女子は伊藤日和(同志社大3年)と阿部宏美(筑波大2年)が決勝へ [2020インカレ]

写真は決勝進出を決めた伊藤日和(同志社大3年) 写真◎BBM

全日本学生テニス連盟が主催する「2020年度全日本学生テニス選手権大会(男子88回/女子64回)」(三重県四日市市・四日市テニスセンター/11月17~24日/ハードコート)の大会7日目は男女単複の準決勝が行われ、各種目のファイナリストが決定した。

「自分のテニスをしようと思って、それが試合で出せてよかった」と伊藤日和(同志社大3年)は笑顔を見せた。第3シードの平田歩(慶應義塾大3年)との準決勝は6-2 6-1で完勝。「今日の試合も本当に楽しかった」と声も弾んだ。

 平田の強打とまともに打ち合えば、分が悪くなることはわかっていた。あえてラリーのテンポを遅らせ、相手のミスを誘った。苛立つ様子を見せる平田を見て「最後までずっと同じテニスを貫きました」と伊藤。最初から考えていた戦術が見事にはまった。


伊藤が平田との3年生同士の対戦に勝利

 自身のことを「最後まで諦めない、ということくらいしかできない」と謙遜するが、相手によって戦術を使い分ける力は見事だ。準々決勝では第1シードの松田美咲(亜細亜大4年)を、そして平田と実力者たちを手玉にとる力は本物だ。決勝でもその特筆すべき力を出し切れるか、見ものだ。

 「自滅した部分が多く、後悔の残る試合でした」と平田はうつむいた。2年前と同じベスト4という結果に、落胆の色を隠せない。伊藤が仕掛けた戦術に困惑し、自ら攻めていこうとしてミスが増えた。普段であれば、しぶとく食らいつけたはずだが、決勝進出への想いが重くのしかかり、動きが鈍くなった。

 どうしても超えられない大学テニスでの“準決勝の壁”。インカレ、インカレ室内合わせて3度目となるベスト4止まりに「まだまだ努力が足りないということ」と自分に言い聞かせるように平田は語った。来年は大学生活のラストチャンスになる。「残り一年、後悔のないように努力していきたい」と前を向いた。


準決勝でまたしても厚い壁に阻まれた平田

 伊藤と決勝を争う相手は第6シードの阿部宏美(筑波大2年)に決まった。今大会、初戦から全試合ストレート勝ちと勢いに乗る第11シードの山崎郁美(亜細亜大1年)に6-7(5) 6-2 6-3と逆転勝利。昨年のベスト16から一気に躍進した。

 山崎との一戦は「今までよりも思い切ってやろうと思ったけど、できなかった」と反省の言葉が続く。攻める山崎、守る阿部という試合展開について「そうやって勝つことは、正直恥ずかしいけど、ここまで来たらやっぱり勝ちたかった。最後までつなぐプレーでいった」と悔しさも滲ませた。


今大会3度目のフルセットマッチに勝利した阿部

 決勝で対戦する伊藤とは同じ愛知出身、ジュニア時代からの幼馴染だ。伊藤は「対戦できたら面白いだろうな」と心躍らせるものの、阿部は「よく知っている分、やりにくい。(対戦は楽しみ?)いえ、楽しみではないです(笑)」と対照的な反応を見せた。

 しかし、決勝への意気込みは同じだ。伊藤はダブルスで阿部に敗れているために「どうにかしてシングルスで勝ちたい」と語れば、阿部は「やりにくさはあるけど……全然、勝ちたいです」と語気を強める。日本一をかけ、幼馴染が決勝で激突する。

 逆転負けを喫してしまった山崎。先制した第1セットは「(相手を)気持ちよく打たせない」ようにプレーしたが、第2セット以降は「第1セットのようなプレーができなかった」と敗因を語った。今大会は優勝を目指すというよりも、目の前の一戦に意識をフォーカスすることで、結果がついてきた。昨年の佐藤南帆(慶應義塾大)に続く1年生チャンピオンとはいかなかったが、その実力を全国の舞台で十分に示した。


準々決勝までのプレーと比べて早めのミスも増えた山崎

 女子ダブルスは第8シードの堺愛結/田中菜冴美(姫路大4年/2年)が大野菜々子/鈴木理子(関西大4年/3年)に6-3 6-7(0) [10-8] と勝利。また、阿部/川出莉子(筑波大2年/1年)が第7シードの日暮春香/清水里咲(駒沢大4年/3年)を6-1 7-5で退けて決勝に駒を進めた。阿部は単複2冠をかけ、大会最終日を迎えることになる。

 大会最終日の11月24日(火)は10時00分から、男女単複の決勝が行われる予定となっている。

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取材◎中野恵太 写真◎松村真行

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