15歳コリ・ガウフ、鮮烈デビュー「私のゴールは優勝すること」 [ウインブルドン]

 ガウフはランキングのトップ300以下で今週に至ったが、オールイングランドクラブから予選へのワイルドカード(主催者推薦)が与えられた。そして彼女は、予選のトップシードをも蹴散らし、近くの会場で行われたこの予選をとんとん拍子に勝ち上がった。

 しかし、この本戦1回戦は、まったく別の任務だった。

 ガウフは素晴らしく、この舞台、この対戦が彼女の手に余るというようなサインをちらりとも見せなかった。それはある意味で常軌を逸した落ち着きであり、彼女は13歳で至ったUSオープン・ジュニア決勝、14歳でフレンチ・オープン・ジュニア優勝を遂げたときを含め、ユーステニスの各段階を通し、前進してきたのと同じような、安定した落ち着きのある歩みを見せたのである。

 第1セットは目覚ましかった。彼女は10本のウィナーを奪い、ビーナスとベースラインからパワフルなグラウンドストロークのラリーを交わしながらも、アンフォーストエラーは2本しかおかさず、一度もブレ―クポイントに直面しなかった。

「限界なんてものは存在しない」とビーナスは言った。「本当にそうだわ」。

 黒人であるガウフは、グランドスラム大会のシングルスで優勝した1950年代のアリシア・ギブソン以来のアフリカ系アメリカ人であるビーナスと彼女の妹セレナを、アイドルとして崇めてきた。セレナは、ガウフはビーナスを彷彿させると言った。

 月曜日の試合のあと、ガウフは、「彼女がやったすべてについて」ビーナスに感謝していると言った。

「彼女がいなかったら、私はきっとここにいなかった」とガウフは言った。彼女はビーナスがコートから去っていくとき、観客たちといっしょに彼女に拍手を送った。

「私にとって彼女は本当にインスピレーションの源だった、と言ったの。私はずっと彼女にそう言いたいと思っていた。彼女に会ったことは以前にもあったけれど、今、私はやっと、そう言う勇気を持つことができたのだと思う」

 ガウフはこの試合で、特に第2セット4-4からブレ―クされたときに、多くの勇気と根性を見せた。彼女はその場ですぐに体勢を立て直し、ボレーのミスを引き出した数本のフォアハンドのパッシングショットをもって、ただちにブレークバックしたのである。

 それから最終ゲームで、ガウフは最初の3つのマッチポイントを浪費した失望を乗り越える必要があった。彼女はそれをやってのけ、ビーナスがフォアハンドをネットにかけた瞬間に4番目のマッチポイントをものにした。

 多くの15歳が初夏のこの日、ビーチかショッピングセンターで過ごしていただろう。しかし、この15歳は、ウインブルドンでビーナス・ウイリアムズに対し、テニスをプレーし、そして勝った。

「人々は自分に限界を課し過ぎてしまっていると思う。ひとたび実際に自分のゴールに至ったら、これからいったいどうするの? となってしまう」とガウフは言った。

「私は、本当に高いところまで飛翔したいの」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はコリ・ガウフ(アメリカ/左)とビーナス・ウイリアムズ(アメリカ/右)(撮影◎小山真司)

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