マレーがマッチポイントを凌いで西岡良仁との激戦を制す「何とか乗り越えた」 [USオープン]
今年ふたつ目となるグランドスラム「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月31日~9月13日/ハードコート)の男子シングルス1回戦で、アンディ・マレー(イギリス)がマッチポイントを凌いでキャリア10度目となる2セットダウンからのカムバックをやってのけた。これは彼にとって、20ヵ月ぶりのグランドスラム大会だった。
未だ2度に渡る股関節の手術からの復帰過程にある2012年USオープン覇者のマレーは13本のダブルフォールトと大劣勢を克服し、日本の西岡良仁(ミキハウス)に4-6 4-6 7-6(5) 7-6(4) 6-4で競り勝った。4時間39分を要する激戦だった。
マレーは次のラウンドで、チアゴ・モンテーロ(ブラジル)を6-3 6-7(7) 7-6(6) 7-6(6)で破って勝ち上がった第15シードで20歳のフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)と対戦する。
試合後にマレーが大いに心配していたことは、アーサー・アッシュ・スタジアムのロッカールームでアイスバスを使う許可を得られるかどうかだった。
「彼らはそれが、緊急事態のためのものだと言っている。僕にとって、たった今が緊急事態だ。体が痛んでいる」と33歳のマレーは許可を訴えた。彼は試合中にメディカルタイムアウトを取り、両足のつま先にできた水ぶくれの治療を受けていた。
「これは僕が2019年以降にプレーした中で、ダントツでもっとも大変な試合だったよ」
多くの有名人がこの試合を観ており、その中にはノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ドミニク・ティーム(オーストリア)、大坂なおみ(日清食品)、ガルビネ・ムグルッサ(スペイン)もいた。彼らはふたりの熱戦を、スタジアムのパーソナルラウンジから見守っていた。
元世界ナンバーワンのマレーはウインブルドンで2度優勝し、2012年ロンドンと2016年リオデジャネイロのオリンピック金メダリストでもある。33歳のマレーは2018年1月に股関節の手術を受け、オーストラリアン・オープンで1回戦負けを喫した直後の2019年1月にも再手術を要した。2度目の手術の前、彼はもはや引退しなければならないだろうと考えていた。
しかしマレーは昨シーズン、ついにツアーに復帰した。骨盤の問題と新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに強いられた休止のため、彼は昨年11月から8月まで戦線を離れていた。マレーはUSオープンと同じ会場で行われた前哨戦のウェスタン&サザン・オープンで活動を再開し、3試合をプレーして今大会を迎えていた。
この日の試合で西岡に追い込まれたマレーは第4セット5-6からのゲームでマッチポイントに直面したが、それを時速204kmのサービスウィナーで回避した。
「両足のつま先の水ぶくれがかなりひどいけど、フィジカル的にまあまあよくやったと思うよ。5セットマッチはかなり久し振りだったから、試合の出だしは長い試合をすることを心配していたんだ」とマレーは振り返った。
「2セットダウンになってからは推力増強装置をオンにして、何とか乗り越えなければならなかったよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はアンディ・マレー(イギリス/左)と西岡良仁(ミキハウス)
NEW YORK, NEW YORK - SEPTEMBER 01: Andy Murray of Great Britain is congratulated by Yoshihito Nishioka of Japan after winning their Men's Singles first round match against on Day Two of the 2020 US Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on September 1, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Al Bello/Getty Images)
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