セレナのボディスーツにはファッション以上の用途が

 フランス・パリで開催されている「フレンチ・オープン」(5月27日~6月10日/クレーコート)。

 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は、今大会で着用するボディスーツを、ファッションの主張以上のものとみなしているのだと言う。

 足首までを覆う体にぴったりと張り付いたボディスーツには、実用的な意味もある。目的は、(血の循環をよくすることで)過去に起きた血栓、凝血から身を守ることだ。

 また、グランドスラム大会に戻っていくにあたり、自尊と力強さを感じていることについて、送りたかったメッセージも込められている。彼女はこの火曜日、出産の9ヵ月後にグランドスラムの戦地に戻り、1回戦に勝利した。

「精神的、肉体的に多くのことを潜り抜けたすべての女性たちが、自信を持ってカムバックし、自分の力を信じるということをこのスーツが象徴している、という感じなの」

 セレナは、フィリップ・シャトリエ・コートでクリスティーナ・プリスコバ(チェコ)を7-6(4) 6-4で倒したあとにこう言った。

「私は間違いなく、女性たちと子供たちの(これまでのファン層とはまったく異なる)集団に、インスピレーションを与えるための機会であると感じているわ」

 注目のウェアは、セレナが2002年USオープンで着た、黒い『キャットスーツ』を思い出させる。また1985年ウインブルドンでアメリカ人選手のアン・ホワイトが着た白いボディスーツをも連想させた。

 セレナは火曜日に着たウェアを、『キャットスーツー新バージョン2.0』とした。

「私はあれを、ワカンダにインスピレーションを受けたキャットスーツ、とでも呼ぶわ」と彼女は映画『ブラックパンサー(黒豹)』に出てくるフィクションの国を指して言った。

「私たちは、映画のずっと前にこの服をデザインしていたのだけれど、それでも、ある意味でワカンダを彷彿させるウェアだわ」

 セレナは、そのウェアを身に着けるとき、自分が「戦士の女王」であるような感じを覚えるのだと言った。

「私はファンタジーの世界で生きているの」と彼女は言い添えた。

「私はいつもスーパーヒーローでありたかった。これは、スーパーヒーローであるための、私なりのやり方なのよ」

 23度グランドスラムを制したセレナにとって、火曜日の試合は16ヵ月ぶりのグランドスラム大会での試合だった。

 彼女は昨年9月1日に出産し、それから、肺塞栓症に関係した体の問題に対処しなければならなかった。

「私は(出産後)非常に頻繁に血栓の問題を抱えてきた。ここ12ヵ月で何度それが起きたかわからないほどだわ。だからこの服には、ちょっぴりそのための実用性もあるの」とセレナは説明した。

「全般的に言って、プレーするときにパンツを履くことは多かった。そうすれば血流をよくすることができるから。楽しいスーツだけど、また実用的な意味もある。スーツを着ることで(血の循環の改善という意味で)問題なくプレーすることができるのよ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
PARIS, FRANCE. French Open Tennis Tournament - Day Three. Serena Williams of the United States in action against Kristyna Pliskova of the Czech Republic on Court Philippe-Chatrier in the Women's Singles Competition at the 2018 French Open Tennis Tournament at Roland Garros on May 29th 2018 in Paris, France. (Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)

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