女子テニスの開拓者リー・ナが、自身と大坂なおみとの類似点を見る

 リー・ナ(中国)は昨年の序盤、自分の中にある多くのものを、WTAツアーのある若い選手の中に見た。

 グランドスラム大会を2度制した元チャンピオンは、日本の大坂なおみ(日清食品)を明るい未来を持つ選手だと認定することを躊躇わなかった。

 今年7月に、元オーストラリアン・オープン優勝者のメアリー・ピアス(フランス)、エフゲニー・カフェルニコフ(ロシア)とともに国際テニス名誉の殿堂入りすることになるリー・ナは、大坂が2018年USオープンに優勝したとき、驚きはしなかったという。

 21歳の大坂は、今週オーストラリアン・オープンで準決勝に進出した。

「最初に大坂なおみがプレーするのを見たとき、彼女は本当に穏やかで、コート上で非常に成熟した選手だと思った」とリー・ナはオーストラリアン・オープンで行われた記者会見で、通訳を通して訳されたコメントの中で言った。

「彼女はテニスの試合自体にすごく集中している。プレッシャーなく、来るポイント来るポイントに。その能力と彼女の集中力には、強い印象を受けた」

 リー・ナは、ロッド・レーバー・アリーナでの彼女の最初のグランドスラム決勝でキム・クライシュテルス(ベルギー)に敗れたことが、3年後の同じコート上でのグランドスラム・タイトルを獲得するという飛躍の起爆剤になったのだと言った。

「ここオーストラリアン・オープンでもっとも思い出に残っているのは、2011年女子シングルス決勝よ。負けはしたものの、その経験は私に自信を与え、心の中で『私にはできる』と言えるようになった」と彼女は振り返った。

「私はグランドスラム・チャンピオンになることから、一歩離れているだけだったのだから」

 リー・ナはその2年後に当たる2013年、2度目となったオーストラリアン・オープンのシングルス決勝で、今度はビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)に対し、またも第1セットを取ったあとに敗れている。しかし、2014年の決勝ではドミニカ・チブルコバ(スロバキア)にストレートで勝ち、ついに優勝杯を掲げることに成功した。

 2015年に娘、翌年に男の子を授かった彼女は、母として、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)やアザレンカがいかにして小さな子供と旅しながら育児とテニスへの献身をやりくりできるのかに驚嘆していると言った。

「ええ、想像できないわ。セレナやアザレンカのようにプレーしながら、同時に家族の面倒を見るなんて。私にはできなかったと思う」

 リー・ナは女子テニスの開拓者だ。2004年にWTAツアーでタイトルを獲った最初の中国人プレーヤーとなり、2011年のフレンチ・オープンに優勝した際に、シングルスでグランドスラムのタイトルを獲った最初のアジア出身選手となった。彼女はまた、メルボルンで2回準優勝に終わったあとに、2014年のオーストラリアン・オープンで優勝した。

 国際テニス名誉の殿堂の理事であるトッド・マーチン(アメリカ)は、リー・ナの国際舞台での台頭が、このスポーツに力強い影響を与えたと称えた。

「名誉の殿堂は、テニスの偉人を認定する団体であるというだけでなく、我々のスポーツの歴史の世話係でもある」とマーチンは語る。

「もし50年先、100年先、200年先に目を向けたなら、このスポーツは成長し続けているのだと、そして中国やアジア全土で、テニスは非常に大きなスポーツになるのだろうと想像することしかできない」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はリー・ナ(中国/左)とメアリー・ピアス(フランス/右)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 22: (L-R) 2019 Hall of Fame inductees Li Na and Mary Pierce address the crowd during day nine of the 2019 Australian Open at Melbourne Park on January 22, 2019 in Melbourne, Australia. (Photo by Mark Kolbe/Getty Images)

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