ワールドチームテニスがウェストバージニア州で観客を迎えて開幕
ワールドチームテニス(WTT)の2020年シーズンが日曜日に開幕し、マスクをつけた観客たちの前でプレーが繰り広げられた。
ボールパーソンがいない中でテニス・サングレン(アメリカ)は自分でボールを拾いに行き、ぎこちなく拳と肘を突き合わせてチームメイトとゲームをものにするポイントを祝った。
3週間のシーズンのため、WTTの9チームはアメリカ・ウェストバージニア州のグリーンブライアーに集まった。通常なら試合はアメリカ全土の様々な都市を転戦して行われるが、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを理由にひとつの会場で開催することを決めていた。
グリーンブライアーに来ることができたことをサングレンは喜んでいたが、それはテニスのためだけではなかった。
「ここ4ヵ月がどんなものだったか分かっているだろう。その間中ずっと家で座っていたんだ。そうして今、美しい環境で活動できるようになった。素晴らしいよ。やることはたくさんある」とサングレンは感慨深く語った。
サングレンにとって、それにはゴルフをしたりプールでくつろいだりすることも含まれる。
「ずっと陰気だったからね」
テニスはここまでのところ、パンデミックの中でファンを迎え入れた数少ないスポーツのひとつとなっている。金曜日にサウスダコタ州スーフォールズで屋内ロデオ大会が行われ、週末のインディカーレースのダブルヘッダーは数を制限した観客とともにウィスコンシン州エルクハートレイクで開催された。
「応援してくれる観客を前にテニスができることは、本当に素晴らしいことだ。そのおかげでよいショットが生まれ、少し余計に楽しくなる」とサングレンはコメントした。
世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は先月、セルビアとクロアチアで自ら主催したチャリティ大会でプレーした。そのイベントでは観客席がファンでいっぱいになったが、ソーシャルディスタンスをまったく取らなかった。そのあと彼自身とエレナ夫人を含む数人がウイルス検査で陽性と診断されたと発表し、クラスターを起こしてしまったことを謝罪した。
今回のWTTシーズンは、全国的にCOVID-19の感染者数が上昇していたときに予定通りスタートした。先月にはウェストバージニア州だけでも陽性の件数が2倍となり、そこには会場になっているリゾートからそう遠くない教会に関連した多くの感染者と3人の死者が含まれていた。
試合では健康と安全を確保するため、厳格な予防措置が取られている。プレーしている選手以外の皆がスタジアム内でマスクを着用し、観客は施設に入る前に体温チェックを受けた。ソーシャルディスタンスを取るため、席は一定の間隔で空けられていた。
2500人収容の屋外コートに許される観客数は500人までだったが、初戦の観客数は制限を大きく下回っていた。もし雨で屋内でのプレーを強いられた場合には、許される観客数はファン100人とスタッフ50人に減少する。
コートにはボールパーソンはおらず、主審は線審の代わりにエレクトリック・ラインコールを活用している。選手自身が散らばったボールを拾いに行き、それを直接サーバーに渡す。試合が終わったとき、対戦した選手たちは握手やハイタッチの代わりに“ラケットタップ”を交わす。
「人々が出て行ってライブでテニスを体験しても安全なら、私は大賛成です」とオーランド・ストームのコーチであるジェイ・グッディング氏は私見を述べた。「私たちにとって、それはエキサイティングなことです。一般のテニスファンからすれば、楽しみが増えると思います」。
ストームに所属するサングレンは、日曜日のオープニングマッチだった男子シングルスで2連覇しているスプリングフィールド・レーザーズのミッチェル・クルーガー(アメリカ)に勝った。サングレンはのちに、ジェームズ・ワード(イギリス)と組んだ男子ダブルスとジェシカ・ペグラ(アメリカ)とのペアで臨んだミックスダブルスでも勝ち星を挙げた。
グリーンブライアーでプレーする元グランドスラム大会チャンピオンは、ソフィア・ケニン(アメリカ)、スローン・スティーブンス(アメリカ)、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、キム・クライシュテルス(ベルギー)、ボブ&マイクのブライアン兄弟(アメリカ)だ。
このWTTシーズン中にウイルス検査で陽性と診断された選手はリーグから離脱して自己隔離を行い、期間全体の報酬を受け取る。男女のプロテニスツアーはパンデミックにより3月途中から中断しており、再開が予定されている8月までこの状態が続くことになっている。しかしWTTはツアー公式戦とは違ってATPやWTAのランキングポイントは得られない代わりに、独自の取り決めで大会を開催することができる。
WTTの会場は、2015年に築かれたグリーンブライアーのテニス施設のもっとも貴重なものだ。その1年後に会場は周囲の地区で15人の死者を出した洪水に見舞われ、泥に覆われることになった。
1778年からの歴史を誇り700室のホテルを備えるこのリゾートは大統領や王族を迎えてきた由緒ある場所で、かつては秘密だった冷戦中に核攻撃の場合に備えて議会を行うために建てられた地下シェルターを擁している。
「私にとって、ここでの3週間はまったく問題ないものですよ」とグッディング氏は話している。(APライター◎ジョン・レイビー/構成◎テニスマガジン)
※写真は「オールアメリカン・チームカップ」でのテニス・サングレン(アメリカ)(Getty Images)
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