ズベレフが12本のダブルフォールトと劣勢を乗り越え準決勝へ [USオープン]

 ここ数年に渡ってズベレフは新進気鋭の注目株と見られていたが、今年までグランドスラム大会では一度もそれをしっかりした形で証明することができないでいた。

 そしてその火曜日にも、彼は様々なことに対処しなければならなかった。第一に自らのダブルフォールト――目新しいことではないが、いつもと同じように心配させられる――が試合開始わずか10分で現れ、ここでの3本のフリーポイントがチョリッチに3-1とするブレークを与えることになった。

 それから第2セットの序盤には、ズベレフが取ったポイントのあとにリプレーにするという決断をされたことで主審のエバ・アスデラキ ムーア氏と口論する場面があった。

 また、アメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」の放送でコートサイド解説を担当していたブラッド・ギルバート(アメリカ)への強い不満もあった。空っぽのアーサー・アッシュ・スタジアムにおけるギルバート氏のライブ解説はズベレフを煩わせ、彼はこの元選手でコーチだった人物に、「あなたの話し声は大きすぎる。話していることが一語一句が聞こえるよ」と文句を言ったほどだった。

 それからチョリッチが汗まみれのシャツを着替えるため、コートの外に何度か出ていったことがある。

「ときに最高のテニスをしてはいないけど、何とか道を見つけ出すということが最高のテニスをすること自体よりも重要になるんだよ」とズベレフはコメントした。

 しかしもっとも厄介だったのは、ズベレフ自身が繰り返し落ち込んでしまう穴だった。

 ズベレフにとっての分岐点は、第3セット5-6からのサービスゲームだろう。あと2ポイントを失えば、そのセットはチョリッチのものになるはずだった。

 しかしこのピンチにズベレフはバックハンドのパッシングショット、スマッシュ、時速217kmのサービスを決めて続く3ポイントを取ってキープし、持ち込んだタイブレークで相手を圧倒すると第4セットをラブゲームキープで始めた。

「非常に大きなポイントだった」とズベレフは振り返った。「でもそれが、僕がここ6ヵ月やっていたことなんだ。僕はジムに通ったし、陸上トラックも走ったよ。これはそれらの努力が報われた瞬間だったんだ」。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

※写真はアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 08: Alexander Zverev of Germany reacts during his Men's Singles quarterfinal match against Borna Coric of Croatia on Day Nine of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 8, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)

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