「セレナはセレナよ」----31歳予選勝者「夢の実現」と敗戦とセルフィーと [ウインブルドン]

 そしてそれから、こんなことが起きた。ガット モンティコーネは37歳のセレナに、いっしょにセルフィーを撮ってくれないかと頼んだのだ。

「彼女は優しかった。というのも、私はパニックに陥って携帯電話を見つけられなかったの」とガット モンティコーネは説明した。

「彼女は『大丈夫、心配しなくていいわ。私の携帯で撮って、それをインスタグラムにアップするから』と言ってくれた。私は『完璧!』と答えたわ」

 セレナの2回戦の相手であるもうひとりの予選勝者、18歳のカーヤ・ユバン(スロベニア)の態度も考慮してほしい。彼女はセレナが1999年USオープン優勝を遂げた約1年後に、この世に生を受けた。

 ユバンはガット モンティコーネ同様、セレナとプレーできるチャンスを手にできたことを喜んでいた。

「彼女とプレーできるチャンスを得られてうれしい」とユバンはコメントした。

「彼女はそのキャリアで多くを成し遂げた人だから」

 それは事実だ。とはいえ今季のセレナは左膝の故障を抱え、まだ大したことをやっていない。この日の試合が彼女にとって今季まだ13試合目であり、そうなった理由もその故障だった。

 セレナのコーチは、ここ数週間は彼女の膝から痛みが消え、ようやく適切なやり方で準備ができるようになったと話していた。セレナはフレンチ・オープン早期敗退の理由に、練習時間と準備試合の不足を挙げていたのだ。もし膝が大丈夫なら、それは彼女のコートカバーリングを助けるだけでなく、サービスにより威力を加えることにもつながる。彼女のサービスは、ベストの調子のときには女子テニス界最強だ。

「今、私は脚を使うことができる。かなり久しぶりだわ」とセレナは手応えを口にした。

「脚を使わないでサービスを打っていると、精神的に、肩を痛めるんじゃないかと疑ってスピードが落ちてしまうのよ。今、私は脚を使えるから、すべてがよりいい感じなの」

 マッチポイントでセレナはフォアボレーを決め、それからガッツポーズをつくると、体を屈めて叫んだ。

 この溌剌とした祝い方について聞かれたセレナは、失われた時間を取り戻そうとしているため、各試合に数試合分の価値があるかのように感じられるのだと説明した。

「そのことに私はすごくワクワクしているの」とセレナは語った。

「それがセレナよ。いつも興奮しているの」

(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真は試合後、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とともにセルフィーで撮影するジュリア・ガット モンティコーネ(イタリア)(撮影◎小山真司)

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