ジョコビッチ主催「アドリア・ツアー」開幕イベントのスタンドを観客が埋め尽くす
人と人との間の距離の規制もなく、数千人の観客の中にマスクを着用している人もほとんどいなかった。大会を企画したノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、それを承認したのだ。
彼と彼の家族が主催するチャリティ大会「アドリア・ツアー」のオープニングイベントのため、ドナウ川のほとりにあるジョコビッチのテニスクラブでファンたちは仮設スタンドを埋め尽くした。開会式に同席した他のトップ選手の中には、ドミニク・ティーム(オーストリア)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、エレナ・ヤンコビッチ(セルビア)らがいた。
セルビア政府はごく最近になって新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに対するロックダウンの規制を解除し、他の人との間の距離を1m取ることを推奨するだけとなった。水曜日にベオグラードで行われたサッカーの試合には、2万人もの観客が集った。
テニスに関して、ジョコビッチは観客の自由を擁護した。
「我々にはそれぞれ違った環境と尺度がある。セルビアとアメリカ、あるいはイギリスとは対処法も状況も違うから、国際的な基準というものを考えるのは非常に難しい」と彼はアドリア・ツアーの開会式の前にコメントした。
新型コロナウイルス感染に関し、セルビアは他の国と比べて「よりよい数字」であると彼は説明した。政府がロックダウンと規制の多くを解除してから少し増加したが、セルビアでは感染者総数が1万2000人強に過ぎず、死者は252人にとどまっている。
「これは危険なのではないかと我々を批判することもできるかもしれないが、何が健康にとって正しく何が悪いかを定めるのは僕の仕事ではない。我々はセルビア政府が指示することをやっているのであり、間もなく皆でツアーに戻ることができるよう願っている」とジョコビッチは語った。
「もちろんこの地域だけでなく世界中でも命を落とした方々がおり、そのようなことを目にするというのは痛ましいことだ。でも人々の生活は続き、アスリートとしての我々はふたたび戦うことを楽しみにしている」
しかし世界ランク1位のジョコビッチは今週、USオープンでプレーヤーに課される予防措置を「極端」で「耐え難いものだ」と表現し、もし開催されたとしてもスキップすることを考えていると発言していた。
USオープンが課す予防措置には、国外から来るプレーヤーに対する14日間の自主隔離、試合に付き添うスタッフは1選手につきひとりのみ、ニューヨーク内の移動範囲の制限、クイーンズの会場近くのホテルや宿泊施設に泊まる義務などがある。
ジョコビッチの「アドリア・ツアー」はセルビアのあと、隣国のクロアチア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナを巡ることになっている。(APライター◎ドゥサン・ストヤノビッチ/構成◎テニスマガジン)
※写真はノバク・ジョコビッチ(セルビア/左)とエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)
BELGRADE, SERBIA - JUNE 12: Novak Djokovic (L) and Jelena Jankovic (R) smile during a tennis doubles match against Nenad Zimonjic and Olga Danilovic at a charity tournament prior to the Adria Tour tennis event, in Belgrade, Serbia, Friday, June 12, 2020. (Photo by Srdjan Stevanovic/Getty Images)
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