「戦い続けるのよ!」と叫んだセレナが勝利し準々決勝へ [USオープン]
今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の大会8日目は、ボトムハーフの男女シングルス4回戦とトップハーフの男女ダブルス準々決勝が行われた。
彼女の息遣いは、空っぽのアーサー・アッシュ・スタジアムではっきりと聞き取れるほどの大きさだった。2週間ほど前に自分を倒した相手に対する第3セットは劣勢で、1-3と追いかける展開だった。第3シードのセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は必死になって走り周り、相手がフォアハンドをネットにかけるまで13本ラリーを続けた。
「戦い続けるのよ!」とセレナは自分自身を叱咤した。
アメリカ人選手を贔屓する観客のいないスジアムで厳しい4回戦にはまり込んだセレナは挽回し、第15シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)を6-3 6-7(6) 6-3で振りきって準々決勝に進出する過程で自分で自分を励ました。
「観客がいようといまいと、私は声を出していくわ。私はすごく情熱的だから。これが私の仕事なのよ。こうやって目を覚まさせるの。このために私は1年365日、トレーニングを積んでいるのだから」とセレナはコメントした。この勝利で彼女は、史上最多記録に並ぶ24回目のグランドスラム制覇にまた一歩近づいた。
「ええ、私は常にその炎と情熱を持ち歩いているわ。その“セレナ”をコートに連れていくの」
最後の7ゲームのうち6ゲームをセレナが取って試合が終わったとき、彼女はスタンドのほうに振り返って夫のアレクシス・オハニアンに向かって叫び声を上げた。観客席に最前列にいた夫は、すぐに大きな声でそれに応えた。
この戦いがいかに競ったものだったのか? サカーリは13対12とセレナよりも多くのサービスエースを決め、ウィナーでも35対30でセレナを上回っていた。
第2セットのタイブレークで6-6まで競り合い、セレナは勝利まであと2ポイントのところまでこぎつけた。しかしそこで揺らいだ彼女はバックハンドをアウトしてサカーリに5度目のセットポイントを与えたあと、続けてフォアハンドをアウトしてしまった。
しかし頻繁にそうであるように、第3セットで結果の行方がかかった大事なとき――サカーリが2-0とリードしたが3-1とするのに苦労したあと――、セレナは終盤に向けてレベルを上げていった。そう、もっとも重要なそのときに。
「心底から正直に言うけど、第3セットでの私は勇敢さが足りなかった。びびっていた訳ではないけど、果敢な姿勢で自分のチャンスをものにすることができていなかった」とサカーリは振り返った。
「強いセレナに相対しているときに、自分のチャンスをものにしなければ終わってしまうわ」
これは2週間ほど前のウェスタン&サザン・オープンのリマッチで、そのときはセレナが前半リードしながら次第に力を弱めて3セットの末に敗れていた。
「もちろん、あの敗戦のことを考えたわ。でも少しだけよ。だってこれはまったく違う試合、まったく違うシナリオ、まったく違う瞬間だから」とセレナは語った。
前哨戦での対戦では試合の終盤にセレナが脚にケイレンを起こしたが、彼女は「私は自分で悪い状況に身を置いてしまった。それは最低だとわかっている男とデートするようなものよ」というかなり有名になったセリフで自分自身を責めた。
月曜日にそのフレーズについて尋ねられたセレナは、「あの男を捨てることができてよかったわ。彼とはもう2度と会いたくない。彼は最低よ」とジョークを飛ばした。
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