ジョコビッチ主催の「アドリア・ツアー」が観客4000人を迎えて開幕
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより休止されているプロテニスツアー不在を埋め合わせるため、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)によって企画されたチャリティ大会「アドリア・ツアー」が土曜日にセルビアのベオグラードで開幕した。
同大会では8人の選手が4人ずつの2グループに分かれてラウンドロビン(総当たり戦)を行ない、各グループで首位になった選手が勝ち上がって決勝を戦う。試合は4ゲーム先取のベスト・オブ3セットマッチで、3-3となった場合にはタイブレークが行われる。
土曜日のデイセッションで、グループAのジョコビッチが同胞のビクトル・トロイツキ(セルビア)を4-1 4-1で下して快調なスタートを切り、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)はフィリップ・クライノビッチ(セルビア)に0-4 4-3(5) 4-3(2)で逆転勝ちをおさめた。
グループBではグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)がドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)を4-3(2) 3-4(5) 4-1で倒し、ドミニク・ティーム(オーストリア)は2-0とした時点でダミアー・ジュムホール(ボスニア・ヘルツェゴビナ)が腿の故障のより途中棄権したため勝者となった。
そしてこれらの結果以上に印象的だったのは、この大会の雰囲気だ。世界がパンデミックに対して警戒態勢を取る中、大会は約4000人の観客を迎えた。観客たちは人と人との間に距離をとることもマスクを着用することもなく、パンデミック前と同じ様に肩を並べてスタジアムを埋め尽くした。
ボールボーイも審判もおり、試合後に選手たちは握手と抱擁を交わした。感染者が総じて1万2000人強で死者252人と欧州の中で比較的被害が少なかったセルビアは、先ごろCOVID-19対策の規制を取り払っていた。
それゆえいっそう、新型コロナウイルスによって麻痺させられたスポーツの再スタートとして、このコートでの日常の復活は象徴的であるように見えた。もちろん状況は国によって違い、すべての国が同じようにできる訳ではない。
「各国がこの手の大会を許可するにあたり、違ったアプローチを採用している。幸いにもセルビアは、このコロナ問題から比較的うまく抜け出した。多くの方が亡くなられ、非常に悲しいことだ。しかし生活は続いていく。我々アスリートは、ふたたびプレーするのが待ち遠しくて仕方がない」
開会式でこう話していたジョコビッチは第1試合に勝ったあと、「非常に楽しかった。出場してくれたプレーヤーの皆、ここに来てくれたファンの皆さんに改めてお礼を言いたい。彼らのおかげで、この週末は忘れがたい瞬間となった」と話した。
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