「終わらせるなら僕だ」添田豪のラストマッチを制した伊藤竜馬 [第97回全日本テニス選手権]

写真は伊藤竜馬(橋本総業ホールディングス)(写真◎BBM)


 公益財団法人日本テニス協会(JTA)が主催する「大正製薬リポビタン全日本テニス選手権97th」(JTT-4/賞金総額2762万円/本戦10月22~30日/東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/室内ハードコート)の本戦7日目に行われた男子シングルス準々決勝で第12シードの伊藤竜馬(橋本総業ホールディングス)が第2シードの添田豪(GODAI)を7-6(4) 7-6(5)で振りきり、添田の現役ラストゲームに相応しい好ゲームを見せた。

 伊藤はこの試合に向けて特別な気持ちを抱き、ハイレベルな打ち合いを見せた。

「朝起きたときからいろんなことを思い出した。今日はトイレ行く回数が多く、試合前10回くらいかな。でも、添田君も何回も行っている気配だった。最後となったら全力でやるしかないという思いでコートに立った。お互い150%出せたんじゃないかな。引き出し合って、凄くいい試合だったと思う。添田君の引退試合で僕が対戦できてよかったと思う」

 2セットともタイブレークの末に添田を振りきった。

「マッチポイントを握るとウルっときたり、いろんな対戦があったなと思い出していた。でも最後までやらないといけないし、葛藤があった。向こうもゾーンみたいな形で打っても打っても返ってくるし、ウィナーも決められる。取られても落ち着いてプレーして、イーブンになっても、タイブレークは絶対取ろうと思っていた。切り替え、そこの落ち着きがよかったと思う」


「お互いいいプレーをしたのと、お疲れ様。これからもよろしくお願いします」と言って抱き合ったという伊藤竜馬(写真◎BBM)

 添田との一番の思い出は、一緒に2012年のロンドンオリンピックに出場できたことだという。

「お互いに厳しいランキングからスタートだったけど、一緒にいけた。毎日一緒に練習してきた。先に添田君が出場を決めて、そのあとに僕も決められた。いろんなストーリーがそこにあった。いろんな戦い、思い出があるけど、それが一番いい思い出」

 ラストマッチで最後に勝ちきれたのは、特別な思いがあったからこそだった。

「終わらせるなら僕だろうという気持ちがあったから、最後に押しきれた。添田君自身も感じていたかもしれない。向こうが声出して最後まで諦めない姿を見せたから、僕も最後までガッツを出していこうと思った。気持ちで押せたのがポイントだった」

 伊藤は明日土曜日の準決勝で、第4シードの関口周一(Team REC)と対戦する。

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