写真はロラン・ギャロス以外のグランドスラム大会で初の8強入りを決めたコリ・ガウフ(アメリカ)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の大会期間中に男子プロテニス協会(ATP)が公式サイトに掲載した『ココ・ガウフはどうしていつもニック・キリオスを応援するのか』というタイトルの記事の中で、頻繁に悪童として扱われがちなニック・キリオス(オーストラリア)が実は思いやりのある人物であるということを示すエピソードを紹介した。

 コリ・ガウフ(アメリカ)によれば、ふたりが最初に会ったのは彼女がまだ13歳のときだった。キリオスは既に自分の練習を終えていたが、残って彼女の練習相手をしてくれた。その翌年にもキリオスはフランシス・ティアフォー(アメリカ)との2時間に渡る非常に体力を消耗する練習を終わらせたあとだったにもかかわらず、またも更に1時間ほど彼女の練習に付き合ってくれたのだという。

 そして若い選手とボールを打ってあげるという思いやりあるキリオスの姿勢は、幼かったガウフに強い印象を残した。

「彼がコートでやるある種の振る舞いに人々が同意できないでいることは知っているわ。そのいくつかは私も同意できないかもしれないけど、でもこのような(若く無名の選手に対して練習に付き合ってあげるといった)彼の行為は、私には際立って見える。彼はすれ違うたびに『ハロー』と声をかけてくれるの。だからこそ、彼を嫌うことなど決してできないと感じるのよ」とガウフは説明した。

「(よく問題視される)それらの瞬間には、人々は彼という人間の本当の姿を見ていない。だから人々は、彼が『バッドガイ(悪者)』であるかのように描写する。少なくとも私の経験では、彼はバッドガイなどではないわ」

 キリオスと練習した経験は、10代前半から半ばにおける彼女の成長を助けた出来事の一環であったとガウフは信じている。

「彼とボールを打って練習した選手として、結局のところそれは長い目で見れば私の助けになっていると思う。彼は私のテニスに関していいことを言ってくれた。そのとき私は『ニック・キリオスは私をいいプレーヤーだと考えてくれているんだわ!』という感じだった。そうなんだと信じるようになり、自信を得ることができたのよ」とガウフは話した。

 当時のキリオスは、一緒にボールを打った若い選手がやがて世界最大級のスタジアムを分かち合う選手になるということを知らなかった。日曜日にキリオスとガウフはともにアーサー・アッシュ・スタジアムで4回戦を戦い、準々決勝進出を決めた。キリオスがディフェンディング・チャンピオンで第1シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を、ガウフはジャン・シューアイ(中国)を下し、ともに同大会では初となる8強入りを決めたのである。

 そしてガウフは、今後もずっとキリオスを応援し続けると明言した。

「もし彼が今の感じで続ければ、遠くまでいけると思うわ。彼は大会で優勝することだってできる。彼がそうするための能力を持っていることは誰もが知っている。彼はウインブルドンであともう少しというところまでいった。私は常に、彼が誰と対戦していても彼のことを応援しているわ」

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写真◎Getty Images

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