ふたりの選手の間の「17歳」という年齢差は、大会史上最大のものだった。

　木曜日にほとんど完璧なテニスでジョコビッチを倒して準決勝進出を決めていたフェデラーだが、この日はパフォーマンスが驚くほど不安定だった。フェデラーは特に、第1セットの早い段階でサービスブレークを許したことに腹を立てていた。彼はそのとき、何でもないようなオーバーヘッドを2本ミスしてしまった。

「1ゲームに2本スマッシュのミスをしてブレークされるというのは、ものすごく長いこと起きていなかったことだ。もしかすると、一度もなかったかもしれない」とフェデラーは悔しさを滲ませた。「だから、かなり参ったよ」。

　ロンドンでの決勝進出はチチパスにとって、同じくフェデラーを下して至ったオーストラリアン・オープンでのベスト4に続く、この成功のシーズンのもうひとつの画期的出来事だった。

　ドバイ決勝とバーゼル準決勝でチチパスはフェデラーに負けており、これで彼との対戦成績は2勝2敗となった。

「バーゼルで彼と対戦した試合から、僕は多くを学んだと思う」とチチパスは語った。「ひとたびパターンを会得し、そのテニスをよく分析し、次に何を予想すべきかを理解したら、常に自分はよりよい仕事ができるのだと思える心理状態に自分を置きたいと感じるものだ」。

　一方、セットポイントでダブルフォールトを犯してティームに第1セットを手渡したズベレフは、第2セットでもふたたびブレークされて2-4のリードを許してしまった。

　次のゲームでふたつのブレークポイントを凌いだティームはズベレフがキープしたあと、次の自分のサービスゲームで最初のマッチポイントをフォアハンドのウィナーでものにして勝利をもぎ取った。

試合後に健闘を称え合うドミニク・ティーム（オーストリア／右）とアレクサンダー・ズベレフ（ドイツ／左）
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 16: Alexander Zverev of Germany and Dominic Thiem of Austria embrace at the net after their semi-final singles match during Day Seven of the Nitto ATP World Tour Finals at The O2 Arena on November 16, 2019 in London, England. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

　同大会ではフェデラーとジョコビッチが2006年から2015年の10年間に9つのタイトルを分け合ったあと、2016年にアンディ・マレー（イギリス）が、2017年にはグリゴール・ディミトロフ（ブルガリア）が優勝を遂げていた。

　ズベレフは昨年の偉業を繰り返そうと努めたが、手にした4つのブレ―クポイントをひとつも生かすことができなかった。ダブルフォールトで第1セットを終えたあと、コートチェンジで椅子に座ったズベレフはラケットを強く地面に叩きつけ、そのラケットはバウンドしてベースラインの後ろにまで飛んでいった。

　2度フレンチ・オープンで準優勝しているティームは準決勝に至る前に、グループ戦でフェデラーとジョコビッチの双方を倒していた。

（APライター◎マティアス・カレン／構成◎テニスマガジン）

※トップ写真はステファノス・チチパス（ギリシャ）
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 16: Stefanos Tsitsipas of Greece celebrates victory after his semi-final singles match against Roger Federer of Switzerland during Day Seven of the Nitto ATP World Tour Finals at The O2 Arena on November 16, 2019 in London, England. (Photo by Justin Setterfield/Getty Images)