ムチョバが第3セット2-5からの挽回劇で初のグランドスラム決勝進出「何が起きたのか説明できない」 [フレンチ・オープン]
今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月28日~6月11日/クレーコート)の女子シングルス準決勝で、カロリーナ・ムチョバ(チェコ)が第2シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)との死闘を7-6(5) 6-7(5) 7-5で制してグランドスラム初優勝に王手をかけた。
展開、内容の両面で目覚ましい試合だった。ムチョバは第3セットで一時2-5と劣勢に立たされていたが、そこから5ゲームを連取した。
サバレンカの強打に巧みなプレースメントと戦略に加えロジャー・フェデラー(スイス)からインスピレーションを受けているというネットプレーで対抗したムチョバは、組み立ての上手さで観る者をうならせながら第1セットをタイブレークの末に先取した。しかし自らの武器を駆使してまったく同じスコアで第2セットを取り返したサバレンカは、競り合いが続く第3セットで先にブレークして5-2とリードした。
続くサービスゲームでムチョバが最初の2ポイントをミスで簡単に落としたとき、既に彼女の気力は落ちてしまったと感じた人も少なくなかったかもしれない。ところがそこからあっという間に流れが逆転した。
30-40から最初のマッチポイントをムチョバがフォアハンドのウィナーでセーブしたあとサバレンカは2本のアンフォーストエラーを犯してゲームを手渡すと、次のゲームを目覚ましいリターンエースで始めたムチョバに流れが傾き始めた。ミスを連発してブレークバックされたサバレンカは、続くサービスゲームで2本連続のダブルフォールトと決め球のミスで文字通り自滅した。
最終的に5-5の40-15からムチョバが8ポイントを連取し、最初のマッチポイントをバックハンドで放ったダウン・ザ・ラインのウィナーでものにして3時間13分の激闘を締めくくった。
勝利の瞬間にようやく冷静さを崩して天を仰ぎ、満面の笑みを浮かべたムチョバは「何が起こったのかわからない。素晴らしい雰囲気だったし、観客の後押しもあった。私はとにかく戦い続け、それが報われた。何が起きたのか説明できないわ」と試合後のオンコートインタビューで語った。
「感情的に上がったり下がったりでジェットコースターのようだった。第3セットは2-5だっかけどワンブレークに過ぎないということは何となくわかっており、チャンスを待っていた。とにかく1ポイント1ポイントをプレーしようとした。逆転し、何とか勝つことができて本当にうれしい」
見事な組み立てに続くネットプレーの技量もさることながら、トップ選手を倒す能力で関係者の評価も高いムチョバはトップ3に対する戦績を5勝0敗とした。
「統計についてはよく知らないけど、それは私に競争力があることを示しているわ。試合は非常に競っていた。今日だって勝つか負けるか決してわからなかったけど、勝つチャンスがあると知っているというのは素晴らしいことよ。そしてトッププレーヤーに勝てば、間違いなく自信が更に膨らむしね」とムチョバは話した。
元世界ランク19位で2021年オーストラリアン・オープンで4強入りしたほかウインブルドンでは19年と21年に準々決勝に進出した実績を持つムチョバだが、ロラン・ギャロスではこれまで一度も3回戦より先に勝ち進んだことがなかった。
「何事にも最適な時期というものがあると思う。大変な時期を過ごしてきたからこそ、この結果に尚一層感謝することができる。そして今、私はグランドスラム決勝に進出した。それは間違いなく私の夢よ」とムチョバは語った。
「様々なケガを潜り抜け、苦しい時期が多くあった。もう競技生活は無理だと言った医者もいたわ。それでも私は常に前向きにいることを忘れず、カムバックできるようにあらゆるエクササイズに取り組んで努力を積んできたの」
ムチョバは決勝で、第14シードのベアトリス・アダッド マイア(ブラジル)を6-2 7-6(7)で破って勝ち上がった第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)と対戦する。ふたりは2019年4月にプラハの1回戦で一度対決したことがあり、そのときはムチョバがまだトップ100位に入ったばかりだったシフィオンテクに4-6 6-1 6-4で勝っている。
写真◎Getty Images
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