アラフォーでも健在ぶりを発揮、鉄人ロペスがミラクル逆転劇 [オーストラリアン・オープン]
フェリシアーノ・ロペス(スペイン)は自分が初めて出場したグランドスラム大会の試合について、あまりよく覚えていなかった。それは2001年フレンチ・オープンでのことで、彼は当時19歳だった。
「記憶が間違ってなければ、1回戦でカルロス・モヤ(スペイン)にコテンパンにされたはずだ。彼は僕の子供時代のアイドルだったんだけどね。僕にとってフレンチ・オープンでカルロスに対してプレーするというのは、まさしくプレゼントのようなものだったよ」とロペスは述懐した。
それから20年近く経った今でもロペスはグランドスラム大会で変わらずプレーしているというだけでなく、同年代(彼はもうすぐ40歳だ)の人たちには考えられないことをやっている。彼は暑く湿度の高い日だった木曜日の男子シングルス2回戦で、2セットダウンから挽回して第31シードのロレンツォ・ソネゴ(イタリア)を5-7 3-6 6-3 7-5 6-4で倒したのである。
「彼は恐らくセットカウント2-0となったとき、予想していなかったんじゃないかな。39歳の男がそこからカムバックするとは、普通なら誰も思わないよね」と試合後に疲労困憊した様子でロペスは振り返った。
さらに驚くべきことにロペスは自身75回連続となるグランドスラム大会をプレーしており、これは男子シングルスにおける最多記録だ。彼は2002年フレンチ・オープン以来、一度もグランドスラム大会を欠場していない。
他と比較してみると、例えば彼と同年齢のロジャー・フェデラー(スイス)はケガで2016年フレンチ・オープンをスキップするまで65大会連続で出場していた。現役でこれに近い実績を持つのは62大会連続出場のアンドレアス・セッピ(イタリア)で、女子ではアリゼ・コルネ(フランス)が56大会連続という記録を持っている。
ロペスは獲得タイトル7つのうち半分以上を得意とするグラスコートの大会で挙げており、グランドスラム大会での準々決勝進出4回のうち3度はウインブルドンと立派なキャリアを築いた。しかし彼が他と一線を画すのは、“息の長さ”と“成績の一貫性”だ。常時グランドスラム大会の本戦に出場するにはトップ100のランキングを維持する必要があり、現在世界ランク65位のロペスはそれをキャリアの大部分を通してやってきた。
妻が第一子のダリオを産んでから1ヵ月ほどしか経ってない時期にツアーに出るという難しい決断を下さなければならなかったとはいえ、ロペスはその連続記録をメルボルンで継続させることに成功した。
「ここに来ることができるかどうか分からなかった。行くべきか家に留まるべきか、最後の瞬間までどうすべきか考えていたんだ」と彼は初戦勝利後に話していた。
結果的に、来た甲斐があったことは間違いないだろう。特にこのあり得ないようなソネゴに対する2セットダウンからの逆転劇を演じたあとには尚更だ。それは彼のキャリアでもっとも思い出に残る5セットマッチだと彼は語った。
「グランドスラム大会で試合に勝つというのは、今の僕にとってとても特別なことなんだ。それが今日みたいな劇的な勝利なら尚更だよね。それで3回戦に進めたんだから、僕にとっては本当に特別なんだ。だからこそ今日、僕はすごく幸せだよ」
ロペスは次のラウンドで、チアゴ・モンテーロ(ブラジル)を6-4 6-4 7-6(8)で破って勝ち上がった第7シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と対戦する。(APライター◎ジャスティン・バーグマン/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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