地元バーティがシャラポワを破り、オーストラリアはパーティ・タイム [オーストラリアン・オープン]
「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月14~27日/ハードコート)の大会7日目、女子シングルス4回戦。
アシュリー・バーティ(オーストラリア)は、テニスをプレーするのが嫌になった。テニスを見たくもなかったし、それについて話したくもなくなった。彼女は2014年USオープンのあとにテニスツアーを離れ、クリケットの世界で別のキャリアを探索し始めた。
そう、クリケットだ。
それから2年余りが経ったとき、彼女はクリケットのバットをふたたびラケットに取り換え、オーストラリアン・オープンで準々決勝に至った10年ぶりのオーストラリア人女性となって国民の注目を集めた。
彼女は、同国首相を含めた熱心な支持者たちをうっとりさせたその日曜日の4回戦で、2008年オーストラリアン・オープン優勝者でグランドスラム大会を5度制した、テニスを超える名声を誇る元女王マリア・シャラポワ(ロシア)を倒した。
「今、ここオーストラリアで起きていることは驚くべきだわ」とバーティは語った。
「私は、母国のグランドスラム大会の、世界最高のコートの上、世界最高の観客たちの前でプレーするチャンスを自分に与えた。これよりいいことなんて、絶対にない」
偉大なロッド・レーバー(オーストラリア)は、自分の名前がつけられたそのスタジアムで試合を観戦していた。ほかの地元の有名人も観客席におり、スコット・モリソン首相は、緑のオージー帽をかぶって家族といっしょに応援していた。そこには『ヴォーグ』編集長のアナ・ウインターもいた。
1978年にまだグラスコートだった同大会でクリス・オニール(オーストラリア)が女子シングルスのタイトルを獲って以来、もう41年というもの、オーストラリアン・オープンでオーストラリア人優勝者は出ていなかった。マーク・エドモンドソン(オーストラリア)はタイトルを獲った最後のオーストラリア人男子プレーヤーで、それは1976年に彼が決勝でディフェンディング・チャンピオンで同胞のジョン・ニューカム(オーストラリア)を倒したときに起きた。
ついにバーティがシャラポワを4-6 6-1 6-4で退け、自己初のグランドスラム大会準々決勝進出を果たすとともに、メルボルンパークでベスト8に進出したエレナ・ドキッチ(オーストラリア)以来の地元女子選手となるのには、2時間22分と4つのマッチポイントが必要だった。
彼女の次の相手は、2度ウインブルドンを制したペトラ・クビトバ(チェコ)だ。第8シードのクビトバは17歳のアマンダ・アニシモワ(アメリカ)を6-2 6-1で退け、7年ぶりにオーストラリアン・オープン準々決勝に帰還した。クビトバは現在9連勝中であり、その中には先週のシドニー国際決勝でのバーティに対する勝利も含まれる。
バーティは競った第1セットを落としたが、そこからシャラポワがサービスに苦しみ始めた。シャラポワはこの試合を10本のダブルフォールトとともに終えた。
第2セットを落としたあと――その過程でバーティは9ゲームを連取した――シャラポワはロッカールームで長い休憩をとり、コートに戻ってきたときにはブーイングを浴びた。通常人気者のシャラポワが、このような側に立つのは非常に稀なことだった。
しかしながら、カムバックは常に起こりうることであり、シャラポワは距離を縮め始めた。最終セットでの0-4ダウンから挽回したシャラポワは4-5まで追い上げ、最後のバーティのサービスゲームでも3つのマッチポイントを凌いで最後までプレッシャーをかけた。
勝利の瞬間、バーティは大喜びしたが、祝いのジェスチャーは抑え気味だった。彼女は自分の元所属チームであるクリケットのブリスベン・ハートに挨拶し、観客に、彼らがオーストラリアン女子ビッグ・バッシュ・リーグで決勝進出を遂げたので、元チームメイトをテレビで観たのだと話した。
それはバーティにとって、ちょっとしたテーマだった。彼女は大会のテレビ放映者に、大会の間は練習と試合のコート上でテニステニスづくめなので、あまりテニスを観たりはしないのだと言っていた。
のちに、もしテニスから一時離れていなかったら、自分が現在と同じポジションにいたと思うかと尋ねられたバーティは、クリケットをして過ごした時間がいい強壮剤になったのだと答えた。
「いいえ、絶対に違うと思うわ。私には、(テニスから離れた)あの時間が必要だった」とバーティは言った。
「私は自分がコート内外で、よりよい人間に、そしてよりよいテニスプレーヤーになって戻ってきたと感じている」
「ええ、私にとって、テニスから離れていたあの18ヵ月は極めて重要なものだった」
2019年に向かう際に、この22歳の元ウインブルドン・ジュニア・チャンピオンは、ある目標を定めたと言っていた。それは第一に、グランドスラム大会で2週目まで勝ち残るということを軸にしたものだった。
彼女はオーストラリアで一度も3回戦以上に勝ち上がったことはなく、彼女のグランドスラム大会におけるこれ以前の最良の戦績は、昨年のUSオープンでの4回戦進出だった。
「だから、ここで先まで勝ち上がるチャンスを自分に与えることができたことに、ワクワクしている。私の2019年の究極の目標の一つは、グランドスラム大会にがっつり取り組み、2週目深くまで勝ち進んでいくことだったの」と彼女は言った。
バーティは、バックハンドスライスと、彼女が自分特有だと表現している“型にはまらないプレースタイル”で、ライバルたちを悩ませている。
「私は自由に楽しくプレーするのが好きで、できるだけ多くの多様性を生み出そうと努めているの」と彼女は自分のテニスについて語った。
「言うまでもなく、私のゲームはサービスとフォアハンドを軸に築かれていて、スライスでそこに変化を持ち込んでいる。でもテニスでは、シークレットなんてものはない。私は毎日、自分の弓に新しいつるを加えるため、自分自身に挑戦しようと努めているのよ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はアシュリー・バーティ(オーストラリア)
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 20 : Ashleigh Barty of Australia returns the ball during day 7 of the Australian Open on January 20 2019, at Melbourne Park in Melbourne, Australia.(Photo by Jason Heidrich/Icon Sportswire via Getty Images)
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