「感動的な夜」----ナダルがメドベデフの挽回を押し返し、劇的優勝 [USオープン]

「ものすごく緊迫した試合だった」とナダルはコメントした。

「クレイジーな試合だったよ」

 1949年以来、USオープン決勝でセットカウント0-2から挽回勝ちをやってのけた選手は誰ひとりいない。メドベデフが5セットマッチに勝ったことは一度もなかった。そしてグランドスラム大会でナダルが最初の2セットを取った末に敗れたことは、たった一度しかない。

 それでもなお、その緊迫感は途轍もないものだった。

ラファエル・ナダル(スペイン)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)

 そして終わりにーー否、終わりに見えていたときに――ナダルは、なかなかけりをつけることができなかった。第5セット、メドベデフが最初40-0とリードしていたがそこから簡単なフォアハンドをミスして崩れたゲームでブレークを果たして3-2とリードしたあと、ナダルはまたもブレークして5-2から自分のサービスを迎えた。

 しかし、抜きつ抜かれつする長い物語が運命づけられていたこの夜、メドベデフがそこでブレークすることは、おそらく不可避だったのかもしれない。ナダルは、この夜3度目のコードバイオレーションで1サーブを失ったあとのブレークポイントでダブルフォールトをおかし、メドベデフはブレークをひとつ返すことに成功した。

 次のゲームでナダルはいくつかのマッチポイントを手にしたが、メドベデフはバックハンドのウィナー、それからサービスウィナーでこれらの危機をしのぎ、観客のスタンディングオベーションを受けながらまたも敗北を回避してみせた。

 続くエンドチェンジでナダルのサポーターが「終わらせるんだ!」と叫ぶ中、ナダルはふたたび――今回は5-4から――自分のサービスで戦いにけりをつけるためにベースライン上に立った。彼はそこで、またも息詰まるブレークポイントに対処しなければならなかったが、鋭いフォアハンドを打ち込んでメドベデフのフォアハンドのアウトを引き出した。

 その2ポイント後、不屈の男ナダルは非常に骨が折れ体力を消耗させられる、かつ重要なタイトルのかかった試合の終わりによくやるようにコート上に仰向けに倒れた。

「この試合中に潜り抜けたことの末に、それでも生き延び、試合をこんなふうに終えることができるとは素晴らしいという言葉では足りない」とナダルのコーチのひとりであるカルロス・モヤ(スペイン)は教え子を称えた。

「これをやるにはメンタル的に天才でなければならない。彼はまだそこにいて戦い続け、ことが非常に悪く見えているときに状況を逆転させることができる。彼は今日、それをやってのけた」

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