森井大治_サーバー側前衛のストレートアタック対処法

サーバー側前衛は3球目でポーチに出るだけがすべてではない。積極的に攻撃を仕掛けると同時に、ストレートアタックに対する対応力も身につける必要がある。局面を想定し、状況に応じてポジショニングを調整しながら隙のないダブルスの戦い方を身につけよう!/森井大治「サーバー側前衛のストレートアタック対処法」【テニスマガジン2019年7月号掲載記事&動画】

サーバー側前衛はネット寄りに構え、状況ごとにポジションを微調整する

 サーバー側前衛で気をつけるポイントは、ポジショニングです。これを間違えると、チャンスを逃して相手に反撃の機会を与えることになります。では、どこに立てばいいか。その判断は「自陣サーバーとの関係性」と「相手レシーバーとの関係性」で決まります。サーバーのサービス力や調子、レシーバーのリターン力といった事柄を踏まえ、常にポジショニングを微調整します。

【正面から見たサーバー側前衛の基本ポジション】サービスボックスのサイドラインから見て中央付近のポジションで、これを基本ポジションと捉えよう。自陣サーバーのサービス力、狙うコース、レシーバーがボールを打つポジション、その場所から球速を保ったままリターンできる角度なども踏まえ、立ち位置を変えていく

 上写真は、サーバー側前衛のベースとなるポジションとなりますが、この立ち位置が常に正解というわけではありません。例えば、サービスのコースやレシーバーが返球できるボールの角度もポジショニングに影響を与えるので、これはあくまでもベースとなるポジションと捉えてください。

 前衛がポジションをとった後、「サーバーがサービスを打ったと同時に大きく前へと詰める」動作を行うのが定石ですが、実際はとても高度なテクニックです。なぜなら、レシーバーがボールを捉えるタイミングとスプリットステップを踏むタイミングが完璧に合わないと、相手に動作を読まれて逆を突かれ、ポイントを失うことになるからです。

 その危険性を避けるためにお伝えしたいのが、「最初から前めにポジションをとること」です。

【横から見たサーバー側前衛の基本ポジション】サービスを打つ前から❝ネット寄り❞のポジションをとることで、3球目の反応もしやすい。また、相手の強打に対して瞬時に反応するため、ラケットははじめから高めに構えよう。ポジションが【サービスライン寄り】だと守備的。スプリットステップを使って後ろから前へと大きく詰める場合は、リターンとスプリットステップのタイミングが合わないと守備が隙だらけに

 サーバーがサービスを打つ前から立ち位置を前にとることで、相手のリターンにスムーズに反応でき、最初からポジションを上げておくことで相手レシーバーにプレッシャーもかけられます。これにより、3球目でボレーを決める可能性もぐっと高まります。

3球目でポイントが一番、決まりやすいのは「Iフォーメーション」

 サーバー側前衛がもっともポーチに出やすい戦術をご存知でしょうか? それはIフォーメーションです。いまや上級者にとって必須の戦術ですが、この戦術の生命線は「事前の話し合い」と「サーバーのサービス力」です。

 サーバー側はポイント間に次のプレー展開をあらかじめ打ち合わせします。「サーバーがどのコースにサービスを打つか」「サーバー側前衛がポーチに出るか、それともステイするか」など、先に3球目までのポイント展開を決めておきますが、特にIフォーメーションはこの話し合いが重要な鍵を握ります。

 Iフォーメーションでの前衛の特徴は、サーバーとレシーバーの直線上にポジションをとることで、これは相手にどちらに動くか考えさせる意味合いがあり、話し合いでは前衛が左右どちらに動き出すかを決めます。「動き出した方向にボールが飛んできたら必ずとる!」という決まりごとがあることで、大胆なポーチにも出やすく、攻撃的にプレーしやすくなります。

 しかし、いくら話し合ってもサービスが正確でないと意味がありません。攻撃的でダイナミックなプレーができる分、選手にも力量が問われる戦術なのです。

 より多くの方にIフォーメーションに取り組んでほしいですが、今回のテーマは別。それがリターンからのストレートアタック、その対処法。Iフォーメーションと比べると守備的に思えますが、この対応力こそ、強いダブルスの基礎となります。

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