだ。この数日は素晴らしいプレーができていた。特に準々決勝の立ち上がりはかなりレベルが高かった。調子がよかっただけに、失望は大きいんだ。あのレベルのプレーができれば、優勝のチャンスはあったと思う」

――準々決勝第2セットで君の父と姉が棄権すべきだと主張したのにプレーを続けた。その判断は正しかった?

「ああ、あの判断は正しかった。最後までプレーできたし、勝ったじゃないか。その瞬間、瞬間でできることをやった。僕は過去の決断を振り返って後悔するような選手、人間じゃないんだ。もちろん、間違いから学ぶこともある。テニスのキャリアを通して、学んできた。判断を間違えないようにしてきた。準々決勝の途中で棄権だけはしたくなかった。最初の5~6ゲームから棄権の可能性は頭の中にあった。でも試合を最後まで戦う方法を見つけた。そのことは誇りに思っている。そしてケガがあり、体の状態を考えて決断を迫られた」

――ケガが起きたタイミングを教えてくれる? 全治どのくらい?

「1週間前から腹部に問題があった。でも、コントロール可能な範囲だった。でも昨日は最悪だった。ずっとケガの状態を検査してきたが、数日前はほんの小さなものだったのが、昨日の試合後にはかなり大きくなっていた。このような類のケガは、3~4週間かかるんじゃないかな。自分の頭の中にある今後3~4週間のプランが、予定通りに進められればいい。おそらく1週間後には、ベースラインでストロークは打てるだろう。サービスはもうしばらく打てないだろうが。ストロークの練習ができるのなら、それはポジティブだ。予定通りに物事を進められる」

――昨日の試合で痛みが突然大きくなった瞬間があったのか、徐々に悪化していったのだろうか? 

「説明するのが難しい。先週から腹部に痛みはあった。その後は少しよくなったり、悪くなったりしていた。昨日の試合第2セット3-1でサービスを打っていたとき、腹部の痛みが酷くなり始めた。4-3のサービスゲームでかなり悪化していった。そこからサービスの速度を落とし、動きも痛くない形に変えた。ケガをそれほど悪化させない形のサービスを打つことができた。おかげで試合を最後まで戦えた。僕は物事を一つずつ考えるタイプなんだ。昨日はまず試合を終わらせることが重要で、勝利で終えられた。そのあとやるべきことをすべてやった。検査でケガの状態がわかった。いつでも選択肢はあるものだが、今回は先日の足の状態のように悪化しない類のケガではなかった。プレーを続ければどんどん悪くなってしまう」

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写真◎Getty Images

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