セレナが44分でワン・チャンを圧倒、大会100勝目 [USオープン]
アメリカ・ニューヨークで開催されている「USオープン」(8月26日~9月8日/ハードコート)の女子シングルス準々決勝。セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は前の試合でひねった右足にまったくわずらわされることはなかった。対戦相手からの抵抗がほとんどなかったのも、また事実ではある。
その火曜日の夜、セレナは限りなく支配的な様子で問題なく動き、第18シードのワン・チャン(中国)をわずか44分のうちに6-1 6-0で圧倒、準決勝に向けて力強く突き進んだ。
セレナはこの勝利で24勝目となるグランドスラム・タイトルにまた一歩近づいた。
「肉体的にすごくいい感覚よ」とセレナは試合後にコメントした。
「そして何より、私はここに出てくるたびに楽しんでいる」
どこに楽しまない理由があるだろう。彼女がこのようにプレーしているとき、土曜日にほかの誰かが優勝杯を掲げているところをイメージするのは難しい。
この試合でのセレナは、わずか15分のうちに最初の5ゲームを取った。それから1ゲームを落としたあと、彼女は次の11ポイントを連続で取り、残りのすべてのセットも連取した。
それがいかに一方的な試合だったかを示す数字をひとつ。セレナは25本のウィナーを決めたが、ワンのウィナーは“ゼロ”だった。ワンにとって、これはグランドスラム大会では初となる準々決勝だった。
もうひとつ数字を挙げると、獲得ポイントの合計数はセレナの50ポイントに対してワンは15ポイントだった。
「私は彼女にあまりチャンスを与えなかったわね」とセレナは振り返った。
この試合で、セレナは6度優勝したことがあるこのフラッシングメドウでの100試合目の勝利を記録した。
「初めてここでスタートを切ったときから…自分が100勝に至るなんて思ってもみなかった。自分がまだここにいるなどということが頭をかすめもしなかったわ」と今月の終わりに38歳になるセレナは語った。
「でも私は、自分がやっていることが大好きなの」
セレナは次に決勝への切符をかけ、第5シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)と対戦する。スビトリーナは火曜日の昼の試合で、第16シードのジョハナ・コンタ(イギリス)を6-4 6-4で倒した。
「彼女もまた素晴らしい一年を送ってきた選手よ」とセレナは気を引き締めた。
「今回、彼女はより遠くまで行きたがっていると感じる。だから私は次にまた、コートに出ていったたときに本当にいいプレーができるようでなければならない」
スビトリーナは自身準々決勝を控えたボーイフレンドのガエル・モンフィス(フランス)が観客席から見守る中、グランドスラムで2大会連続となる準決勝進出を決めた。2019年以前の彼女は、一度もグランドスラム大会でベスト4入りしたことはなかった。
「今、彼はそのテニスをステップアップさせる必要があるわね」とスビトリーナはモンフィスについてジョークを言った。
ちなみにモンフィスは、水曜日にベスト4入りをかけてマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と対戦するのだ。
グランドスラム大会のこの段階で、セレナが優勝候補であると言うのは非常に控えめな表現だろう。彼女がこれまでに達成してきたこと、その獲得タイトル数は、女子のドローでまだ勝ち残っているほかの選手皆のそれをはるかに凌駕するものだ。
セレナは勝ち残った8人の中でグランドスラムのシングルスで優勝を遂げたことのある唯一の選手であるというだけでなく、決勝に進出したことのある唯一の存在でもある。
この日、完全にセレナに圧倒された世界ランク18位のワンは、初めてセレナと対戦して何に一番驚かされたかと尋ねられ、「パワー」と答えた。
グラウンドストロークを打ってくるときか? それとも サービスを打ってくるときか?
「すべてよ」とワンは微笑みながら言った。
木曜日にセレナは、38度目のグランドスラム大会準決勝に臨むことになる。一方、準々決勝に進出したほかの7人は、全員合わせて5度のグランドスラム大会準決勝進出があるだけで、まだ誰もそこで勝ってはいない。
「本当に偉大な選手だわ」とワンはセレナに敬意を示した。
「彼女は、ただただ偉大なのよ」
(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)
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