ジョコビッチは5セットで辛勝、ナダルとの頂上決戦が実現 [フレンチ・オープン]
ひとつのミスが閉じかけていたドアを少しだけ開けた状態にし、チチパスはもがきながらも前に進んだ。ジョコビッチのフォアハンドがアウトとなってチチパスは最初のブレークに成功し、5-5と追いついたのだ。チチパスはふたたびブレークを果たしてそのセットをもぎ取り、それから勝負は第5セットへと持ち込まれた。
何が変わったのか? チチパスはより積極的に仕掛け始め、しっかり準備する時間が減ったためにジョコビッチのミスが増え始めた。
やはり目についたのは、ブレークポイントでの成功に大きな流れの転換が見られたことだ。ジョコビッチは初めのうちは5つのブレークポイントのうち4本を取ったが、それから13回中1本しか取れない不運な時間帯に突入していった。反対にチチパスは序盤に10回あったブレークポイントをひとつもものにできなかったが、それから5回中4本を取るいい流れに乗った。
第4セット終了後にジョコビッチはシューズとソックスを履き替え、チチパスは左脚をチェックしてもらうために医師を呼んだ。
「僕の体は準備万端ではなかったと思う」と試合後にチチパスは認めた。「肉体的に、僕は本当の意味で張り合い競い合えるコンディションになかった」。
5セットマッチでの戦績を32勝10敗としたジョコビッチは、グランドスラム大会で最初の2セットを獲ったときには216勝1敗という高い勝率を誇っている。唯一の敗戦は、2010年フレンチ・オープンでユルゲン・メルツァー(オーストリア)に敗れた準々決勝だ。
一方のチチパスは、5セットの試合で2勝4敗となった。
もしかするとそれは、理にかなったことなのかもしれない。今大会を通して全試合で非常にドロップショットに頼っていたジョコビッチは、完璧な1本を第5セットでブレークして2-1とリードするために使った。チチパスがダブルフォールトを犯したとき、その差は4-1と開いた。
「僕は幸せであると言えると思うが、同時に悲しいとも感じている」とチチパスは肩を落とした。
この勝利でジョコビッチは、2020年の戦績を37勝1敗とした。この唯一の1敗は、先月のUSオープンの失格によるものだ。
「間違いなくノバクは、そのゲームスタイルやプレーの仕方においてほぼ完璧の域に達している」とチチパスは脱帽した。「正直に言って、信じがたいほど凄いよ」。(APライター◎ハワード・フェンドリック&ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)
※写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 09: Novak Djokovic of Serbia plays a forehand during his Men's Singles semifinals match against Stefanos Tsitsipas of Greece on day thirteen of the 2020 French Open at Roland Garros on October 09, 2020 in Paris, France. (Photo by Shaun Botterill/Getty Images)
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