コロナウイルス拡散の警戒により、南カリフォルニアでの「BNPパリバ・オープン」(男女共催)が延期となったことの影響は、男子と女子のそれぞれのツアーに一時的に暇な時期を生み出しただけではなかった。それはその地域の観光がピークとなるシーズンに、コーチェラ・バレーの財政に大きな衝撃を与えた。

 2週間の大会の財政的インパクトは、2017年になされた最近の調査によれば4億ドル(現在のレートで約420億円)にも及ぶ。この大会は、今週の月曜日から3月22日まで開催されるはずだった。その調査によれば、大会は45万人の観客を動員し、そのうち12万4000人が地域外部からの訪問者たちだった。

「我々にとって年最大のイベントのひとつなのです」とパームスプリング・コンベンション&ビジター事務局の責任者であるスコット・ホワイト氏はコメントした。

「非常に厳しい状況です。多くの人々は、延期に非常に驚いたと思います」

 事務局はコーチェラ・バレーでコロナウイルス感染者が確認されたあと、この時期に大会が開催されなかったことからくる打撃がどれほどであるか調べるため、ホテルや娯楽施設の調査を始めるとホワイト氏は説明した。彼によれば、ホテルとレストランは観光客や労働者を守るため、強化された清掃法を採用しているという。

 リバーサイド郡公衆衛生局は、ロサンゼルスの110マイル東の砂漠地帯の町々は公衆衛生の緊急事態にあると布告し、この中にはATPツアーとWTAツアーが賞金総額1700万ドル(約17億8500万円)の2週間の大会を開催するBNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ)も含まれていた。

 コーチェラ・バレーでさらに3件の新しい感染例が発見され、感染者の総数は6人となったと郡公衆衛生局のオフィシャルは明かした。

 郡公衆衛生局の責任者のひとりであるキャメロン・カイザー博士は、感染が確認された追加の3件はコロナウイルス(COVID-19)が確認された地域に旅行した結果か、あるいは感染者と接触した結果であると説明した。そのうちふたりは自宅で隔離され、ひとりはコーチェラ・バレー病院で治療を受けているとカイザー博士は言い添えた。

 リバーサイド郡によれば、この地域で発見された最初の患者は、近隣のランチョ・ミラージュにあるアイゼンハワー医療センターで治療を受けていた。その患者がどのような経路で感染したかは、判別できていないという。

 また、大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの乗客だったリバーサイド郡出身者が、2人目の感染者として確認された。患者は現在、北カリフォルニアの医療施設で回復過程にある。その人物はダイヤモンド・プリンセス下船以来、まだ家に戻っていなかった。

 ほとんどの人々はコロナウイルスに感染したとしても、熱や咳といった軽度から中程度の症状が出るだけだ。しかし老人や病気を抱えている人々は肺炎など、より深刻な症状を引き起こすことがある。

 大部分の感染患者は、この新型ウイルスから回復している。世界保健機関(WHO)によれば、中程度の症状の感染者は2週間のうちに回復し、より深刻な病状となったものは回復に3〜6週間がかかることがあるという。最初にウイルスが拡散した中国本土では8万人以上が感染したとの診断を受け、ここまでのところ5万8000人が回復した。

 ホワイト氏は先週、3つのチケット完売のイベントに参加したが、人々はコロナウイルスを恐れている様子はなかったと話した。

「ほとんど何も悪いことは起きていないという感じを覚えていたのですが、それからニュースが飛び込んできました」と彼は振り返った。「話した皆が、より手を洗うし、より予防を考えると言っているものの、同時にライフスタイルを変えるようなことはせず、変わらず旅行はするだろうと言っていました。人々は変わらず握手をしています」。

 同時にインディアンウェルズでは高齢の観客が多い傾向もあり、延期を決める上でその点が考慮されたのではないかとホワイト氏は私見を述べた。

 観光はコーチェラ・バレーの第一の産業であり、約6万人が働いているとホワイト氏は言う。その多くはチップを頼りとしており、彼らは年の収入の大部分を、冬の観光がピークのシーズンに稼ぐのだという。

「観光部門で働く労働者へのインパクトは膨大であるということを、イベントを行うグループに伝えています」とホワイト氏は言った。「我々は1、2月に多くの観光客を迎え、3月の予約状況は昨年と比べ上昇していました」。

 大会延期で、アメリカではテニスチャンネルとESPNで予定されていたテレビのライブ放送(130時間)も影響を受けた。

 ATPのチェアマンであるアンドレア・ガウデンツィ(イタリア)は、男子ツアーの今後のスケジュールに変更はないと発表した。次の大会は3月23日から4月5日の「マイアミ・オープン」で、これもまた男子ツアーと女子ツアーの双方の大会だ。インディアンウェルズとマイアミは、グランドスラム大会に次ぐ格付けの大きな大会だ。

「我々は地元の公衆衛生当局からの指示を理解しつつ、選手やトーナメントのメンバーと緊密に協力し合いながら、状況を毎日監視し続けていく」とガウデンツィは声明文の中で述べた。

「2020マイアミ・オープンは予定通り行われるでしょう」と月曜日に大会はプレスリリースの中で述べている。「安全性は変わらず最優先事項であり、我々は大会までCOVID-19の状況を、地域、州、国レベルのオフィシャル、保健機関とともに、密に監視していきます」。

 すでにインディアンウェルズに入ってBNPパリバ・オープンのために練習していた多くのプレーヤーは、延期が発表されると次々に町をあとにした。大会のスポークスマンを務めるマット・バントゥイネン氏は、コメントを求めたAP通信の電話に応答しなかった。

 BNPパリバ・オープンの大会ディレクターで元選手のトミー・ハース(ドイツ)は、主催者には別の日程で大会を開催する準備があり、選択肢が考慮されていると語った。

「大会を秋に行うことは可能か?」とホワイト氏に問いかけた。「それが起こり得るよう、我々は祈っていますよ」。(APライター◎ベス・ハリス/構成◎テニスマガジン)

※写真は大会キャンセルを告知するBNPパリバ・オープン(カリフォルニア州リバーサイド郡インディアンウェルズ)
INDIAN WELLS, CALIFORNIA - MARCH 09: A "Tennis Is Cancelled" sign flashes outside the Indian Wells Tennis Garden on March 09, 2020 in Indian Wells, California. The BNP Paribas Open was cancelled by the Riverside County Public Health Department, as county officials declared a public health emergency when a case of coronavirus (COVID-19) was confirmed in the area. (Photo by Al Bello/Getty Images)


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