2022年の新星ルーネ「夢は世界ナンバーワン!」

写真はロレックス・パリ・マスターズでのホルガ・ルーネ(デンマーク)(Getty Images)


 2022年シーズンはタナシ・コキナキス(オーストラリア)、アレクサンダー・ブブリク(カザフスタン)、フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)、セバスチャン・バエス(アルゼンチン)、フランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン)、ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)など12人の選手たちがATPツアーで初タイトルを獲得した。その中でも驚きの新星として目覚ましい成長を遂げたのがミュンヘンで初優勝を果たし、絶対的王者となったカルロス・アルカラス(スペイン)に次ぐ目覚ましい急浮上ぶりを見せた19歳のホルガ・ルーネ(デンマーク)だった。

 今季をトップ100圏外で始めたルーネは春のミュンヘンで優勝した際にトップ50に食い込み、その勢いに乗ってフレンチ・オープンで準々決勝に進出した。しかしそこでキャスパー・ルード(ノルウェー)に敗れてから彼は難しい時期を経験し、7連敗を喫することになる。ロラン・ギャロスのあと6大会で2セットしか取れなかったその期間について、「厳しかった」とルーネは打ち明けた。

 そのようなときは基本に立ち返って「ゴールや達成したいことを考えなければならない」と考えているルーネは、「多少のアップダウンがあることは受け入れなければならない。スポーツとはそういうものだからね。誰もが誰にでも勝つことができる。だからそこは受け入れ、信じ続けることが大事になる。信念を持ち続けることがもっとも重要なことだ。僕は基本的に何があってもやる気が下がらないし、それが強みだと思っているよ」と語った。

 ハンブルクで6連敗目を喫したときのことを「本当によくない気分だった。『それでもやる気を出して練習に戻っていくんだ』と自分に言い聞かせたことを覚えている」と振り返ったルーネは、「でも僕はテニスが大好きだから、練習に戻ったらすぐにやる気が湧いてきたよ。アメリカでの連戦にわくわくして、また少し調子が戻っていったんだ」と徐々に手応えを掴みつつあった。

 怒濤の快進撃はUSオープン3回戦で敗れ、メスで準々決勝に進出したあとに始まった。ルーネはそのあと4大会連続で決勝に進出し、ストックホルムとパリで栄冠に輝いた。彼は21試合で19勝を挙げ、特に決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝ってマスターズ初制覇を果たしたパリでは5人のトップ10プレーヤーを倒すという前人未到の快挙をやってのけた。

 10月からルーネのコーチングチームに加わったパトリック・ムラトグルー氏は、「劣勢から挽回を図る奮起の力は、彼のキャラクターを物語っている。何に勝つかではなく、苦境に立たされたときにどのように奮起するかが重要なんだ。それは彼の性格がいかに強いか、彼がいかに強く望んでいるかを示している」とATP(男子プロテニス協会)のインタビューで話した。

「チャンピオンは苦境に立たされたとき、試合中に奮起して巻き返す力を持っている。彼らは解決策を見つけ、状況を覆すために必要な強さを自分の中に見出すことができるんだ」

 パリでの勝利でトップ10入りしたルーネは世界ナンバーワンになることを目指しており、夢を叶えるために必要なことについて聞かれると「上達し続けることは重要だ。サービス、リターン、できることすべてを向上させ続ける。それはメンタル面でも同じことが言える。重要な瞬間に冷静さを保ち、勇敢に戦うことが大事なんだ」と答えた。

「トップ10に入ったことで対戦相手が僕のことを研究してくるから、戦いはより難しくなっていくだろうね。だからこそ上達し続けなければならないんだ。そこがまた楽しいところで、素晴らしい経験になるはずだよ」

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写真◎Getty Images

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