「最後まで突き進みたい!」キリオスがまたもメドベージェフを倒して準々決勝へ [USオープン]

写真はディフェンディング・チャンピオンを倒して8強入りを決めたニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス4回戦で、第23シードのニック・キリオス(オーストラリア)がハイレベルの戦いの末にディフェンディング・チャンピオンで第1シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)を7-6(11) 3-6 6-3 6-2で倒す殊勲の勝利を挙げた。

 理論上は番狂わせとは言えキリオスは3週間前のモントリオールでもメドベージェフを退けており、対戦成績もこれで4勝1敗とした。更に彼がトップ選手との対戦では特別な意欲を燃やすジャイアントキラーのひとりであることやこのところの好調ぶりを考えれば、途轍もない驚きという訳ではない。彼が世界1位の選手に勝ったのは、これが3度目となる。

 この日もアグレッシブなプレースタイルを貫いたキリオスはリターンでもチャンスと見れば容赦なく叩き、ディフェンス力に定評のあるメドベージェフを凌駕した。

「ニューヨークの満席のスタジアムとは、何て素晴らしい場所でこれをやってのけたことか!」とキリオスはこの快挙を手放しで喜んだ。

「最後まで突き進みたい。それが可能であることを願っている」

 かなりの競り合いとなった第1セットのタイブレークでキリオスは一時5-3でリードしながら自らのミスもあって追い越されて5-6とセットポイントに直面したが、メドベージェフのミスでこれを回避した。更に6-7からバックハンドのリターンエースで2度目の危機を凌いだあと7-8からはバックハンドボレーをオンラインに決めて流れを引き寄せると、その後はメドベージェフがセットポイントを凌ぐ形になった。

 その過程で何度かラケットを叩きつけながらもドロップショットで12-11とリードを奪う度胸を見せたキリオスは、最終的にネットに出てメドベージェフのパスミスを引き出して4度目のセットポイントをものにした。

 メドベージェフも直ちに奮起して第2セットを取り返したが、キリオスは直ぐに体勢を立て直す術も知っていた。最後の2セットをきっちり取って勝利を決めたあと、「僕は正しいやり方でプレーしたと思う。今日はリターンが素晴らしかった。第3セット第4セットでは凄くのびのびとプレーできた。アーサー・アッシュ・スタジアムでのすべての瞬間を謳歌し、凄く楽しんだ。本当に誇りに思うよ」とキリオスは胸を張った。

 通常通り豪快なサービスと強打にドロップショットなどのタッチショットも織り交ぜた変則的なリズムでプレーしたキリオスは、「僕は彼のリズムを乱し、彼がベースラインで自分のテニスを快適にプレーすることができないようにした。それがやるべきことだと思う。全体的に見て、自分のパフォーマンスには満足している」と話した。

「ついにニューヨークに自分の才能を見せることができてうれしいよ。正直に言って、過去の僕はここで素晴らしいプレーをしていなかった。そうするのに27年もかかったよ」

 タイトル防衛に失敗したメドベージェフは世界ナンバーワンの座から陥落することが確定し、大会後にはラファエル・ナダル(スペイン)、カルロス・アルカラス(スペイン)、キャスパー・ルード(ノルウェー)の誰かが世界ランク1位となる。その一方で半年前の2月に127位だったキリオスは、ランキングの動向をリアルタイムで伝える新しいATPライブランキングで18位に浮上した。

 キリオスは次のラウンドで、第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を4-6 6-3 6-1 4-6 6-3で破って勝ち上がった第27シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)と対戦する。

 同胞のタナシ・コキナキス(オーストラリア)と組んで第8シードとして参戦しているダブルスでも勝ち残っているキリオスは、休む間もなく月曜日には第11シードのロイド・グラスプール(イギリス)/ハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)に対する3回戦をプレーする予定になっている。

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写真◎Getty Images

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