佐藤雅幸先生_心の筋肉を鍛えて強くなる!「声出しポイント(言ってみましょう!)
原稿などの整理整頓をしていたら、ずいぶん前(2009年発売予定)に企画した仮題『心の筋肉を鍛えて強くなる:日めくりカレンダー』という(秘)ノートが出てきました。松岡修造さんの「日めくりカレンダー」は空前の大ヒットとなりましたが、残念ながら、私の日めくりカレンダーは365日分もあり、あまりにくど過ぎるのか、お蔵入りとなり、書籍『起き上がりことば:朝日出版社」となって出版されました。今回は、お蔵入りとなった原稿の一部を再構成し、さらに声出しポイント(言ってみましょう!)をつけて紹介したいと思います。【2017年8月号メンタルNOTEBOOK掲載】
佐藤雅幸(専修大学教授)
さとう・まさゆき◎1956年、山形県生まれ。82年日本体育大学大学院体育学科研究科修士課程修了。専修大学教授(スポーツ心理学)、同大学スポーツ研究所顧問。同大学女子テニス部の監督を務め、1992年は王座優勝を果たした。現在は同女子テニス部統括。1994年には、長期在外研究員としてカロリンスカ研究所(スウェーデン)に留学した。2016年4月よりHALEOスポーツサイエンスリサーチ。
No.1 勝利を手にするのは、可能性が10%でもあればそれに突き進む人である。
声出し
「やってやろうじゃないか!」
成功する可能性が高いからやる、低いからやらない。そういう考えは捨てて、勝負することを楽しみましょう。できるか、できないか、ではなく、やるか、やらないか。それが成功だったか、失敗だったかは、他人ではなく自分が決めること。成功と失敗はいつも隣り合わせです。
No.2 うまくいかない人は、可能性が90%あるのに10%の不安に引きずられる人である。
声出し
「やらないことが失敗だ!」
不安を持つことは決して悪いことではありません。ただし、あまりに持ちすぎては危険です。不安という種に自らせっせと水をやり、さらに大きくしてはいけません。水を与えるのではなく、あなたの前向きな熱い太陽で、不安の種を枯らしてやるのです。
No.3 スランプに陥ると人は頭(理屈)で考えがち。頭より心と体を動かせ!
声出し
「考えたって仕方ない!」
最近どうにも悪循環、うまくいかない…と思っていると頭でっかちになってしまいます。いろいろと考えて自分を正当化しようとするため、どうしても理屈っぽくなるのです。動かすところは頭ではありません。今持っているものを一旦置いて(放り出して)心と体を動かしてみましょう。
No.4 別の生き方があるかも。そう思うときは人生のストーリーを書き直すチャンス!
声出し
「このままでいいのか!」
そう思うということは、きっと何か原因があるはず。ただの現実逃れではいけませんが、「これでいいのかな?」と思ったときは、もう一度、自分の人生を振り返ってみるチャンスなのです。自分の過去に引きずられてはいけませんが、自分の過去を振り返る作業は前に進む意味でも大切な時間なのです。
No.5 ライバルの失敗を念じたら自分が失敗する。エネルギーの出し方、間違ってるぞ!
声出し
「俺も勝つ。お前も勝て!」
ライバルの結果が気になって仕方がない。だからと言って、負けろ。失敗しろ。やられてしまえ。それは弱者の考え方です。ライバルの実力を素直に認め、ライバルを倒す努力をし、ライバルと戦うことを楽しみにするのです。ライバルの存在があなたを成長させていると考えましょう。
No.6 雨が降ることを喜ぶ人だっている。要は考え方次第で心(気持ち)は変わる。
声出し
「ぜんぜんOK!」
起きてしまった過去は変えられませんが、現在の自分の気持ちは変えることができます。自分が思っていたことと違うことが起きたときに「NO」と拒絶するのではなく「OK」と受け入れてみる姿勢を持ちましょう。予想外を楽しむ。自分の幅が広がり、新しい世界が見えてきます。
No.7 伸びない人は間違いなく基本が欠如している。 基本を養おう!
声出し
「基本に返れ!」
頑丈な家というのは土台(基本)がしっかりしています。だから災害にも強く、そこに多くのもの(応用)を積み上げていっても崩れることはありません。応用も大切ですが、それ以上に大切なのは基本なのです。あなたは基本をおろそかにして、応用練習、応用問題ばかりしていませんか?
No.8 それが正しい道なら失敗しても必ず 次につながる!
声出し
「今度こそやってやる!」
結果は重要ですが、すべてを勝敗で片付けてしまうと苦しくなり、危険です。たとえ試合で負けたとしても、やるべきことをやり、それが正しい方法であったと言えるのなら、その敗戦は次につながるはず。やるべきことをやらないで勝つよりも大きな価値があるでしょう。
No.9 準備は成功の始まり。準備のない本番はわざと失敗するようなもの。
声出し
「やるべきことをやろう!」
準備を怠る人は何事もうまくいきません。いきあたりばったり。地図も何も持たないで知らない目的地に向かうようなものです。『アリとキリギリス』のイソップ物語ではありませんが、先を見据えて自分のやるべき準備をコツコツとやっていた人が最後は勝ちます。準備をするということは考えることです。
No.10 調子がいいときも悪いときも間のとれる人間になろう。
声出し
「ちょっとタイム!」
調子がいいときはこのままのペースでと突っ走り、悪いときは悪いときでせっかちになりがち。それは高速道路でたとえれば、パーキングエリアを無視して運転し続けているようなものです。そこで間がとれる余裕を持つことができれば、もっと物事を俯瞰的に見られるようになります。
No.11 挑戦には苦痛が伴う。でも苦痛を避けたら 進歩はない!
声出し
「楽なほうに逃げるな!」
挑戦というのは覚悟を決めて自分自身に挑むこと。当然、そこには痛みが伴います。その痛みは変化の印。つらいし、苦しい。自分にはやっぱりできないと途中でやめたくもなるでしょう。そこであきらめずに挑むのか、楽なほうへと逃げてしまうのか。勝負の分かれ道です。あなたはどちらを選びますか?
No.12 怒りのエネルギーが成功につながることはほとんどない。
声出し
「冷静になれっ!」
「頭に来た!」「ふざけんな!」「やってられるか!」――その怒りをそのまま相手にぶつけても勝ち目はありません。感情的になったら負けと言い聞かせて時間をとり、怒りを鎮め、落ち着くことが先決。深呼吸です。そして賢く作戦を立てましょう。相手の挑発に乗ってたまるかの気持ちです。
No.13 人はどれくらい経験をしているかで、ものすごく差が出てくる。
声出し
「何事も経験だ!」
チャレンジ精神がある、好奇心が旺盛、そんな人はいろんなことを経験できます。やってみよう、やってやろうという気持ちが強いからです。一方、変化を嫌う人は逆です。今のままでいい、このままでいい、無理したくない。もったいないと思いませんか。経験はお金では買えません。
No.14 心の中のもう一人の自分に声を出して聞いてみる。きっと考えがまとまる。
声出し
「これでいい?本当にいいのか?」
メンタルが強い選手は客観的に自分自身の行動を見ることができます。少し離れたところで、もう一人の自分が見てくれているような感じです。何かに迷い、決断しかねているのなら、少し離れている自分に声を出して聞いてみましょう。こう思うんだけけど、これでいいかな?
No.15 自分で問題を解決する術を知っているか?いつも誰かに解決してもらってないか?
声出し
「自分で考えろ!」
自分自身の問題なのに深く考えず、いつも誰かに振り、頼み、解決してもらっていませんか。それでは永遠に解決する術は身につきません。コーチの言われた通りにプレーしているだけで楽しいでしょうか。それは、ただの操り人形です。あなたの問題です。あなたの人生です。あなたが決めるのです!
No.16 365日ベストコンディションの人など誰もいない。
声出し
「言い訳するな!」
試合に負けそうになると、身体の痛みを訴える仕草をする人がいます。非常に見苦しいです。肩をグルグルと回したり、足を必要以上にさすったり、もう歩けないと屈み込んだり、負けたときの準備を始めるのです。そんな言い訳はいりません。みんな苦しい中で戦っているのです!
No.17 好きなものに対するアンテナは常に張っておくべきだ。
声出し
「これは任せろ!」
自分が好きなこと、興味のあることについては、常にアンテナを広げておきましょう。それを意識していれば、必ずそれに対する情報が引っかかり、そこから大きなチャンスが生まれてきます。好きなこと、興味のあることは徹底して追求し、自分の武器にするべきです。
No.18 「ダメだ」と腹を括ることも大切なこと。自分の最低ラインに気づくことが上昇のカギ。
声出し
「ここは一時撤退だ!」
勇気のある人は前に進むだけでなく、後ろに下がることもできます。状況をしっかりと見極め、今何がベストかを的確に判断できるのです。どうしても前に進めないなら、今はダメだと一旦あきらめ、ここまでは下がっていいというラインまで戻り、次のチャンスを待つ。三歩進んで二歩下がっても一歩前に進んでいます。
No.19 気持ちを落ち着かせたいときは誰彼となく無駄話をするのもひとつの方法。
声出し
「ねえ、聞いてよ!」
ひとりで悶々と悩んでいるのなら、その問題を誰かに打ち明けるのは得策です。口に出して言うことで外に出すことができ、聞いてもらって意見をもらうことで新しい刺激が入るからです。無駄話は決して時間の無駄ではありません。非常に貴重な時間。No.6を思い出してください。
No.20 レベルが上がれば不安や悩みも生じる。しかしそれはまた自分自身を見つめ直す時期でもある。
声出し
「大丈夫。少しずつ成長している!」
大きな仕事、大きな試合、自分の役割…以前よりもレベルが上がれば不安や悩みも以前に増して大きくなっていきます。そんなときは「前はこうだったのに…」とため息をつくのではなく、自分はまたひとつ階段を上っていると前向きに考えましょう。自分は何をしたいのか。自分自身を見つめ直すチャンスにつなげるのです。
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