「自分のテニスを信じた」シナーとの死闘を制したアルカラスが初のグランドスラム4強入り [USオープン]

写真は深夜3時に迫る死闘の末に初のグランドスラム4強入りを決めたカルロス・アルカラス(スペイン)(Getty Images)


 今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第3シードのカルロス・アルカラス(スペイン)が深夜3時に迫る5時間15分の死闘の末に第11シードのヤニク・シナー(イタリア)を6-3 6-7(7) 6-7(0) 7-5 6-3で倒し、四大大会で初のベスト4進出を果たした。

 USオープン史上もっとも遅い明け方の3時近くに終わったこの常軌を逸したバトルの過程で、アルカラスはマッチポイントを凌いだ末に勝負を最終セットに持ちこんでいた。

 大会のベストマッチと評された19歳のアルカラスと21歳のシナーの若手対決は、やがて訪れるであろう新時代を象徴するような激しく壮観な戦いとなった。今季の直接対決で2勝してアルカラスの天敵であることを証明してきたシナーは、この日も先に優位に立つ側となった。

 ふたつのタイブレークを制してセットカウント2-1とリードしたシナーは第4セットでも先行して一時3-1とリードしていたが、そこで急激にギアを上げたアルカラスが第6ゲームをラブゲームでブレークして3-3と追いついた。しかしアルカラスは次のゲームをキープできず3-5と追い込まれ、シナーは5-4からのサービング・フォー・ザ・マッチでブレークポイントをひとつ凌いだあと最初のマッチポイントを掴んだ。

 崖っぷちまで追い込まれたアルカラスは強烈なリターンでシナーにバックハンドのミスを強いてこの危機を回避し、そのあとにシナーのダブルフォールトとドライブボレーのミスが続いた。

 もつれ込んだ第5セットでもシナーは2-2から先にブレークしたが、アルカラスは直ちにブレークバックした。そして果てしなく続くかに思われた一進一退のメンタルバトルを最終的に制したのは、アルカラスのほうだった。勝利の瞬間にアルカラスが背中からコートに倒れたのも無理はない。試合が終わったとき、時計は深夜を通り越して午前2時50分を指していた。

 劇的な勝利をおさめたアルカラスは準決勝で、第9シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を7-6(3) 7-6(0) 6-4で破って勝ち上がった第22シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)と対戦する。

 試合後のオンコートインタビューで「どうやって第4セットの危機を回避したのか」と聞かれたアルカラスは、「正直に言うと、どうやってやってのけたのか自分でもまだわからない。自分を信じなければならない。僕は自分のテニスを信じた」と答えた。

「シナーは素晴らしい選手だ。観客からの後押しがなければやってのけられなかった。すべての勝利は皆さんのおかげだ」

 続いてティアフォーに対する準決勝についてコメントを求められたアルカラスは、「僕は初めてのグランドスラム準決勝を楽しみたい。彼(ティアフォー)は自信に満ちている。準決勝では彼に応援が集中するかもしれないけど、でも今はこの瞬間を堪能したい。とにかく今は休息を取り、この勝利の瞬間を楽しみたい」と話した。

 一方で痛恨の敗戦を手にコートから去ったシナーは、「試合が終わって間もないから話すのは簡単じゃないけど、お互いにとっていい試合だった。3セットか4セットで終わる可能性もあった。ハイレベルな試合だった」と試合後の記者会見で語った。

「ある時点で、僕はあまりいいサービスが打てていなかったけど、彼のリターンがよかったということもある。言うまでもなく、観客は素晴らしかった。僕にとってアーサー・アッシュ・スタジアムでプレーするのは2度目だ。間違いなくいい試合だったけど、非常に厳しいものだった」

 ちなみに先に準々決勝を終えていたティアフォーは「ゆったりと座って足を上げ、彼らのバトルを観ることにするよ。彼らを一晩中戦わせようじゃないか」とジョークを言っていたが、それは現実となってしまった。

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写真◎Getty Images

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