セレナ対大坂、一年後に感じられる“残響” [USオープンPreview]

 昨年から続いている主要なストーリー・ラインの中には、次のようなものもある。

 ウインブルドンでも2年連続で準優勝に終わったセレナは、グランドスラムのシングルスでの優勝回数でマーガレット・コート(オーストラリア)が持つ全時代を通しての最多記録「24」に追いつこうと努めている。

 1月にオーストラリアン・オープンで2つ目のグランドスラム制覇を果たした大坂は、世界ランク1位としてニューヨークに戻って来た。しかし彼女は今、先週の前哨大会で棄権を強いた膝の故障に対処しなければならなくなった。

 そのほかにも、テニス界は継続中の論議で満ちている。例えば主審の適切な役割、行動規範が構築される方法、そしておそらく何より試合中のコーチングがどの大会でも許されるべきか否かなどについての論議だ。

 この最後の議題に関し、例えばここまで成果を出すことなく働きかけていたUSTA自身のように、ほかのグランドスラム大会を運営する人々がコーチングを認めるところを目にしたいと思っている者たちがいる。

 その中には、昨年の決勝直後に試合中にセレナとコミュニケーションをとろうとしたことを認め、「内密なコーチングは非常に頻繁に起きており、罰されることなく見過ごされている」と指摘したセレナのコーチのパトリック・ムラトグルーもいる。

 アラスターは、「意見が分かれているのはわかっています。でも結局のところ、私たちはテニスの戦いと、それにかかわることに目を向けなければならないのです。アクセスはその重要な部分ですよ。選手やコーチが話していることを聞きたがっているファンたちとの積極的関与です」と説明した。

 ムラトグルーは、「テニスがなぜ試合中のコーチングが許されない唯一のスポーツなのかが、私には理解できない」と主張している。

 しかし、例えばロジャー・フェデラー(スイス)やウインブルドン主催者たちのように、それはテニスというスポーツの真髄に反するものだと考える他の人々もいる。

 フェデラーは、「僕は、テニスには(試合中の)コーチングがあるべきではないという意見を持つ者のひとりだ。実際それが僕らのスポーツを比類ないものにしているんだよ」という見解を示している。

 オールイングランド・クラブ(ウインブルドン)の責任者であるリチャード・ルイス氏は、「男子選手のほとんどは反対だと言っていますよ。コーチの多くも反対だと言っています」と話した。

「テニスは、剣闘士的であるがゆえに…つまり戦場ではひとりであるがゆえに非常に特別なのだと考える、ウインブルドンを含めた他の多くの人々がいるのですよ」

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